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ロッテ・小島和哉投手「悔いなき道」へ努力を 母校鴻巣・赤見台中で講演

【写真】質問に答える千葉ロッテの小島和哉投手

 プロ野球千葉ロッテマリーンズの小島和哉投手(27)=鴻巣市出身、浦和学院高出=が昨年12月、母校の鴻巣市立赤見台中学校で「ふれあい講演会」を開催した。全校生徒や教員、保護者ら約500人を前に試合に対する心構えや挫折した時の乗り越え方などを披露。「試合で勝ちたいし、抑えたい。でも勉強も同じで、悔いのないようにしっかり準備をして臨むこと。目標に向かって今やるべきことを一生懸命やることが大事」と熱い言葉を届けた。講演は5分ほどに抑え、生徒らからの27の質問一つ一つに丁寧に答える、小島投手の人柄を表すようなひとときに体育館は終始温かな雰囲気に包まれた。

 小島投手は中学時代、硬式野球チームの行田リトルシニアに所属。浦和学院高校ではエース左腕として春の選抜甲子園で同校を初の全国制覇に導くと、進学した早稲田大学では通算22勝を挙げる活躍で2018年のドラフト会議でロッテから3位指名された。プロ5年目で初の開幕投手を務めた昨季は2年ぶりの2桁白星となる10勝を達成。チームのクライマックスシリーズ進出に大きく貢献した。

成功と同じ数の失敗

 講演では浦和学院高進学の際に「3年間、スタンド応援で終わったとしても、自分の人生だし、後悔したくない」と自問自答を繰り返した裏側を明かした。「無理だよ」と言う人に「『活躍してやるから見てろよ』という気持ちだった」と強調。「みんなもやりたいことがあるならこれくらいの気持ちで、諦めず頑張って」と拳を握った。

 努力を重ねプロ野球選手という夢をかなえた小島投手。緊張のほぐし方を聞いた野球部の男子生徒には自身がプロ入り後、5年間で103試合に登板し33勝34敗と負けの数が先行している例を挙げ「全てが成功ではなく失敗もたくさんしてきた。自分の持っている以上の力はほとんど出ない。僕は頑張るよりも自分のできることに集中しようと思っている」とアドバイスした。

 陸上部部長の女子生徒は高校と大学で主将を経験した小島投手へ、意識していた点について尋ねた。小島投手は主将のタイプには、気持ちを言葉にして伝える人と自分の行動や姿で見せる人の2パターンがあると説明。「僕は言葉で伝える方ではなく、正しく見本になることを心がけていた」と優しく背中を押した。

 「野球を辞めようと思ったことは?」「挫折しかけた時の支えは?」と、困難に直面した際の質問も多かった。

 学生時代に試合に負け、落ち込んだ時には「『また一緒に頑張ろう』と手を差し伸べてくれた仲間がいたから野球を続けられた。そういう友達を今も大事にしている」。高校で練習がきつくて何度も辞めたいと思ったエピソードも披露。「一度、試合に勝った喜びを味わうと頑張れる。大好きなことで悩めるのは幸せなことだと思えるようになった」と心境の変化を語った。

後輩たちと写真に納まる小島和哉投手(中央)=昨年12月、鴻巣市立赤見台中学校

いろいろな職種のプロに

 会の終盤、「普通の人になりたいと思ったことは?」という男子生徒の問いに「今でも普通の人です」と答えた。その上で「将来、学校の先生や公務員、アイドル、お花屋さん…になる人がいるかもしれない。野球選手だから特別すごいことはなく、みんながなりたい職業のプロになってほしい」と思いを伝えた。

 1時間以上にも及んだ質問コーナーでは、中学生の立場に置き換えて分かりやすく例えたり、大縄跳びの回し役を務めた中学時代の話など砕けた質問にも笑顔を交えて答えた。生徒会長の渡辺朔斗さん(2年)は「夢をかなえた卒業生は憧れであり、誇らしく格好いい。今は勉強に全力で打ち込む」と目を輝かせ、赤見台中野球部エースの島村拓実さん(2年)は「努力が報われないこともあるが、その時の乗り越え方を参考にしたい」と決意を新たにした。

 小島投手は講演会後の取材に「真面目な質問が多くて、僕が中学生の時より大人っぽい」と笑みを浮かべ「人前でしゃべった責任はあるので、しっかり頑張りたい。気が引き締まりました」と力を込めた。

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