【写真】緊張した面持ちで抽選に臨む各校の主将ら=20日午後、スポーツ総合センター(埼玉新聞)
24日に開幕する春季県高校野球大会の組み合わせ抽選会が20日、上尾市のスポーツ総合センターで行われ、各地区予選を勝ち上がった39校に、選抜大会出場の浦和学院を加えた40校の対戦カードが決定した。昨秋の県大会を制覇した第1シードの浦和学院は昨春準優勝の上尾、昨秋準優勝で3連覇が懸かる花咲徳栄は川口と初戦の2回戦でそれぞれ顔を合わせる。
昨秋の県大会4強同士は抽選により春日部共栄が第3シード、聖望学園が第4シードに収まり、春日部共栄は川越、聖望学園は昌平と対戦する。
大会は県営大宮など4球場で熱戦が展開される。順調に日程が消化されれば決勝、3位決定戦は5月4日に県営大宮で行う予定。上位4校は本県で開催される関東高校大会(5月19~23日・県営大宮ほか)に出場し、ベスト16が全国高校選手権埼玉大会(7月11日開幕)のシード権を獲得する。
大会は全試合有料で、一般500円、中高生200円。引率された少年野球・中学生チーム(引率者・保護者は無料)障害者(障害者手帳の提示)と介添え者1人、小学生以下の入場は無料。
◇関東4枠へシード勢有力
選抜大会8強の浦和学院が総合力で頭一つリード。追いかけるのは花咲徳栄、春日部共栄、聖望学園のシード勢だろう。
浦和学院は投手陣にけが人が多いが、選抜大会で好投した佐藤、山口の両右腕は健在。ともに1年生左腕の小島、岸の出番もありそう。打線も主砲の佐藤、笹川を中心に破壊力は県内随一だ。ただ初戦で対戦する昨年準優勝の上尾は勝負強く、侮れない。エースの右腕菊池はボール球をうまく打たせたい。浦和学院の仕上がりが遅れている分、付け入る隙はありそうだ。
3連覇を狙う花咲徳栄は、4、5番を務める藤原、加藤の3年生が2年生主体のチームを引っ張り、打線にムラがない。投手陣は右横の高橋、左上の小栗が成長。比較的組み合わせに恵まれ、4強までは堅そうだ。
8年ぶりの頂点を見据える春日部共栄は青木、西沢の右左2枚が強力。ともに球威、変化球のキレが増した。打線も板倉、鎌田、田村の主軸ら全体的にパワーアップした。
例年以上の打力を誇る聖望学園は田浦、小林健、田中の長打のある左打者を要所に置き大量点を狙う。2年生エース川畑は右横から130キロ中盤の直球を強気に投げ込む。
公立勢では富士見、春日部東、松山、朝霞。富士見は左腕小川、右横の鈴木ら投手陣が多彩だ。春日部東は田中、熊谷、丹羽の3枚看板を軸に守備から攻撃につなげる。松山のエース右腕岡本は変化球の精度が増し投球の幅が広がった。本庄一との初戦は好カード。朝霞は堅守に加え1番関谷など打線が好調だ。
与野の190センチ右腕田中、西武文理の2年生エース左腕遠藤は注目株。好右腕林を擁する久喜北陽と1番土屋がけん引する所沢商は楽しみな対戦だ。蕨は機動力、狭山ケ丘は打力が売り。埼玉栄は投打でレベルが高い。
◇勝負に徹し再出発 浦和学院
【写真】選抜大会の激闘を振り返る浦和学院の森監督(埼玉新聞)
選抜大会で8強入りし、県大会から出場する第1シード浦和学院の戦いが再び幕を開ける。
「選抜大会に出場した分、立て直すのに懸命」と森監督。各地区予選を勝ち抜き、今大会に万全を期す他の39チームと比べると、仕上がりが遅れているという。
選抜大会後の練習試合では大きく負け越しており、終盤の1点を巡る攻防に敗れるケースが目立つという。副主将の笹川は、惜敗した選抜大会準々決勝の大阪桐蔭戦で、無死満塁の好機を生かせず九回に逆転された場面を引き合いに出し、「練習試合でも出てしまって、弱いなと感じる」と足元を見つめ、主将の明石も「練習の質や意識を向上させないといけない」と一からの出直しを誓う。
