22日に開幕する秋季県高校野球大会の組み合わせ抽選会は19日、上尾市のスポーツ総合センターで行われ、各地区の予選を勝ち抜いた38校の対戦相手が決定した。今夏の甲子園で県勢初の全国制覇を果たした花咲徳栄と、夏の県大会で準優勝だった浦和学院がAシードに収まった。
抽選会では本抽選に先立って県大会出場校によるシード校(A、Bシード)を選ぶ投票を行い、30票を集めた花咲徳栄、28票の浦和学院がAシードとなった。Bシードは18票の埼玉栄、17票の春日部共栄が選出された。抽選により、埼玉栄が花咲徳栄ゾーン、春日部共栄が浦和学院ゾーンに入った。
引き続き34校の主将らが予備抽選順にくじを引き、花咲徳栄は滑川総合、浦和学院は大宮東、埼玉栄は所沢商とそれぞれ初戦の2回戦でぶつかることが決まった。
大会は県営大宮など4球場で実施され、10月1日に決勝(10時)が実施される予定。上位2校が関東大会(10月21~25日・神奈川)に出場。今大会の8強は、来年の春季大会で地区大会には出場せず、県大会からの出場となる。
県大会は1回戦から有料で、一般500円、中高生200円。引率された少年野球、中学生チーム(引率者・保護者有料)、障害者(障害者手帳の提示)と介添え1人、小学生以下は無料。
地力で勝るAシード
県勢史上初となる夏の全国制覇を成し遂げたAシード花咲徳栄と、4連覇を目指す同浦和学院の実力は一枚上手だ。好素材が集うBシード埼玉栄、経験豊富な投手陣がけん引するBシード春日部共栄が追う展開か。
夏の日本一となった花咲徳栄は秋への準備期間は他チームより圧倒的に短い。それでも前チームで4番を担った野村を1番に据える打線は迫力があり、中軸は得点機を逃さない。投手陣は5投手での継投。中田、左腕和田らで逃げ切る。
浦和学院は地区大会で登板のなかった渡邉の復帰が好材料。夏の県大会で先発した経験のある右腕と、近野、左腕佐野とで3本柱を形成する。打線はつながりを意識した2番矢野、3番蛭間も機能している。
投打に充実感が際立つ埼玉栄は米倉、松原、左腕嶋田の投手陣が軸となり失点は計算できる。春日部共栄は内藤、左腕大木と夏に登板機会のあった投手陣が控えるだけに、打線の奮起が上位進出への鍵を握る。
坂本が投打の柱となる聖望学園は、攻守にまとまりがある松山と対戦する。ふじみ野-川越東は1回戦の注目カード。30年ぶりの県大会出場を決めた桶川西、21年ぶりの熊谷工、19年ぶりの浦和は久々の白星をつかみたい。代表2校が出場できる夏の100回記念大会へ新チームの戦いが開幕する。
悔しさ糧に一丸 Aシード浦和学院
4連覇へ視界良好だ。Aシード浦和学院の森監督は「なんとか戦力が戻ってきた」と地区大会で登板機会のなかった渡邉の復調を喜び、「一戦一戦を戦いながら、チームを仕上げていきたい。実力通りに力を発揮してくれれば」と手応えを口にする。
今夏の県大会決勝で敗れた悔しさを知る選手も多く一丸となる。特に打線の核となる2番矢野、3番蛭間は前チームからの主力で気合十分だ。主将の蛭間は「夏に負けた悔しさを晴らす。初心に帰って一戦必勝」と力を込めた。
闘志むき出しに Aシード花咲徳栄
夏春連覇への挑戦権を全国で唯一得ているAシード花咲徳栄の戦いが始まる。シード校を決めるチーム間投票では最多30票を集め、主将の新井は「技術面どうこうではなく、勝つ気持ちを前面に出していきたい」と闘志をむき出しにする。
前チームから引き継がれている強固な精神力で4年ぶりの県王者奪取を目指す。主将の新井は「日本一を取ったのは先輩たち。切り替えて自分たちの代も地道に力を付けて、まずはセンバツに出たい」と力強く目標を語った。
好素材 投打に充実 Bシード埼玉栄
