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3人が語る、浦学の今 高田涼太、山根佑太、竹村春樹

◇最終目標、夏の日本一を目指して 浦和学院座談会

 センバツ優勝後、県大会、春の関東大会でも勝ち続け、公式戦14連勝無敗のまま夏の大会を迎える浦和学院。センバツ優勝の喜びをリセットし、いま胸にあるのは、最終目標である夏の全国制覇のみ。ストイックに練習に打ち込むチームの中で、主力の3人が考えていることとは?

◇キャプテン経験者の3人だから、わかること

 タイミング的には、かなりバッドタイミングでありました。センバツ、県大会、関東大会を「無敗」で終えた浦学。その後、熊本、神奈川、新潟遠征という過密スケジュールが続き、張りつめた緊張感に少しの「疲れ」が見え始めてきた時期だったのです。疲れから生まれた心の「スキ」を、森監督は見逃しませんでした。「野球をやる資格があるのか」。「慢心があるんじゃないか?」。厳しい言葉で選手に問いかける時間が続きます。「練習をやる前に、もう一度、自分たちで気持ちを整えよう」。「これが夏を目指す姿勢なのか?」。練習時間のほとんどが、選手間ミーティングで埋まっていきました。そんな中で生まれた3人の「思い」。笑顔がなくて、少しホシっぽくないかもしれませんがお許し下さい。これが王者・浦学の「今」なのです。

◇経験したことで気づけた3人のキャプテン経験

―夏の大会まで1カ月を切りました。今日はちょっと真面目に、みんなの話を聞かせて欲しいのです。写真も笑顔なしでいくけどいいかな?

高田 はい!そうして下さい。

竹村 こうやって雑誌に載ることで、自分たちの思いが明確になるということもあります。

―センバツ優勝からだいぶ日が経ち、チームの中ではもう誰も優勝の余韻に浸っていないけれど、いまの気持ちは?

竹村 もともと自分たちは「最終目標は夏の日本一」という思いでこのチームはスタートしたので春はあくまでも「通過点」。この気持ちは全員が同じだと思います。

―通過点。確かに早春号(1月)の取材でもそう強く言っていたもんね。

高田 勝ったことは嬉しいことですが、そこでうぬぼれないように。自分が特に気を付けなきゃいけないと思ってやっています。「春のことはもう忘れた」くらいの気持ちで、「今」に集中しています。

―今はキャプテンが山根君から、竹村君に代わったそうですね。

竹村 はい、熊本遠征の時に任命されて、初めてキャプテン業を行いました。

―高田君、山根君、竹村君。3人がそれぞれキャプテンを経験したことになるね。

高田 自分は(センバツ前に)キャプテンを降りてしまったんですけど今思うと、キャプテンを経験できたこと、降りたこと、どちらもいい経験をさせてもらったと思っています。

―センバツの時は山根君がキャプテンでした。

山根 自分も、キャプテンになってみてわかったことがたくさんありました。みんながついてこないとチームはまとまらないし、自分もやっていてつらい。今まで高田にこういう思いをさせていたのかなと反省するところがありました。

―竹村君はどうでしたか?関東大会後の就任ということで、公式戦のキャプテンとは違った難しさもあったでしょう?

竹村 これまで、自分は試合でたくさんの経験をさせてもらったんですけども、このチームになってから、周りを見ることが全然できていなかったと思います。チームを見ることの難しさを感じました。

―それぞれのキャプテン像があるんだね。

山根 自分と高田はタイプが違う。高田は気持ちで向かっていくタイプ。自分はそうじゃないので、自分なりのキャプテン像を考えました。

高田 自分はキャッチャーをやっていたこともあり、プレー中もどんどん気持ちを表に出していかなくてはいけません。山根は外野手なので、そこらへんもカラーが違ったかもしれませんね。森先生から言われたのは「山根と高田、2人で一人だ」と。2人でチームのことを考えていく意識でやっていました。

◇神奈川遠征の連敗で痛感できた「自力のなさ」

―さてそんな中の夏の練習ですが、今はどうですか?

高田 クリチャートレーニングという全身運動を、夕方だけでなく、朝もやるようになりました。

竹村 1年前は走り込みが多かったのですが、今年のチームはミーティングが多いです。練習より前に、根本的に意識を変えないと。野球に向かう姿勢ができているか。今はそういう意思疎通を何度も確認しています。

山根 先日の神奈川遠征では、センバツ後、初めての敗戦(4敗)を味わいました。東海大相模と、桐蔭学園という、春、甲子園に出てないチームが勝ったということは、夏への準備ができているということ。自分たちの気持ちが負けてしまったんだと反省しました。

竹村 自力のなさを痛感しました。

◇昨夏は悔しい敗戦。今年は優勝して、森先生を胴上げしたい

―さて、いよいよ最後の夏。どんな思いですか?

高田 最後に森先生を胴上げしたいです!

山根 去年は甲子園・天理戦で負けた後、3年生だけの胴上げだったので、自分たちは甲子園で優勝して先生を胴上げしたいです。

―その理由は?

山根 先生の指導は厳しいですが、その中に愛情を感じるんです。突き放すことはあるんですけど、どこかで自分たちのことを一人一人ずっと見ててくれているんですよ。最後はいい形で恩返ししたいって思いがあります。

高田 普段、厳しく指導していただいている分、ふとした時の優しさがものすごく嬉しいんです。自分はまだまだ未熟なので、決してほめられることはないけれど、優しさに触れた時は本当にやってて良かったな…と思います。

竹村 自分は1年生の時から試合に出させていただいて、自分が全くダメな時に励ましの言葉をいただきました。最後には先生と勝ちたいという思いが強いです。

―最後の夏。頑張らないとね。

高田 浦学はスーパースターはいないけれど、チームでまとまって勝ってきた。個の力は他のチームに劣るけど、最後の夏も団結して一戦必勝で勝ち切ります。

山根 「春夏連覇」の挑戦ができるのは自分たちだけです。頑張ります。

◆高田涼太(たかだ・りょうた)/1995年5月11日、埼玉県出身。180センチ、78キロ。右投右打。昨夏、今春の甲子園8試合で4本塁打。三塁、捕手を兼任し、ピンチの時ほど気迫でチームを鼓舞するファイター。

◆山根佑太(やまね・ゆうた)/1995年4月9日、広島県出身。178センチ、76キロ。右投右打。昨夏は4番を打ち夏甲子園2勝に貢献。今年は主将、3番打者としてセンバツ5割5分の高数字を残した。

◆竹村春樹(たけむら・はるき)/1995年5月23日、栃木県出身。175センチ、72キロ。右投左打。頼れるリードオフマン。1度も離脱することなく3度の甲子園を経験。守備からリズムをつくる2013年型の象徴的存在。

輝け甲子園の星 2013年7月号
(日刊スポーツ出版社)
輝け甲子園の星 2013年 07月号 [雑誌]

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