第4日は準決勝を行い、秋季県大会王者の浦和学院は、山梨1位の山梨学院に延長十回の末、2-9で敗れて決勝進出を逃した。
2-2の延長十回、浦和学院は七回から登板したエース宮城が3連打を浴びるなどして2点を勝ち越され降板。先発した金田が再びマウンドに上がったものの、さらに5点を奪われ、この回計7点を失った。打線は5安打2得点にとどまり、相手エースを打ち崩せなかった。
打線の勝負強さ課題
浦和学院は結果としては延長十回に7失点し、2-9の大敗となったが、終盤まで山梨学院と互角だった。勝つチャンスは十分あっただけに、森監督は「好投手を打ち崩そうと後半勝負でやっていたが、仕留め切れなかった」と唇をかんだ。
山梨学院のエース榎谷は直球が140キロ超の本格派右腕。主将の八谷は「低めの変化球を振らないようにベンチ内で徹底していた」と、意思統一して臨んだ。ところが、球速差があるスライダーとフォークで緩急つけられ凡打の山。長打は四回にタイムリーを放った高山の三塁打のみと、自慢の強力打線が不発だった。決して相手エースが好調だったわけではない。幾度もボールが先行し、打者に有利な状況が訪れたものの、金田は「好投手相手に(バットに)当てにいってしまった」とプレッシャーを与えることができなかった。
だが、冬を前に課題が明確になったのは収穫。県大会では打ち勝てたが関東やその上の全国で勝つには、さらなる打線強化の必要性を感じたはずだ。八谷は「追い込まれての一本、流れを変える一本を打てるようにしないといけない」と向上心を燃やす。指揮官も「個々のスキルをアップしていかなければ」と打力アップを掲げる。来春の甲子園で、浦和学院打線が快音を響かせてくれることを楽しみにしたい。
大内に復調兆し 巧打、堅守を披露
チームは敗れたものの、9番大内が打っては2安打、守っては堅実なプレーを披露した。
「相手は140キロを超える投手だから真っすぐに合わせて打ちにいく」と2打席目は右前に引っ張り、3打席目は左前へ流し、広角に打ち分けた。「自信がある」と言う守備では、機敏な動きで二塁手と遊撃手をそつなくこなした。
準々決勝まで1安打だったが、復調の兆しが見えた巧打者は「個々のスキルを上げて相乗効果を生み出したい」と、レベルアップを図る。
終盤の投球に悔い
関東大会で初先発した金田は2度登板し、被安打8、5失点と不本意な結果に終わった。「関東制覇、神宮出場が目標だったのに」と悔しさをにじませた。
右腕は一回に先頭打者本塁打を浴びたが、その裏に自ら犠飛を放って同点。その後は六回まで走者を出しながらも粘投を見せた。捕手の高山は「久々の登板で心配だったが、インコースを投げられていた」と納得の表情だった。
2度目のマウンドは2-4の延長十回1死一、二塁。追加点を許したくなかったが、「投げる球がなかった」と自信を持って投げられず、適時二塁打などを浴びて、さらに5点を許した。
春に向けて課題が明確になった金田は、「持ち味のストレートを磨くことに課題を持って取り組みたい」とさらなる成長を誓った。
(埼玉新聞)
浦和学院、10回に7失点で敗戦も「これだけの成果を上げられた」
浦和学院(埼玉1位)が準決勝で山梨学院(山梨1位)と対戦し、延長10回の末敗れた。今秋、監督に就任した森大監督(30)にとって、初黒星となった。
2-2で迎えた延長10回、7回からマウンドに挙がったエース・宮城誇南投手(2年)が、山梨学院打線につかまり4本の長短打で勝ち越しを許した。すぐに先発の金田優太内野手(2年)をマウンドに戻したが、相手の勢いを止められず。この回一挙7失点と大量失点を許してしまった。
宮城は「エースとしてあまり投げられなくて悔しい」と肩を落とした。制球が定まらず、10回までに修正ができなかった。「今日は調子がよくなかった。その中でも何とか抑えていたが、10回に全部出てしまいました」と振り返った。
