夏季埼玉県高校野球大会の全出場チームの詳細データ・戦力分析、3年生名簿などが掲載される「週刊ベースボール別冊 埼玉大会展望号」が今年も発売されます。発売は8月4日です。
ユニフォームに恥じぬ戦いを!オール3年生で目指す埼玉の頂
4月の緊急事態宣言を受け、寮は一時解散。ナインは5月末まで自宅でオンライン授業を受けながら自主練習に励んだ。5人のコーチが2、3年生合わせて55人に対し、オンラインでの健康管理や練習指導を行ったものの、どう取り組むかは選手次第。様子が分からないため、森士監督には果たして…という思いもあった。だが自己責任に委ねられた期間は、チームにとっていい機会になったという。
「実は数年前からティーチングからコーチングの指導に転換したいと考えていました。監督やコーチが号令をかけて、集団で強制的な練習をするのではなく、各々が主体性を持って練習に向き合う形にしたい、と。今回の自主練習はまさにそれで、これを機に自立したチームへと脱皮できるよう、大きく舵を切るつもりです」
夏の甲子園の中止が発表されたのは、緊急事態宣言が継続されていた最中。選手と直接話ができなかったため、森監督は解除後に選手が寮に戻ってから3年生全員(24人)と面談を行った。「甲子園は彼らにとって最大の目標でしたからね。思いの丈を私にぶつけながら泣き崩れる子もいました」。指揮官はその気持ちを汲み取りながらも「甲子園は長い人生の通過点。目標を甲子園以上に大事な進路に切り替えよう」と諭したという。
今夏の埼玉独自大会には「3年生の投手陣が充実している」こともあり、オール3年生で挑む。森監督が手応えを示す投手陣の先頭に立つのは、148キロ右腕の美又王寿だ。自主練習期間中はあまりボールを握れなかったものの、下半身を鍛え抜いた。ハートも強い。美又に続くのは廣咲悠雅と伊藤和平の両左腕。昨秋の先発経験もある最速141キロの廣咲は変化球にもキレがあり、スライダーは左右どちらの打者にも有効に働く。中心となるこの3人に加え、木藤忠広と小倉奨真の2人の好右腕も出番を待つ。リードする捕手は石崎聖也、木藤大翔、眞銅和馬の3人が「正妻」の座を争っている。
攻撃陣に目を転じると、一番を打つのは身長187センチ体重83キロの大型打者・里飛鳥。50メートル走6秒フラットの快足で長打力も秘める攻撃型トップバッターだ。クリーンアップは小櫻耕介、主将の金丸斗南、オコリ・ジャスティン・健の3人の右打者がこの順番で務める。いずれも身長180センチ以上と大柄でパンチ力がある。里と小櫻は2年時からのレギュラーで経験値が高い。「できるだけ多くの3年生を出してあげたいが、独自大会もむろん勝ちに行く」と森監督。ユニフォームに恥じない戦いで埼玉の頂点を狙う。
主な内容
▽全148出場チームの詳細データ+戦力分析+全3年生名簿
▽夏の主役は譲らない
・井上朋也(花咲徳栄)豆田泰志(浦和実)秋葉敬太(上尾)美又王寿(浦和学院)渡邉翔大(昌平)蔵田亮太郎(聖望学園)平野裕亮(山村学園)北田智郎(正智深谷)内田了介(埼玉栄)松木光(西武台)平尾柊翔(春日部共栄)
▽大会組み合わせ、大会展望、球場ガイド、甲子園各種データほか