◇総合力底上げも必須 |
全国各地区の秋季大会を制した10校が出場した明治神宮大会で、関東代表の浦和学院は準優勝と、全国でも実力がトップクラスにあることを示した。しかし、決勝では東北代表の仙台育英(宮城)に1-4で競り負け、選抜大会へ課題も浮き彫りになった。
◇冷静にチーム分析 |
初戦の準々決勝で東海大四(北海道)に10-0、準決勝では東海大菅生(東京)を6-1で破り、関東大会優勝の力を発揮した。
仙台育英は春夏連覇を狙った2013年夏の甲子園初戦でサヨナラ負けしている。因縁の相手との再戦に、選手たちも気合十分だった。
接戦となった試合は、1-2の七回に途中登板したエース江口が2点本塁打を浴び、1-4で敗れた。投手陣が終盤に踏ん張れなかったこともあるが、準決勝までの2試合で16得点した打線が、相手エース佐藤世を攻略できなかった。
佐藤は球速140キロ以上の速球が武器で、今秋のドラフト候補に挙げられる好投手。打線は3~5番が無安打に抑えられ、関東大会を通じてこの秋最多の8三振を喫した。
全国区のエース級をいかに攻略するか。2度目の全国制覇を目指す上で、明確な課題を突き付けられた。森監督は「本当の意味で真剣勝負だったのは花咲徳栄、桐光学園、東海大甲府、仙台育英戦の4試合」と秋の戦いを振り返る。この4試合の得点はいずれも4点以下。津田も「甲子園で投げてくるエース級を打ち崩せていない」と冷静にチームを分析する。
打力だけでなく、得点手段を増やす機動力、鋭い打球に対応できる守備、試合を決定付ける一球の大切さ。攻・走・守・投の全てで課題が見えてきた。
◇控えに手応え |
冬の期間、チーム力の底上げは必須だ。「メンバーの選考は振り出しから」と森監督。秋の主力が中心にはなるが、レギュラー陣を脅かす選手が出てこなければ、チーム内の競争は激しくならない。その意味では「2年生の控えがよく頑張っている」と指揮官の手応えを感じている。
選手たちは「このチームにスターはいない」と口をそろえる。特定の選手だけに頼らず、チーム全体の総合力で戦ったからこそ、秋の好成績につながったと言える。
開幕まであと2カ月を切った。悔しさの夏からスタートしたチームが、雪辱の秋を経て、節目となる10度目の春に満開の桜を咲かせられるか。それは充実の冬を過ごせるかに懸かっている。(おわり)
(埼玉新聞)