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浦学、徳栄下し6連覇 9回執念の逆転 春季県大会

 (4日・県営大宮)

 3年連続の同カードとなった決勝は、昨年王者の浦和学院が6―5で昨秋王者の花咲徳栄に2年連続のサヨナラ勝ちし、6年連続15度目の優勝を飾った。

 浦和学院は4―5の九回に先頭蛭間が左中間へ同点ソロを放つと、後藤の左前打と四球二つなどで2死満塁とし、矢野が死球を受け、押し出しで決着した。0―2の三回に内野ゴロで1点を返し、河北が逆転の2点打、3―5の七回にも1点を返すなど食い下がった。投手陣は先発近野、下薗、河北、永島の継投で14安打を浴びながら5失点と粘り強く投げた。

 浦和学院と花咲徳栄は関東高校大会(19~23日・千葉)に出場。浦和学院は20日の2回戦から登場し、千葉4位と栃木2位の勝者と戦う。花咲徳栄は19日、1回戦で千葉3位と対戦する。

総力結集のサヨナラ

9回裏、蛭間が左中間に同点本塁打を放つ

 これが浦和学院の意地だ。昨夏、決勝で花咲徳栄に敗れた雪辱を果たした。

 「こんなところで負けてたまるか」(主将の蛭間)という執念が実ったのは4-5で迎えた九回だ。「迷わず振れ」と森監督に送り出され、先頭で打席に入った蛭間が初球の外角高めの直球を左中間スタンドへ運ぶ同点弾。「絶対に逆転するぞ」というチーム全体の雰囲気は最高潮に達した。

 訪れた勝機は逃さない。小町が四球で出塁すると、続く後藤が「一打に全てを懸けた」と左前へ運んで無死一、二塁。その後、暴投、一ゴロ、四球、一邪飛で2死満塁となり、矢野がカウント2ボールから打ち気を失わずに踏み込んでいくと、内角球が体を直撃。矢野は「打ってかえしたかったが、死球でもチームに貢献できてよかった」と汗を拭った。

 一~八回でわずか5安打と不振だった打線が最後に力を振り絞れたのは、「とにかく外中心できてるから」「思い切り頼むぞ」と打者を送り出したベンチの仲間の声があったから。今大会、左腕佐野と右腕渡邉の両輪を欠きながら、奮闘した投手陣がいたからだ。勝因は「総合力で最後にうっちゃることができた」と森監督が語った一言に尽きる。

 サヨナラの押し出し死球は、力を結集して苦難を乗り越えた選手たちへのご褒美なのかもしれない。「こんな不思議な勝ち方じゃないと、花咲徳栄には勝てないよ」と森監督は苦笑いするが、その不思議な力こそが6連覇を成し遂げられる強さ。夏に笑えるのは、体力や技術、戦術を超えた力を持つ者だけだ。

窮地救う主将の一発

 1点を追う九回裏、「ここで終わりたくない」と最後まで勝利を諦めなかった浦和学院の主将蛭間が左中間スタンドに放り込み、チームの窮地を救った。準々決勝まで13打数5安打、決勝は第3打席を終えて3打数1安打と腰の痛みが影響し、本来の打撃ではなかった主砲の一発がサヨナラ勝ちへと導いた。

 外角を振り切ることだけを考えていた。「全然打てていなかったので、とにかく塁に出る」とバットを短く持って単打を意識し「真っすぐだけ」と初球の外角高めを振り抜いた。「ボールがバットに乗っかった感触があった」と久々の手応えに表情は明るかった。

 森監督は「あの本塁打は圧巻だった。吹っ切れたバッティングができたのかもしれない」と頼れる男の復調を喜んだ。

(埼玉新聞)

復調の主将、リベンジの一発 浦学・蛭間選手

 「絶対塁に出る」。九回裏の先頭打者、浦和学院の主将蛭間拓哉君(3年)は初球の外角高めの直球にバットを出し、同点の中越え本塁打を放った。花咲徳栄の斎藤倖介投手(3年)は「あの一撃で緊張が高まってしまった」。死球押し出しで試合は幕切れとなった。

 昨夏の埼玉大会は2年生で4番を務め、決勝で徳栄に敗れて甲子園出場を逃した蛭間君は、その後苦しい時期を過ごした。

 2月の遠征中に急に腰が痛み出し、3月途中まではボール渡しなどサポート役に回った。復帰後の練習試合では5試合無安打。それでも、打撃練習を重ねて今大会は調子が戻ってくるのを感じた。決勝でチームを救う結果を出した。

 「徳栄にリベンジがかない、不調の自分を支えてくれた仲間や先生に恩返しができてうれしい。夏までに、勝負どころで必ず打てる主将になります」

夏開幕は南埼玉 浦学主将が選手宣誓

 同大会の結果を受け、7月7日に開幕する第100回全国高校野球選手権記念南・北埼玉大会は、南埼玉が開幕戦を行い、決勝戦は南埼玉が同23日、北埼玉は同24日に行うことが決まった。選手宣誓は、春季高校野球県大会優勝の浦和学院の主将が務める。