10年ぶりのシードに推された埼玉栄。チームスローガンは「勝つために何をすべきか。各自がチームのために」。鍛え上げてきたチーム力で頂点を目指す。個々の能力は高く、主将の海崎は「ベンチ入り、外関係なく一丸となって一戦一戦大事に戦いたい」と力を込めた。夏を経験したメンバーも7人残り、実力がついてきている。
海崎は「要所できちんと点を取って、新人戦からコールドで勝ってきた。初回から攻めて、早いうちに点を取る」と表情を引き締めた。
突き破る4強の壁 Bシード春日部共栄
春日部共栄は3年生が越えることのできなかった4強の壁を破ると意気込み、受け継いだ思いを胸に闘志を燃やす。
夏もチームをけん引した2人の投手が鍵となる。負けず嫌いでピンチになると燃えるエース内藤とポーカーフェースの左腕大木が精神面でも支柱を担う。
主将の田山は「新チームは明るく楽しい」と話しながらも、「先輩から自分たちの代で結果を残せと言われた。部員一体となって粘り強く戦って、より高みへの挑戦をする」と力を込めた。
2投手がけん引 守備からリズム 30年ぶりの桶川西
30年ぶりに秋の県大会に桶川西が出場する。昨年に続きエース左腕並木と松岡の2投手がけん引。地区大会では守備からリズムをつかみ、永井主将は「この2人がしっかりしてきた」と飛躍の理由を語った。
攻撃では「自分に負けない」を合言葉に、主将は「積極的に行くけれど、引くときは引く勇気を持てるように」と冷静な姿勢で臨む。栄北との1回戦が決まり、「県でどれだけ戦えるか確かめる。自分たちらしい野球をすれば結果はついてくる」と自信をのぞかせた。
タイブレーク 来春から導入 選抜高校野球大会
日本高野連は19日、大阪市内で選抜高校野球大会の運営委員会を開き、来春の第90回記念大会からタイブレークを導入することを決めた。延長十三回から実施する方向で、アウトカウントや走者の設定などは今後協議して決定する。
第90回記念大会は例年より4校多い36校が参加し、一般選考の32校、21世紀枠の3校、神宮大会枠の1校で行う。大会日程は来年3月23日から13日間(準々決勝翌日の休養日を含む)。出場校を決める選考委員会は1月26日、組み合わせ抽選会は3月16日に実施する。
(埼玉新聞)
タイブレーク甲子園導入 県内でも今後検討
日本高野連が19日に開いた理事会で、春と夏の甲子園でのタイブレーク採用が可能になった。選手の負担などを考慮したルール変更で、来春の第90回記念選抜大会で早速採用されることも決まり、県内の指導者らからも様々な声が上がった。
来夏、埼玉から2代表が出場する第100回全国選手権記念大会と、南北に分かれる埼玉大会での導入は未定。各地方大会での導入を都道府県高野連が決められるのか、全国一括で決めるのかも決まっていない。
県高野連が導入の可否を決められる場合について、県高野連の小山友清専務理事は、他の都道府県の判断を注視しながら「今後の理事会で方向性を決めていく」と話す。その上で、個人的な考えとして「甲子園で導入されるのであれば、『準備』として県内での導入も必要になるかもしれない」と前向きな姿勢だ。
今夏の甲子園で県勢初優勝を果たした花咲徳栄は、今春の関東大会で早稲田実(東京)にタイブレークで敗戦。岩井隆監督(47)は「実力が出た」と振り返り「両チームに与えられる同じチャンスをものにできるかが勝負を決める」と仕組みに一定の評価を与える。
「夏だけは最後までガチンコで勝負したい」と言うのは市川越の新井清司監督(61)。走者のいる場面をあらかじめ設定されると「実力以外の部分で決まるかもしれない」と懸念し、3年生の最後の公式戦となる夏の大会への導入には疑問を呈した。
(朝日新聞埼玉版)