敗戦も、新チームの秋の成果は大きい。新体制になり環境が変わる中、選手たちはただ前を向いて走り抜き、準決勝までたどり着いた。森監督は「夏が終わって短い期間の中で、これだけの成果を上げられた。ここまで本当によくやってくれました」と選手たちをたたえた。
しかし、甲子園で上を狙うには、まだまだ課題はある。宮城は「序盤の不安定さが課題。ひとつでも多く課題をつぶし、春には変わった姿を見せられるようになりたい」と力強く話した。
(日刊スポーツ)
浦和学院が延長10回に力尽き、7年ぶり決勝ならず
今夏の甲子園を最後に森士(おさむ)監督(57)が勇退し、長男の大(だい)氏(30)が就任した浦和学院(埼玉1位)は延長10回に一挙7失点を喫するなど力尽き、山梨学院(山梨1位)に敗れた。森新監督は公式戦初黒星で、連勝は8で止まった。
2-2で延長に突入した10回、7回から登板したエース左腕・宮城誇南(こなん、2年)が4安打を浴びて2点を勝ち越され、降板。その後、遊撃の守備から再登板した金田優太(2年)も流れを止められず、この回7安打を集中され、7失点。優勝した14年以来、7年ぶりとなる決勝進出を逃した。
森監督は「終盤勝負と思っていたが、相手投手が最後まで馬力のある投球をしていた。最後に押し切られてしまったのは、個対個の力が足りなかったからだと思う」と振り返った。
それでも、宮城、金田の2枚看板を軸に、新チーム結成から公式戦無敗で関東4強まで進出。指揮官は「2人は今までもしっかり投げてくれていた。短い期間の中でこれだけの成果をあげられた。ここまでよく頑張ってくれた」とナインをねぎらった。
(スポーツ報知)
勝ち越し打、盗塁も阻止 浦和学院・高山維月捕手(2年)
同点で迎えた四回裏1死一塁。インコースの直球を捉えると、打球は右翼線へ。「狙っていなかったけど、払う感じで振ったらうまくいった」。適時三塁打となり、1点を追加した。守っては捕手として、「腕を振っていけ」と投手陣を鼓舞。2度、盗塁を阻止して強肩ぶりをみせ、相手の好機を潰した。
投手として入学。なかなかレギュラー入りできず、外野手でプレーするなど試行錯誤していた2年の春。練習でバッティングキャッチャーをした際に楽しさを覚え、捕手へ転向した。当初は二塁への送球で「コントロールがつかず、全然アウトがとれなかった」が、午前5時からの自主的な朝練で投げ込み、制球力を鍛えてきた。
今試合はチームの二枚看板である金田と宮城が粘ったが、相手エースを打ち崩せず、同点で延長戦に突入。十回表、打撃で勢いに乗った相手を止めることができず、大量得点を許して敗れた。試合後は、悔しそうな表情を見せながらも「延長戦で勝つためには、体力をもっと鍛える必要がある。打撃もフルスイングできていなかった」と冷静に分析。目標は「チームで一番打てる捕手」と言い切り、さらなる成長を誓って球場を後にした。
相手投手に馬力 浦和学院・森大監督
投手の金田も宮城も粘ってくれた。好投手を打ち崩すために後半が勝負だと思ったが、仕留めきれなかった。相手投手の方が馬力があり、押し切られた。個々の力を上げていきたい。
(毎日新聞埼玉版)
打たれた二枚看板 春見据える 宮城、金田投手
7年ぶりの関東大会4強入りを支えた浦和学院の左右の両エースにとっては、ほろ苦い準決勝となった。
延長十回。2番手の左腕・宮城誇南(こなん)投手(2年)は先頭打者に二塁打を許した。1死を奪った後、相手の1年生の4番打者に勝ち越しの左前適時打を許した。さらに2連打を浴びて、降板。劣勢の時にどう立て直すかを課題にしてきたが「流れを呼び寄せるピッチングができなかった」と悔やんだ。
代わってマウンドに立ったのは、右腕の金田優太投手(2年)。この日は先発し、6回を2失点に抑えていたが、再登板では「どう打ち取るか考えた時に、投げられる球がなくなってしまった」。最初の打者に二塁打を浴びるなど、3長短打で3失点した。
