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秋季関東地区高校野球大会・出場15校紹介

 第68回秋季関東地区高校野球大会(関東地区高野連主催、毎日新聞社など後援)が31日、さいたま市大宮区の埼玉県営大宮公園、市営大宮の両球場で開幕する。関東6県(神奈川、千葉、茨城、栃木、群馬、山梨)の県大会上位2校と開催県・埼玉の県大会上位3校の計15校が出場。強豪同士の熱い戦いが期待される。関東大会の結果は、来春のセンバツ出場校を選考する際の重要な参考資料となる。出場する各チームを紹介する。

◇浦和学院(埼玉1位)「夏の悔しさをバネに」

 投手陣は140キロの直球が持ち味のエース榊原翼投手(2年)と、県大会準々決勝の川越東戦(延長十三回)で8イニングのロングリリーフを無失点に抑えて決勝も先発した辻二郎投手(2年)を中心に臨む。

 打撃は主将の諏訪賢吉(ただよし)選手(2年)やチャンスに強い5番の幸喜勇諮(こうきゆうし)選手(2年)を軸に、県大会終盤から上り調子の梶山直暉選手(2年)も含め、好打者がそろう。

 昨春のセンバツは全国4強入りしたが、今夏は県大会でノーシード校に敗退。森士監督は「新チームは伸びしろがある」と期待しつつ、「敵はわれにあり」とナインを引き締める。夏の悔しさをバネに大会2連覇、2年連続のセンバツ出場を目指す。

◇横浜(神奈川1位)「東海大相模を大差で」

 県大会では、夏の神奈川大会を決勝まで戦い抜いた主力メンバー6人がチームをけん引し、他校を圧倒。夏の甲子園優勝校・ 東海大相模を大差で降した。

 決勝で最速151キロを記録した本格派右腕の藤平尚真投手(2年)と、制球力と球のキレが抜群の石川達也投手(同)の二枚看板が守りの要。共に緩急織り交ぜた投球が可能で完投能力もある。

 打撃は4番の公家響選手(同)、村田雄大選手(同)、成長著しい増田珠選手(1年)らを中心に、短打をつないで得点を重ね、勝負強さも見せた。課題の長打力に磨きをかけ、2年ぶりの関東大会に臨む。戸堀敦矢主将(2年)は「『必ず勝つ』ということだけを考えたい」と気合十分だ。

◇木更津総合(千葉1位)「最少失点で守り勝つ」

 2年連続3回目のセンバツを目指す。エースは甲子園でも2試合で先発した左腕の早川隆久投手(2年)。県大会準決勝では最速142キロの直球を武器に、夏の甲子園出場の専大松戸に二塁を踏ませず、1−0と完封した。5試合計24回で失点1と安定し、もう1人の左腕・武田大慶投手(2年)も3試合19回で失点2。最少失点に抑えて守り勝つ。

 今春もベンチ入りした7人が残る中、「1年生の活躍が県大会での一番の収穫」と五島卓道監督が言うように打線では1番・峯村貴希選手、4番・山下輝選手の1年生2人が勝負強さを発揮した。小池航貴主将(2年)は「関東大会では思い切り攻める野球をしたい」と意気込む。

◇霞ヶ浦(茨城1位)「県内では負け知らず」

 夏の甲子園でベンチ入りした7人が残る。前チーム同様、勝負どころでの長打が武器。県大会決勝では佐野如一(ゆきかず)選手(2年)と根本将汰選手(同)が連続適時二塁打を放ち逆転勝利した。根本将選手は打率6割4分3厘と波に乗る。

 夏は三塁を守った飯村将太主将(同)が主戦。130キロ台後半の直球と変化球を織り交ぜた打たせて取る投球だ。益子侑也選手(1年)、小川翔平選手(2年)の二遊間を中心に守りも堅い。

 「飛距離はチーム一」(高橋祐二監督)という根本薫選手(同)の不振が気がかり。ただ夏の大会から県内では負け知らずで、飯村主将は「4強を目標に、甲子園につながる戦いをしたい」と意気込む。

◇白鴎大足利(栃木1位)「攻め続ける野球を」

 秋の県大会準決勝を九回逆転サヨナラ、決勝は延長十一回で競り勝った粘り強さが身上。チーム打率は3割を超え、どの打順からでも得点が狙える。

 エースで主将の伊沢京佑投手(2年)は、直球を主体にスライダーにもキレがある好投手。決勝ではロングリリーフと決勝打の活躍で秋初優勝の原動力となった。水野敦之投手(2年)は直球に力のある速球派右腕。2人を中心に投手陣は豊富だ。打線は1年生4番の秋智也選手を中心に切れ目がない。2014年春にセンバツ出場した先輩の背中を追ってきた。伊沢主将は「守備でも攻撃でも攻め続ける野球をして、絶対に関東を制覇したい」と2年ぶりの出場を目指す。

