【写真】2回裏浦和学院2死一、二塁、津田の適時右前打で二塁走者の諏訪(右)が生還する。捕手柘植=28日午前、千葉県野球場
高校野球の第67回秋季関東大会第4日は28日、千葉県野球場で準決勝2試合を行い、埼玉大会王者の浦和学院が健大高崎(群馬1位)に10-8で競り勝ち、2年ぶりの決勝進出を決めた。この試合で浦和学院の7番荒木が二回に右前へ単打、三回に左越えソロ本塁打、五回に右中間へ二塁打、六回に中越えの2点三塁打を放ち、サイクル安打を達成した。
浦和学院はこれまでエース左腕江口の好投に助けられてきた野手陣が奮起。両チーム計31安打が飛び出した乱打戦で、相手より効率よく加点した打線が消耗の激しい左腕を救った。二回2死一、二塁から諏訪、臺、津田の3連続適時打で逆転すると、六回には幸喜、荒木がそれぞれ2点適時打。西野も左前適時打を放って突き放した。
投手陣は先発の左腕小倉から右腕桑原、エース左腕江口と継投。五回途中からマウンドに上がった江口は1回戦、準々決勝に次ぐ3連投で疲労の色が濃く、七回に打者11人から7安打を浴びるなど計6失点と精彩を欠いたが、九回まで粘り強く投げ切った。
最終日は29日、千葉県野球場で決勝を行い、2年ぶり5度目の優勝を狙う浦和学院と木更津総合(千葉1位)が顔を合わせる(10時)。
◇荒木、サイクル安打大暴れ 浦学、きょう木更津総合戦
(28日・千葉県野球場)
第4日は準決勝が行われ、浦和学院は高崎健康福祉大高崎(群馬)を10-8で下し、2年ぶりの決勝に駒を進めた。荒木がサイクル安打を達成。2年ぶり5度目を目指す29日の決勝で、木更津総合(千葉)と顔を合わせる(10時・同球場)。
浦和学院は両チーム計31安打の乱打戦を制した。二回に諏訪、臺、津田の3連続適時打で3-1と逆転。六回には荒木のサイクル安打となる2点三塁打など打者9人の猛攻で5点を挙げ突き放した。9-2の七回に5点を返されたが、逃げ切った。
◇強打支える7番打者
【写真】6回裏浦和学院2死二、三塁、荒木が中越えに適時三塁打を放ち、サイクル安打を達成する=千葉県野球場
ソロ本塁打を含む4安打3打点と大暴れした7番荒木がサイクル安打を達成。報道陣の問い掛けで快挙に気付き、「調子自体はいつも通り。1打席目のバスターでタイミングが合った」と打撃の感触を振り返った。
もともと長距離打者ではなく、広角に打ち分ける器用さが持ち味。二回無死一塁から逆方向を突く右前打で逆転につなげると、三回には内角高めの直球を左翼席へたたき込んだ。「うまく風に乗ってくれた。点につながってよかった」と、練習試合を含めて初の本塁打を喜んだ。
五回に右中間へ二塁打を放つと、打者9人の猛攻で5点を奪った六回には2死二、三塁から再び中堅手の頭上を越すクリーンヒット。「打球を見失ってしまった」と止まりかけたが、余裕をもって三塁に到達した。
周囲も活躍ぶりを高く評価。「右に大きい当たりが打てる。下位であれだけ打てれば打線が機能する」とは中村コーチ。主将の津田も「信頼できるバッター。きょうの試合でひと皮むけたはず」と仲間をたたえた。
ベンチ入りした夏は川口に敗れた3回戦で代打出場。投ゴロに倒れた悔しさもあり、「ケアが足りなかった」と夏休みに右肩を痛めたが、復帰後はスタメンに定着。強力打線を下支えする背番号7は「しっかりチームに貢献したい」と決勝へ気持ちを引き締めた。
◇打線つながり投手陣を救う
くすぶっていた打線が闘志の炎を燃やした。
両チーム合わせて31安打の乱打戦を制した浦和学院が3連覇を達成した2012年以来、2年ぶりの決勝に進出。森監督は「やっと打線がつながり、風にも助けられた」と野手陣の奮闘に賛辞を惜しまなかった。
過密日程で互いに投手陣の消耗が目立つ中、打線が序盤から勝負強さを発揮した。0-1の二回2死一、二塁から諏訪、臺、津田の3連続適時打で3点を奪い逆転すると、2点リードの六回にも幸喜、荒木の2点適時打、西野の適時打で5点を追加。甘い球を見逃さず、計14安打10得点と攻め立てた。
9-2と大量リードで迎えた七回。コールド勝ちを目前に併殺崩れで1点を返されると、3連投で疲労の色濃いエース江口が打者11人に7安打を浴びて5失点。終わってみれば10-8と、好機で着実に加点した打線の援護が投手陣を救った。
29日の決勝では地元千葉の第1代表・木更津総合と激突。指揮官は「全ての投手をつぎ込むしかない。総力戦でぶつかりたい」と関東の頂へ視線を上げた。