夏までの前チームでは、継投してきた2人。新チームになり、1人で投げきることを目標にしてきた。宮城投手は体重が3キロ増え、直球の球速も2キロ上がった。関東大会の準々決勝では完封するなど、成長した面もある。森大監督は「2人とも、よく粘って投げてくれた」とねぎらった。宮城投手は「課題は山積み。春に向けて取り組んでいきたい」と前を向いた。
(朝日新聞埼玉版)
試合結果
秋季関東大会・準決勝(11/6・J:COMスタジアム土浦)
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
山梨学院 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
浦和学院 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
TEAM | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 計 | H | E |
山梨学院 | 7 | 9 | 14 | 0 | |||||
浦和学院 | 0 | 2 | 5 | 1 |
【浦】 | 金田、宮城、金田-高山 |
【山】 | 榎谷-佐仲 |
本 | 鈴木(山) |
三 | 高山(浦) |
二 | 進藤、佐仲(山) |
打撃成績
浦和学院 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
⑦ | 小林 | 2 | 1 | 0 |
5 | 森 | 1 | 0 | 0 |
⑧7 | 伊丹 | 3 | 0 | 0 |
①61 | 金田 | 3 | 1 | 1 |
③ | 鍋倉 | 4 | 0 | 0 |
⑨ | 喜屋武 | 3 | 0 | 0 |
② | 高山 | 4 | 1 | 1 |
④ | 大勝 | 1 | 0 | 0 |
18 | 宮城 | 2 | 0 | 0 |
⑤4 | 八谷 | 4 | 0 | 0 |
⑥46 | 大内 | 4 | 2 | 0 |
計 | 31 | 5 | 2 | |
山梨学院 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
④ | 鈴木 | 5 | 4 | 2 |
⑥ | 進藤 | 4 | 1 | 0 |
⑧ | 岩田 | 5 | 1 | 0 |
③ | 高橋 | 5 | 3 | 2 |
⑤ | 相澤 | 4 | 1 | 0 |
⑦ | 渋谷 | 5 | 1 | 1 |
② | 佐仲 | 5 | 2 | 1 |
⑨ | 星野 | 4 | 0 | 0 |
① | 榎谷 | 4 | 1 | 2 |
計 | 41 | 14 | 8 |
投手成績
浦和学院 | |||||||
選手名 | 回 | 安打 | 三振 | 四球 | 死球 | 失点 | 自責 |
金田 | 6 2/3 | 8 | 1 | 4 | 1 | 5 | 3 |
宮城 | 3 1/3 | 6 | 3 | 1 | 0 | 4 | 4 |
計 | 10 | 14 | 4 | 5 | 1 | 9 | 7 |
山梨学院 | |||||||
選手名 | 回 | 安打 | 三振 | 四球 | 死球 | 失点 | 自責 |
榎谷 | 10 | 5 | 8 | 2 | 1 | 2 | 1 |
計 | 10 | 5 | 8 | 2 | 1 | 2 | 1 |
チーム成績
TEAM | 攻撃 | 守備 | |||||
三振 | 四死球 | 犠打 | 盗塁 | 残塁 | 失策 | 併殺 | |
浦和学院 | 8 | 3 | 3 | 0 | 5 | 1 | 0 |
山梨学院 | 4 | 6 | 1 | 0 | 9 | 0 | 0 |
浦和学院は継投策が実らず、延長十回に打者11人の攻撃を許して7点を失った。1-1の四回、高山の適時三塁打で勝ち越し。だが五回、山梨学院に内野安打で追い付かれた。七回に先発金田から代わった2番手宮城は延長十回に3連打などで2点を勝ち越され、再び登板した金田は守備の乱れも絡み5点を奪われた。打線も5安打2得点と、相手エースを攻略できず。