◇樹徳(群馬1位)「強力打線が持ち味」

 強力打線が持ち味で県予選6試合のうち5試合で2桁安打を記録した。準決勝では、今夏まで3季連続甲子園出場の健大高崎を相手に13安打を放ち、五回コールド勝ち。勢いに乗り、1970年の創部以来初の県予選優勝を決めた。

 攻撃の要は打率5割4分1厘の1番・田口敦也選手(2年)。茂木丈汰選手(2年)も打率5割9分と絶好調だ。チームの大黒柱は昨秋の県予選から正捕手を務めてきた嶋田翔主将(2年)。「一球集中で積極的に攻撃して得点し、投手を心理的に支えたい」と力を込める。1年生エースの左腕・小寺伶弥投手ら投手陣に的確な指示を出して能力を引き出し、準々決勝以降の3試合を2失点以内に抑えた。

◇東海大甲府(山梨1位)「走力のある選手多く」

 県大会5試合の失点は、2試合での計2点のみ。福武修選手(2年)を中心に、失策は計2と堅守が光る。

 投手陣は、夏の甲子園を経験した「二枚看板」で臨む。エースの菊地大輝投手(2年)は140キロ後半の速球に加え、制球力も増す。松葉行人投手(2年)は緩急を付けた変化球で打たせて取るタイプ。県大会でのチーム打率は3割5分5厘。松岡隼祐選手(2年)を筆頭に、萩原杏磨選手(2年)、谷口極選手(2年)の3人が打率が5割を超す。萩原選手を中心に走力のある選手が多いのも特徴で、「走れるクリーンアップ」を目指す。鬼頭孝明主将(2年)は「守備と走塁でかき回し、チャンスで点を取りたい」と意気込む。

◇花咲徳栄(埼玉2位)「『全員野球』の精神で」

 エースの高橋昂也投手(2年)は、最速145キロの直球と4種の変化球を操る。今夏は抑え投手として甲子園のマウンドを経験し、実績では埼玉県内随一。新チームで先発投手になり、制球力も安定感を増した。三遊間を固める主将の岡崎大輔選手(2年)と楠本晃希選手(2年)とともに守備の要を担う。

 攻撃面では、県大会決勝で3点本塁打を放ったスラッガー・隈本達也選手(2年)やチャンスに強い1番打者・千丸剛(ちまるつよし)選手(1年)の活躍が期待される。「どんな強豪でも接戦に持ち込めば、勝負は分からない。1点を大事に戦う」と岩井隆監督。初めての夏春連続甲子園出場を目指し、「全員野球」の精神で関東の頂点を狙う。

◇桐光学園(神奈川2位)「足を絡め好機生かす」

 右アンダースローの主戦・中川颯投手(2年)はキレのある直球と多彩な変化球を織り交ぜる技巧派。共に左腕の石山智大投手(同)、大河原誠投手(同)との継投で組み立てる。県大会は、夏の神奈川大会からチームを支えてきた大坪亮介捕手(同)とのバッテリーを軸に、手堅い守備で勝ち上がった。

 「課題は打撃」と野呂雅之監督。県大会決勝は横浜に散発4安打に抑えられた。準決勝で勝ち越し打を放った渡部遼人(はると)選手(1年)ら期待の成長株を中心に、関東大会に向けて素振りやフリーバッティングに力を入れ、強化を図ってきた。俊足の選手が多く、野呂監督は「足を絡めて少ない好機を生かしたい」と意気込んでいる。

◇千葉明徳(千葉2位)「自分たちの野球を」

 今秋から指揮を執る岡野賢太郎監督の下、準決勝では粘り強さを発揮して逆転勝ちし、初の関東大会出場を果たした。エースの持永真之介投手(2年)が県大会初戦で指を負傷し、背番号10の鈴木翔投手(2年)が急成長。大会を通じて二枚看板ができあがった。

