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高校野球・新指揮官の挑戦 浦和学院・森大監督「心理を学び伝統校に新風」

性格つかみ個の力引き出す

 春夏合わせて25度の甲子園出場を誇る埼玉・浦和学院高。2013年の選抜で優勝を果たすなどし、「浦学」の愛称で高校野球ファンにおなじみだ。昨夏、同校を30年率いた森士監督の後を受け継ぎ、息子・大氏(31)が監督に就任。心理カウンセラーの肩書を持つ若き指揮官は高校球界に新たな風を吹かせている。

 在学中に同校は夏の甲子園に3度出場。3年生の時に、初戦で筒香嘉智擁する横浜高相手に先発登板した。卒業後は早大、三菱自動車倉敷でプレーした。

 指導者を志したのは大学時代。4年間でメンバー入りはかなわなかったが、後輩の育成や裏方の仕事の重要性を実感した。25歳の若さで現役引退したのは、父に「自分が元気なうちに戻ってきて指導するのはどうだ」と誘われたことが大きかった。

 野球指導者としては異色の「心理カウンセラー」の肩書を持つ。「強いチームやうまい選手はどういう心理状態でやっているのか」という好奇心から、引退後に早大大学院で学んだ。

 「より多角的な視点で子供と接することができるように」との心理学での学びは現在に生きている。指導では選手個々の性格や特徴を踏まえて向き合う。例えば、今春の選抜大会でエースナンバーを背負った宮城誇南。成績はオール5近い頭脳派。頭の回転が速く理解力が高いため、具体的な指導を心がける。

 一方、感覚で理解するタイプの選手には、自ら打撃投手を務め「今の打撃だよ」などと体に染み込ませる指導を意識。性格や気質に合わせた個別指導で最適なアプローチをする。

 練習内容でも自身の色を出す。選手の睡眠を重視し、従来行っていた朝練を廃止。通常練習も時間を明確に区切り、そのなかでメニューを終わらせることを徹底している。

 「浦学OBの皆さんが積み上げてきた伝統を守り抜いていかないといけない」と、就任後にユニホームを旧式のものに戻した。「脈々と受け継いでいかないといけないこともある」。新しいことに目を向けつつ、伝統へのリスペクトも忘れない。

 「伝統と革新をどうバランスよく落とし込むか」を重視する。近年の高校球界は名将と呼ばれた監督の退任が相次ぐ過渡期。だからこそ新たなことに挑戦する好機だと考える。「葛藤はあるが、変えないともったいない」との思いが自身を突き動かす。

 監督就任後初の甲子園となった今春の選抜大会は4強に進出。選手心理を重んじた指導の成果が早速、表れつつある。「伝統と革新」の融合は成功するのか。その答え合わせを楽しみに、選手と汗をかいている。

(日経新聞)

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