(埼玉新聞)
試合結果 |
準決勝 10月28日(千葉県野球場) | ||||||||||||
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E |
健大高崎 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | 1 | 8 | 17 | 1 |
浦和学院 | 0 | 3 | 1 | 0 | 0 | 5 | 1 | 0 | x | 10 | 14 | 1 |
【浦】小倉、桑原、江口-西野【健】菅谷、橋詰、高橋涼、川井-柘植 ▽本塁打:荒木(浦)▽三塁打:荒木(浦)▽二塁打:荒木、山崎滉(浦)柴引、相馬(健) |
浦和学院打撃成績 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
⑤ | 諏訪 | 3 | 2 | 1 |
④ | 臺 | 3 | 2 | 1 |
⑥ | 津田 | 3 | 1 | 1 |
③ | 山崎滉 | 3 | 2 | 1 |
⑧ | 幸喜 | 5 | 1 | 2 |
⑨ | 高橋 | 4 | 0 | 0 |
⑦ | 荒木 | 5 | 4 | 3 |
② | 西野 | 5 | 2 | 1 |
① | 小倉 | 1 | 0 | 0 |
H | 田村 | 1 | 0 | 0 |
1 | 桑原 | 0 | 0 | 0 |
1 | 江口 | 3 | 0 | 0 |
計 | 36 | 14 | 10 | |
健大高崎打撃成績 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
⑧ | 春日 | 4 | 2 | 0 |
④ | 林 | 5 | 2 | 0 |
② | 柘植 | 5 | 5 | 3 |
⑤3 | 柴引 | 6 | 2 | 1 |
③ | 大島 | 3 | 1 | 0 |
R3 | 小谷 | 1 | 0 | 0 |
5 | 比嘉 | 1 | 0 | 0 |
⑦ | 佐藤 | 3 | 1 | 0 |
⑨ | 高橋翔 | 3 | 0 | 0 |
H | 柳元 | 1 | 0 | 1 |
9 | 皆川 | 1 | 0 | 0 |
⑥ | 相馬 | 4 | 1 | 1 |
① | 菅谷 | 1 | 0 | 0 |
1 | 橋詰 | 2 | 2 | 0 |
1 | 高橋涼 | 0 | 0 | 0 |
1 | 川井 | 2 | 1 | 2 |
計 | 42 | 17 | 8 |
投手成績 | |||||||
TEAM | 選手名 | 回 | 被安打 | 奪三振 | 四死球 | 失点 | 自責点 |
浦和学院 | 小倉 | 3 | 4 | 2 | 3 | 2 | 2 |
桑原 | 1 2/3 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
江口 | 4 1/3 | 11 | 2 | 4 | 6 | 6 | |
健大高崎 | 菅谷 | 1 2/3 | 5 | 1 | 3 | 3 | 3 |
橋詰 | 3 2/3 | 5 | 2 | 2 | 5 | 5 | |
高橋涼 | 1/3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | |
川井 | 2 1/3 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 |
TEAM | 三振 | 四死球 | 犠打 | 盗塁 | 失策 | 併殺 | 残塁 |
浦和学院 | 4 | 6 | 3 | 0 | 1 | 1 | 11 |
健大高崎 | 4 | 7 | 1 | 0 | 1 | 0 | 15 |
荒木がサイクル安打を達成するなど、14安打で10得点を挙げた浦和学院が健大高崎との打撃戦を制した。
二回に諏訪、臺、津田の連続適時打で逆転した浦和学院は、三回に荒木が左越えソロ本塁打。六回にも打者9人の猛攻で5点を挙げ、2点三塁打を放った荒木がサイクル安打を達成。
五回途中から登板した3連投のエース江口は9-2の七回に5失点するなど、計6失点とつかまったが、辛抱強く投げ抜いた。
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