 打線は1番の谷駿汰主将(2年)と県大会で打率4割の5番・星野恭平選手(2年)の出来がカギを握る。2回戦で2点本塁打を放った4番・中台陸斗選手(2年)、1年生ながら準決勝で3打点の菅井紀美靖選手も勝負強さが光る。6試合14盗塁の機動力で「相手にプレッシャーをかける」と谷主将。岡野監督は「うちは挑戦者。思いきり自分たちの野球をしたい」と話す。

◇常総学院(茨城2位)「堅い守りが支える」

 春の甲子園で8強入りに貢献した左腕・鈴木昭汰主将(2年)が投打の柱。最速142キロの直球と、スライダー、シュートなどの変化球をテンポ良く投げ分け、打者を手玉に取る。県大会では登板した2試合とも完封し、計24三振を奪った。打率も6割9分2厘とチーム一だ。

 遊撃手の中村迅選手(2年)を中心にした堅い守りが支える。県大会では全4試合で無失策だった。打線は決勝で4打数4安打の活躍を見せた宮里豊汰選手と、入学直後からほぼ先発出場してきた陶山勇軌選手の1年生コンビが好調だ。

 ただ決勝では16残塁と、好機に1本が出ず敗れた。佐々木力監督は「打撃を修正して上位を目指す」と語る。

◇文星芸大付(栃木2位)「乱れた守備を調整」

 佐野日大、青藍泰斗、5年連続で夏の甲子園に出場している作新学院と、私学の強豪を連破して秋季関東大会出場を決めた。

 制球力のある左腕・佐藤良亮投手(2年)は1年から登板経験豊富な不動のエース。終盤に崩れるスタミナ不足が不安視されたが、県大会では3試合を完投し、うち2試合は1点差の粘投が光った。4番の小野貴照捕手(2年)は県大会で本塁打1本を含む打率5割、7打点と波に乗る。3番・白倉僚選手(2年)も8打点と勝負強い。「守備に安定感を出し、重圧のかかる場面で1本を確実に打ちたい」と橋浦悠斗主将(2年)。県大会決勝で3失策と乱れた守備を調整し、25年ぶり3度目のセンバツを目指す。

◇桐生第一(群馬2位)「単打と犠打で確実に」

 単打と犠打で確実につなぐ高い基礎力が特徴で、守備も堅い。8強入りした2014年以来2年ぶりのセンバツ出場を目指す。

 投手の柱は左投げの内池翔選手(2年)。県予選6試合でいずれも先発し、合計39回を投げて防御率1・38。安定した制球で試合を作った。継投が基本戦術で、2番手には下手投げの青木快人投手(2年)が控える。

 打線は準決勝までの5試合で打点を挙げた高田修平選手(2年)が引っ張る。福田治男監督は創部と同時に就任し、今年で31年目。これまでに監督として計13回の甲子園出場経験がある。「選手全員が甘く入った球を逃さない意識を持ち、一つずつ 確実につなぎたい」と話す。

◇日本航空(山梨2位)「打撃力に磨きをかけ」

 主戦の片岡優大選手(2年)は最速140キロ前半の直球とスライダーを武器に5試合中4試合(30回)を投げ、防御率1・5とチームの大黒柱。守備では、遊撃手の元脇涼選手(2年)、中堅手の中渕蓮選手(2年)を軸に安定感を増す。

 チーム打率は2割8分2厘。昨年から先頭打者を務める中渕選手が出塁し、得点機をつかむ。4番の藤沢広大選手(2年)は 打率4割で、粘り強く安打を狙う。5番の片野大樹選手(2年)も打率4割7分1厘と打線をけん引する。

 課題は長打力。毎日1000本以上の素振りで打撃力に磨きをかける。沢田大志監督は「選手個々の向上心が強く、成長も見えてきた」と期待を寄せる。

◇春日部共栄(埼玉3位)「守備でリズムを作り」

 投手陣はオーバースローの本格派右腕、大道温貴(はるき)投手(2年)ら4人。県大会3位決定戦は、先発した鈴木慎吾投手(2年)と継投した大道投手で1失点に抑え、4併殺などで相手の好機を奪って関東大会出場をもぎ取った。関東大会でも守備でリズムを作り、攻撃につなげたい。

 打線は主将の関谷将貴選手(2年)、県大会3位を引き寄せる先制三塁打を放った浜田大輔選手(2年)らの活躍が期待される。本多利治監督は、埼玉3位での出場について「15位からの挑戦」と表現し「開き直って実力を発揮すれば、いい試合ができる」と期待する。選手たちは「(昨夏9年ぶりに甲子園に出場した)先輩たちに続きたい」と意気込む。

(毎日新聞)

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