【写真】緊張した面持ちで抽選に臨む各校の主将ら=22日、スポーツ総合センター(埼玉新聞)
26日に開幕する春季県高校野球大会の組み合わせ抽選会が22日、上尾市のスポーツ総合センターで行われ、各地区大会を勝ち上がった連合1チームを含む38チームに、選抜大会出場の浦和学院、花咲徳栄を加えた40チームの対戦相手が決定。昨秋の県大会を制覇したAシード花咲徳栄は昌平、同準優勝で選抜大会優勝のAシード浦和学院は羽生一と初戦の2回戦でそれぞれ顔を合わせる。
昨秋の県4強の聖望学園、川越東(ともにBシード)は抽選により聖望学園が花咲徳栄ゾーン、川越東が浦和学院ゾーンに収まり、聖望学園が春日部、川越東が武蔵越生の挑戦を受ける。2連覇を狙う南稜は初戦の2回戦で慶応志木と深谷・妻沼の勝者と対戦する。
大会は県営大宮など4球場で熱戦が繰り広げられる。順調に日程を消化すれば、決勝は5月5日に県営大宮で実施予定。浦和学院が関東高校大会(5月18~22日・栃木)への推薦出場が決まっているため、浦和学院が決勝に進んだ場合は同日に3位決定戦が行われ、3チームが関東大会に出場する。また、ベスト16が全国高校選手権埼玉大会(7月10日開幕)のシード権を獲得する。
大会は全試合が有料で、一般500円、中高生200円。引率された少年野球・中学生チーム(引率者・保護者は有料)障害者(障害者手帳の提示必須)と介添え者1人、小学生以下は無料。
◇浦学軸に混戦模様
優勝争いは選抜大会優勝の浦和学院が大本命で、同じく出場の花咲徳栄が追う展開。だが両校とも選抜に一度ピークを合わせただけに、うまく調整できているか。それだけに聖望学園、川越東、春日部共栄、上尾などにもチャンスは十分ある。
浦和学院は2年生エース・左腕小島をフル回転させるとは考えにくく、夏を見越して山口、涌本、渡邊、1年生左腕江口の登板が増えそう。打線は竹村、山根、高田、木暮の上位は相変わらずの破壊力がある。
8強で激突しそうな春日部共栄は守屋、三浦の3、4番を軸に打線が例年にも増して強力。投手陣も左の西沢、倉井、金子、右腕小谷ら多彩だ。
昨秋の覇者・花咲徳栄は楠本、若月、古川の3~5番を中心とする打線は切れ目がないだけに、小暮、関口、小栗の投手陣がテンポ良く打たせて取れるか。総合力の高さは県内では随一だろう。
だが初戦の昌平をはじめ、16強では左腕森幹に加え打線が好調な武南や土屋、金浜が打線を引っ張る所沢商、8強では昨秋の準々決勝で浦和学院を追い詰めた上尾や4番黒沢ら強力打線が売りの市川口など、骨っぽいチームが待ち構え一筋縄ではいかない。
聖望学園は頂点に立てるだけの総合力を備える。エース右腕川畑は実力、経験とも申し分なく、打線も田畑、清水、寺田の上位らつなぐ意識が高い。8強で対戦しそうな埼玉栄・芝崎、本庄第一・平良はともに好右腕だ。
初優勝を狙う川越東の打撃力は県内トップクラス。高梨、小寺の左の3、4番を筆頭にスイングが鋭い。2連覇を目指す南稜は4番捕手の菅原が攻守の要。慶応志木の右腕岡田は好投手だ。
昨年の4強同士の春日部東-川口、大宮東-市川越、熊谷商-狭山ヶ丘は1回戦の好カード。2年生中心の小松原も粒ぞろい。連合チームで初の県大会出場を果たした深谷・妻沼の右腕武藤は速球派の好投手。
◇全国Vの“おごり”なし 夏へチーム力向上目標
【写真】優勝を果たした選抜大会を振り返る浦和学院の森監督(埼玉新聞)
選抜大会で初の全国制覇を達成した浦和学院。いつも以上に、その戦いぶりは気になるところだが、森監督は「夏へ向けてのチームづくりを考えれば、うちが一番遅れている。その点を踏まえて準備していきたい」と慎重な姿勢を貫いた。
全体練習を再開して約2週間が経過。最大の目標「夏の日本一」への第一歩として今大会のテーマは二つになりそうだ。