昨春は3回戦敗退。今回は3年ぶりの優勝で夏への足掛かりにしたいところ。森監督は「どんな大会でも勝負に徹する。粘り強く、勝負根性を見せたい」。明石も「通過点と言っても負けていい試合など一つもない。秋春連覇も懸かっているし、目の前の試合を全力で戦いたい」と、いつもと変わらず一戦必勝を貫くつもりだ。
◇3連覇へ「伝統守る」 花咲徳栄
第2シード花咲徳栄は3年連続4度目の頂点に向け、着々と戦力を整えている。冬場に著しい成長を見せた右横手の3年高橋、左上の2年小栗が豊富な投手陣をけん引。打線も昨夏の甲子園メンバーの4番藤原を軸に穴がない。
初戦で対峙する川口は地区予選で大宮東、浦和実を連破し勢いに乗る。先発6人が2年生と若いチームで「何が起きてもおかしくない。最初が肝心」と岩井監督。主将の小山も「1、2戦目を大事に戦っていきたい」と引き締める。
今年のチームスローガンは『プライド』。「自分たちの力を過信するのではなく、先輩方が築いてきた伝統を守りたい」と小山。指揮官が「うまく乗ってくれれば」と話す通り、序盤でひと山越えれば伸びしろは計り知れない。
◇体づくりで打球鋭く 春日部共栄
8年ぶりの栄冠を狙う春日部共栄は抽選で第3シードに収まった。本多監督は「せっかくの埼玉開催なので、頑張って関東に行きたい」と意欲満々だ。
この冬は体づくりに最も心血を注いだ。「パワーをつけないと勝負できない」と指揮官。食事の量を増やしたことで、選手たちの体つきも一回り大きく。打球の速さ、質とも格段に飛躍した。
昨夏は準優勝、秋は4強とあと一歩のところで悔しさを味わっているだけに、主将の鎌田は「この春で優勝して、夏に向けて勢いをつける」と力を込めた。
◇秋から大幅入れ替え 聖望学園
浦和学院を土俵際まで追い詰めた昨秋の準決勝が記憶に新しい第4シードの聖望学園。地区予選では2試合連続のコールド勝ちを飾ったが、主将の小林健は「まだまだ足りない部分が多い」と課題を口にし、チーム力の向上に余念がない。
下級生中心だった昨秋から大幅に入れ替わり、クリーンアップを務める小林健、小島、田中は3年生。例年以上の打力で2年生エースの川畑を援護する。抽選を終えた小林健は「どこが来ても大丈夫。一戦一戦全力で戦う」と頼もしかった。
◇接戦持ち込み狙うは金星 上尾
「びっくりしたけど楽しみ。やりたいと思っていた」と主将の遠藤。昨年準優勝し、24年ぶりの関東大会に出場した上尾は初戦の2回戦でいきなり浦和学院と激突する。
突出した選手はいないが、エース菊池を中心に攻守での勝負強さは今年も健在。遠藤は「甲子園レベルを味わえる。とにかく全力でぶつかって勝ちたい」と王者との対戦を待ちわびる。副主将を務める内野手の鈴木も「できることをやって、1点差で上回っていればいい」と、得意の接戦に持ち込んで金星を狙う。
◇9年ぶり県大会「守って走って」 白岡
9年ぶりに県大会に進んだ白岡は26日の2回戦で蓮田松韻-慶應志木の勝者と対戦。前上尾監督で4月に就任したばかりの鳥居監督は「前任の河西先生のチームづくりによるもの。しっかり守って送って走って戦いたい」と堅守からの機動力野球を掲げる。
地区予選2試合で先発した右上の島田、秋にエースナンバーをつけた小山ら3年生に加え、2年生左腕の日高も控える。主将の原田は「自分たちのやってきた野球を信じて、接戦をものにしていきたい」とシード権獲得を力強く誓った。
(埼玉新聞)