【写真】全体練習の始めにグラウンドを走る選手ら=浦和学院高校で2022年2月15日
3月18日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する第94回選抜高校野球大会に、7年ぶりの出場が決まった浦和学院。2021年夏の甲子園経験者を軸に、21年秋季関東大会では高い打撃力と安定感ある守備でベスト4入りを果たした。冬を経て進化を遂げたチームの姿と、新たに就任した森大監督の改革を紹介する。
21年秋に就任した森監督のもと「超攻撃型野球」を掲げて秋季大会に臨んだ浦和学院。「監督が代わって1カ月で秋の大会が始まり、急ピッチでチームを作った。関東大会を終えて5カ月間、ようやく時間が作れた」。大会後、森監督は新たなビジョンを描いていた。
「取り組みをあやふやにさせないため」、段階に合わせてスローガンを示す。大会後、栄養を蓄える時期として提唱したのが「冬眠」。柱として取り組んだのが、体作り▽脳の活性化▽メンタル強化――の三つ。「三本の矢」と位置づけた。
筆頭の体作り。選手の多くが「神宮大会で見た他校の選手の体格に圧倒された」と話し、この冬、力を入れて取り組んだことに体作りを挙げる。
筋肉をつけるためのトレーニングや食事と並んで、森監督が重要視したのは睡眠だ。その質を向上させるため、全員強制参加だった早朝練習を原則としてなくした。「浦学の朝練は伝統的にきつい練習をしてきた。それはそれで良かったが、朝5時半に起きなきゃいけないプレッシャーもあった」(森監督)。睡眠時間が30分~1時間増えた結果、選手の身長は平均1・0~1・5センチ伸び、体重も増加するなど成果が現れた。常駐する栄養士の力も借り「練習と睡眠のバランスを意識して取り組んだ」。
体を使った練習だけではない。言語化する能力を養うため、小論文や読書感想文にも取り組んだ。森監督は「試合中にコミュニケーションを取る上で、少ない時間でインプット、アウトプットできることが大事」と話す。
実戦形式の練習にも変化があった。21年12月の紅白戦では、監督、コーチがベンチに入らず、選手自身で指揮を執った。相手チームの分析も選手同士で行う。冬の間は木製バットを振り込み、新チーム以降は課題練習の時間を増やし、個々の力を集中して伸ばした。2日間の紅白戦で4本の本塁打が出ることもあるといい、手応えを口にする選手も少なくない。センバツでは「冬眠」を経て、一回りたくましくなった姿が楽しみだ。
(毎日新聞埼玉版)