◇ベスト4決まる
第11日は準々決勝が行われ、花咲徳栄、浦和学院、本庄一、春日部共栄がベスト4に入った。
Cシード春日部共栄はDシード狭山ヶ丘を4-1で下し、6年ぶり11度目の準決勝進出。昨年優勝の本庄一はBシード浦和実に4-2で競り勝ち、2年連続5度目、Aシード花咲徳栄は武南に7-1で快勝し、2年連続7度目、Dシード浦和学院は秀明英光を10-5で退け、2年連続17度目の4強に名を連ねた。
休養日を1日挟み、準決勝は26日、県営大宮で花咲徳栄-浦和学院(10時)本庄一-春日部共栄(12時30分)のカードで行われる。
◇狙い球をしぼり 森、チーム初得点 浦和学院
敵失で逆転した一回、1死から得点圏に走者を置き、森がバットでのチーム初得点をたたき出した。チームを波に乗せる一打に森は「内に入ってくるスライダーをうまく打てた」と、してやったりの表情を浮かべた。
秀明英光・エース高橋をチームで分析した結果、「スライダー中心の投手」。スライダーに対して、森監督から打席で腰を引く癖を指摘されていただけに心して左打席に入った。「集中力を高め、スライダー、狙っていました」と森。
守りでは2年の佐藤を好リード。序盤は「しっかり腕を振って投げていた」と合格点。それでも七回2死からの3失点に「気を抜いたところが見られた」と右腕への注文も忘れなかった。
◇佐藤一発“打”で本領 浦和学院
負けられない重圧を感じていた。2年生エース佐藤は「きょうは組み立てる球がなかった」とぽつり。一回に犠打を挟んで3連打を浴び1失点するなど、立ち上がりから苦戦。7回5失点と本調子にはほど遠かった。
森監督は「下級生だから緊張している。チームが打線の力で育てていければ、勇気を持って立ち向かっていける」と右腕をかばい、自慢の強力打線で打ち勝った一戦を振り返った。
それでも打撃では2安打4打点と好調。「1番打者が一番合っている」と右腕は笑顔を見せる。三回には内角の直球を右翼ポール際へスタンドインさせた。
準決勝の相手は、花咲徳栄。「打線がいい。特に3番の大塚選手」と警戒し、次は投球で本領を見せつけるつもりだ。
◇4番の遠藤貢 3安打3打点 秀明英光
4番遠藤貢が3安打3打点と気を吐くが、4強の壁は厚かった。「一日でも長くみんなと野球がやりたかったのに」と、言葉を絞り出す目は真っ赤だ。
一回1死二、三塁の好機に中前に運び先制点を演出。6点を追う七回には2死満塁で二塁手への2点内野安打でチームを勢いづかせた。4番の期待に応えたが、遠藤貢は「逆転するつもりだったので悔しい」と、敗戦に言葉を詰まらせる。
犠打を二つ決め、つなぎに徹した3番で主将の赤尾は「問題児だったのに、頼もしい4番」。遠藤岳と一緒によく怒られたという遠藤貢は「少しは4番として認めてもらえたかな」。涙の中に、初めて笑みがこぼれた。
◇強豪相手に堂々 秀明英光
どんなに打たれても高橋の心は折れなかった。浦和学院にも真っ向勝負を挑んだ。6回9失点。快進撃を続けてきた夏が終わった。
先制直後の一回裏。リズムが狂った。3安打に2失策で5点を献上。力みから直球が沈んだ。「味方が失策しても自分が抑えていれば…」。高橋は帽子で顔を覆った。
その後は、打者寄りの内角を見せ球に、外への変化球を中心に組み立てた。コールド成立寸前の七回、代打を告げられた。「ごめんな」。秋山監督は一言声を掛けた。
春季大会中に左あばら骨の疲労骨折が判明。リハビリ中は黙々と走った。秋山監督は高橋に背番号1を託した。チームは初の8強入り。しかし「浦学を倒したかった。甲子園は夢ではなく、現実の目標になっていた」と高橋。秀明英光の成長がこの言葉に凝縮されていた。
■7月24日(準々決勝)
秀明英光
101000300=5
50301010x=10
浦和学院
【浦】佐藤、中山-森
【秀】高橋、三好、竹田-永田
▽本塁打 佐藤(浦)
▽二塁打 遠藤岳(秀)笹川、竹村、沼田(浦)
【浦和学院】
①7佐 藤5-2-4
④ 竹 村2-2-0
⑥ 小 林3-0-0
⑤ 沼 田4-1-1
③ 日 高5-1-0
② 森 5-2-1
⑨ 笹 川5-2-1
⑧ 石 橋4-1-1
⑦ 荒 井3-1-0
H 今 栄1-0-0
7 室 町0-0-0
1 中 山0-0-0
(打数-安打-打点)
▽投手成績
佐藤 7回、被安打8、4奪三振、与四死球2、失点5、自責点3
中山 2回、被安打1、1奪三振、与四死球0、失点0、自責点0
成5220407
振球犠盗失併残
浦05222010
浦和学院はエース佐藤が本調子でなく5失点したものの、12安打10得点で秀明英光に打ち勝った。1点を追う1回、1死満塁から敵失で2点を奪い逆転。さらに連打で畳みかけ、この回に一挙5点を奪った。3回には佐藤の3点本塁打で突き放した。秀明英光は2-9の7回に3点を返す意地を見せたが、4失策と要所でのミスが響いた。
(埼玉新聞)
◇好対戦で大入り 外野席を開放 市営大宮球場
市営大宮は、選抜出場の浦和学院と昨夏優勝の本庄一が登場する注目カードぞろいとなったほか、日曜日で朝から大勢の観客が詰めかけた。
大入りとなったため、県高野連は今大会初めて外野席を開放。高校野球ファンはゆったりと芝生席で熱戦を楽しんだ。
高野連によると、この日の入場者は約3千人(有料分)。関係者は「たくさん来てくれると盛り上がっていいですね」と外野席を眺めて目を細めていた。
(朝日新聞埼玉版)