まずはチーム力の底上げ。入部したばかりの1年生も3人がメンバー入りするなど、レギュラー陣も危機感を抱き、各自の一球に対するこだわりが増してきたという。
もう一つは戦い方の再確立。主将の山根が「勝負事は負けてはいけないが、ただ単に勝てばいいというわけでもない」と力を込めるように、積極的にプレーした中で、夏につながる課題を見いだすことも、さらなるレベルアップには不可欠だ。
日本一に輝いたことで注目を一身に浴びることは必至だ。それでも山根は「それは仕方ないことだけど、自分たちまでそういう気持ちにならないようにしたい」。いつもと変わらず、浦和学院ナインにおごりはない。
◇「対戦でき光栄」 39番くじに笑顔
Aシード浦和学院の隣は空いたまま最後の2校。39番くじを引いたのは羽生一だった。新井監督は「全国優勝後、最初の公式戦で対戦できて、こんな光栄なことはない」。主将の野口も「引こうと思っていた。うれしいです」と、ともに満面の笑みを見せた。
北部地区大会ではノーシードながら代表決定戦でシード成徳大深谷を1-0で撃破した。右腕鈴木、左腕竹山を軸に守って守って王者のほころびを見つけられるか。野口は「やるからには勝ちたい」と闘志を燃やした。
◇屈辱バネに春へ挑戦
選抜大会に出場しながらも初戦で敗れた花咲徳栄にとっては、出直しへの第一歩だ。主将の根建は甲子園を振り返って、「もちろん負けたことが悔しいが、それ以上に自分たちの野球が何も出せなかったことが一番悔しかった」と唇をかむ。
さすがに敗戦直後、ナインは相当なショックを受けていた。しかし岩井監督から「負けたのは仕方ないが、この負けを次に生かせるなら意味のある負けだ」と言葉をもらったことでもう一度、選手のハートに火が付き、目の色を変えて練習に取り組んでいるという。
すでにチームのベクトルは今大会に向けられている。根建は「夏を取る前に、まずは春を取らないと話にならない。自分たちの力を百パーセント出し、優勝して勢いをつけていきたい」と、相当な覚悟で臨むつもりだ。
◇充実のBシード 聖望学園、川越東
秋季大会4強の聖望学園と川越東は投打に充実した戦力で頂点を狙う。
前チームからエースナンバーを背負う右腕川畑擁する聖望学園。守備からリズムをつくるつなぎの野球で打線も4番寺田を中心に上り調子。「豪快さはないが、春の大会で強さを証明したい」と力を込める主将の吉田。
川越東は星野で女子ソフトボール部監督を務めていた渡辺新監督の下、以前とひと味違ったチームの雰囲気に。主将の前川は「自分たちの力を一戦一戦出せるように戦っていきたい」と一戦必勝を誓った。
◇待ち望む初舞台 好右腕がけん引 深谷・妻沼
昨夏から参加が認められた合同チームとして、初めて春の県大会出場を果たした深谷・妻沼は26日の1回戦で慶応志木と対戦。地区予選では昨秋の代表決定戦で敗れた本庄を4-1で破り、県大会の切符を勝ち取った。
主将を務める妻沼の武藤は柔らかいフォームを持つ好右腕。「強いチームとはなかなか試合ができない」と貴重な機会を待ち望む。夏はそれぞれ単独出場を予定しているだけに「こういうチームだと見せられれば」。合同練習で培ったチームワークを披露するつもりだ。
◇連覇へ虎視眈々 南稜
昨春は堅守としぶとい攻撃で初の頂点に立った南稜。足を絡めた揺さぶりは健在だが、大きな違いは打撃力。地区予選も浦和商に10-3、浦和西に7-4と打ち勝った。荒井監督も「今できることをやっていくだけ」と気負いはない。
チームを代表して抽選会に臨んだ遊撃手の葛城は「冬場は自信がつくほど振ってきた。去年の優勝は意識しない。春夏と勝つために、まず春を取りたい」と虎視眈々(たんたん)。自然体で連覇を見据えながら、再び“春の主役”に名乗りを上げる。
(埼玉新聞)