(朝日新聞埼玉版)

仲間への感謝を胸に 蛭間拓哉主将

 「球は外にきているから思いっきり打て」。チームメートの言葉を胸に、狙い球に迷わずバットを振ろうと決めていた。1点を追う九回裏、初球の外角高めの直球を振り抜くと、球は中堅手の頭を大きく越えていった。「打てたのはチームのおかげ」。仲間への感謝の言葉が口をついた。

 2月の遠征中、突然腰に痛みを覚え、バットを振れなくなった。主将という立場にもかかわらず、一時戦線を離脱。それでも「チームのためにできることを」とサポートに徹した。バットを振れたのは3月から。腰の状態を考慮し、トレーナーと相談してスイング練習に力を入れた。

 今大会も腰の違和感は消えず、決勝も腰にサポーターを巻いて臨んだ。「チームに散々迷惑をかけた。恩返ししたい」。仲間への思いが試合の流れを変える一打につながった。

 続く関東大会では連覇の期待も懸かる。「主将としてチームマネジメントをしっかりしたい」と力を込めた。

(毎日新聞埼玉版)

勝利呼び込む圧巻の一打

 決して一発を狙ったわけではない、コンパクトなスイングだった。

 1点を追う九回、森士監督から「迷わず振れ」と声をかけられた。初球、外のストレートを振り抜いた打球はぐんぐん伸びてスタンドに飛び込んだ。森監督が「まさに圧巻」と絶賛する一打で、試合は土壇場で振り出しに。主将が流れをつかみ、勝利を呼び込んだ。

 2月の練習中に腰に痛みが走った。診断は椎間板炎症。守備や打撃練習に参加出来ず、「主将なのに申し訳ない」という気持ちでボール渡しなどの雑用をする日々。焦りやもどかしさが募る中、腰に負担のかからない筋力トレーニングや腕立て伏せに励み、体幹を鍛えた。

 4月から練習試合に出たが、5試合ノーヒット。試合勘が戻らず、力んで芯でボールをとらえられない。思い切ってバットを短く持つフォームに変えると、安打性の打球が増えた。スイングは小さくても、怪我をした間に身につけた筋力で強い打球が飛ぶ。九回の本塁打は「地道に筋トレに取り組んだ結果」と話す。

 「力になれず迷惑をかけていたから、何とかしたかった。完全復活と言ってもいいのかな」。照れくさそうに語った。

(読売新聞埼玉版)

試合結果

 県大会決勝 5月4日(県営大宮)
TEAM 1 2 3 4 5 6 7 8 9 H E
花咲徳栄 0 2 0 2 0 0 1 0 0 5 14 1
浦和学院 0 0 3 0 0 0 1 0 2x 6 7 0
【浦】 近野、下薗、河北、永島-畑
【花】 和田、岩崎、齋藤-田谷野
蛭間(浦)
荒木(浦)
野村、倉持3、井上、田谷野、橋本、羽佐田(花)小町(浦)
 浦和学院打撃成績
位置 選手名 打数 安打 打点
中前 5 0 0
矢野 3 1 1
⑨717 河北 4 1 2
4 0 0
蛭間 4 2 1
坪井 1 0 0
H3 小町 1 1 0
荒木 2 1 0
1 下薗 0 0 0
H4 後藤 2 1 1
近野 0 0 0
H9 上野 3 0 0
阿部 2 0 0
7 佐藤 0 0 0
1 永島 0 0 0
31 7 5
 花咲徳栄打撃成績
位置 選手名 打数 安打 打点
橋本 4 1 1
杉本 5 0 0
韮澤 5 2 0
野村 5 3 0
羽佐田 5 3 0
倉持 5 3 2
井上 4 1 1
和田 1 0 0
H 池田 1 0 0
1 岩崎 2 0 0
1 齋藤 0 0 0
田谷野 3 1 1
40 14 5
 投手成績
TEAM 選手名 被安打 奪三振 四死球 失点 自責
浦和学院 近野 4 8 0 0 4 4
下薗 3 4 1 2 1 1
河北 2/3 0 1 0 0 0
永島 1 1/3 2 0 0 0 0
花咲徳栄 和田 3 2 0 3 3 2
岩崎 4 2 3 0 1 0
齋藤 1 2/3 3 0 3 2 2
TEAM 三振 四死球 犠打 盗塁 失策 併殺 残塁
浦和学院 3 6 1 1 0 1 6
花咲徳栄 2 2 0 0 1 1 10

 浦和学院が花咲徳栄に2年連続でサヨナラ勝ちした。浦和学院は4―5の九回、先頭打者蛭間の本塁打で同点。四球二つと後藤の左前打などで2死満塁の好機をつくると、矢野への死球で勝ち越した。投手陣は先発近野、下薗、河北、永島の4人で5失点。花咲徳栄は2―3の四回に田谷野、橋本の連続適時打で逆転したが、畳み掛けられなかった。

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