26日に開幕する秋季県高校野球大会の組み合わせ抽選会が22日、上尾市のスポーツ総合センターで行われ、各地区を勝ち抜いた39校の対戦相手が決定。2季連続の甲子園出場を目指す春日部共栄は初戦の2回戦で埼玉栄の挑戦を受けることになった。
抽選会では初めに県大会出場校によるシード校(A、B)を選ぶ投票を実施。Aシードには29票を獲得した聖望学園、26票を得た浦和学院が選ばれた。Bシードは花咲徳栄(25票)と春日部共栄(21票)。抽選により、春日部共栄が聖望学園ゾーン、花咲徳栄が浦和学院ゾーンに入った。
引き続き35校の主将らが予備抽選順にくじを引いた。聖望学園は市川越と、浦和学院は武南と、花咲徳栄は西武文理とそれぞれ初戦の2回戦で対戦する。
大会は県営大宮など4球場で熱戦が展開され、順調に日程を消化すれば10月5日に県営大宮で決勝を行う予定。上位2校が関東大会(10月25~29日・千葉)に出場する。
県大会は準々決勝から有料で一般500円、中高生200円。引率された少年野球・中学生チーム(引率者・保護者有料)、障害者(障害者手帳の提示)と介添え者1人、小学生以下は無料。
◇聖望軸も横一線
例年に比べて抜きんでたチームは見当たらず、序盤から好カードがめじろ押し。聖望学園、浦和学院らシード勢も厳しい戦いを強いられそうだ。
横一線の中でも優勝候補筆頭に挙がるのは、7季ぶりの選抜切符を狙う聖望学園。昨季の主力が健在で3番大野泰を軸とした打線は例年以上の破壊力があり、安定感のある右腕中村から前チームでもリリーフとして活躍した右横の松本につなぐ継投で勝負をかける。初戦でぶつかる市川越はエース右腕の登坂が踏ん張り、接戦に持ち込めば勝機も見えてくる。
同じくAシードの浦和学院は経験豊富な津田、山崎を中軸とする打線が江口ら投手陣を援護したい。新人戦で5-4と競り合った大宮東に快勝した武南との初戦は気が抜けない。対する武南は左上の苅田が地区予選で見せた投球を再現できるか。
2季連続の甲子園出場に燃える春日部共栄は甲子園を経験した4番高野が投打でチームをけん引する。秋間、石川の両右腕も好調だが、初戦から攻守に隙のない埼玉栄、続く3回戦も粘りのある本庄第一との対戦が予想され、道のりは容易ではない。
3連覇を目指す花咲徳栄は春夏初戦敗退からの再起を懸ける。他チームに先駆けて始動した練習量と右肘を痛めていた右腕鎌倉の復帰は好材料だ。今季ナンバーワン左腕の呼び声高い高橋を擁する川越東は1回戦で成徳大深谷と対戦する。
朝霞-熊谷商の勝者と対戦する川口は夏の3回戦で浦和学院を破ったメンバーが多く残る。波乱含みの混戦模様なら坂戸西、松山、滑川総合など地力のある公立勢にもチャンス十分。久々の県大会出場を果たした岩槻、上尾南の戦いぶりにも期待したい。
◇Aシード浦和学院、生命線の打線に厚み
2年ぶりの選抜大会を目指すAシード浦和学院は夏の3回戦敗退を糧に猛練習を積んできた。森監督は「戦いながらたくましくなれば」と期待を込め、初戦で対戦する武南を「延長でやっと勝った相手(大宮東)を破っている」と警戒する。
夏場に故障者が相次いだチームの状態は万全とは言いがたいが、ここにきて捕手西野ら主力が戦列に復帰。生命線の打線に厚みが増した。主将の津田は「試合までに調子を上げて、一つ一つ勝ちにこだわっていきたい」と一戦必勝を掲げた。
◇Bシード春日部共栄、好調投手陣がリズム
2季連続の甲子園出場を狙うBシード春日部共栄は2回戦で埼玉栄の挑戦を受ける。始動が遅れた今季は「質のいい練習ができるかどうか」と主将の清水。課題となっている打撃も「最初の頃に比べると成長している」と手応えは十分だ。
投手陣は右腕高野を軸に、秋間、石川の両右腕も調子を上げていて、堅守からリズムをつくる安定感は健在。清水は「去年は長打が多かったが、今年はつないでいく。ピンチでも笑顔を大事にして甲子園に戻りたい」と語気を強めた。
◇V候補、初戦からヤマ 聖望学園
総合力の高さからAシードに推された聖望学園は初戦で夏準優勝の市川越と激突。主将の枝松は「地区は最高に近い形で勝つことができた。どれだけ勝ちパターンに持っていけるか」と充実感をにじませる。投手陣の仕上がりには不安を残すものの、打線は昨季以上の爆発力を誇る。「劣勢に立たされても少ないチャンスをものにできるように」と、引き締めも忘れなかった。
◇技術積み上げ3連覇へ照準 花咲徳栄
夏の開幕戦で涙をのんだBシード花咲徳栄は秋3連覇へ照準を定める。周囲に先駆けて動きだした分、技術面での積み上げは大きな利点。例年より緊張感を持って練習に取り組んできたナインは「もう一度強い徳栄を見せる」と一丸となっている。主将の米沢は「もちろん優勝したいが、油断することが一番駄目。やってきたことを出せればいい」と目を輝かせた。
◇全員野球誓う 岩槻
20年ぶりの県大会に臨む岩槻は2回戦で越谷北と顔を合わせる。地区大会の抽選後、「県を目標にして練習の雰囲気が変わった」と主将の田中。投打でチームをけん引する大井の踏ん張りが鍵を握る。田中は「一人一人の能力は下の方。個じゃなくチームで戦う」と全員野球を誓った。
◇自主性で34年ぶり 上尾南
上尾南は地区大会で鴻巣、東農大三を破って1980年以来34年ぶりの県大会出場。就任6年目の松崎監督は「生徒が自分たちで取り組むようになってきた」と自主性の向上に目を細める。主将の角田は「どの相手も大会でよく聞く名前。胸を借りて戦いたい」と闘志をみなぎらせていた。
(埼玉新聞)