(3日・県営大宮)
第7日は準決勝2試合を行い、浦和学院と花咲徳栄が勝って決勝進出を決めた。両校は関東大会(15~18、22、23日・山梨)の出場権を獲得。浦和学院は3年ぶり20度目、花咲徳栄は3年ぶり11度目の出場となる。決勝進出は浦和学院が3年ぶり18度目、花咲徳栄が3年ぶり11度目。
浦和学院はAシード昌平に延長十回、10-9でサヨナラ勝ちした。3点を追う九回、8-9に追い上げると、1死一、二塁から松嶋の適時二塁打で同点。十回には1死満塁で吉田匠が右前打を放って試合を決めた。
Cシード花咲徳栄は上尾に8-3で快勝した。二回無死二塁から沢口が右前に適時打を放って先制するなど、この回4得点。四回には犠飛と二塁打で2点を追加した。守っては松田、金子、堀越の継投で上尾の反撃を3点に抑え、逃げ切った。
最終日は4日、県営大宮で決勝が実施され、浦和学院-花咲徳栄(10時)が春の栄冠を争う。
百戦錬磨の大逆転劇 浦和学院
これぞ「ウラガク」の底力だ。延長十回1死満塁で吉田匠が右前打を放ち、昌平にサヨナラ勝利。三塁走者高松が生還すると、ナインはベンチを飛び出し、喜びを爆発させた。森監督は「約30年の指導者生活でも、なかなかない試合。選手たちに感謝したい」とたたえた。
2時間55分に及ぶ激戦は、苦しい幕開けとなった。この春初先発の右腕三奈木が一回に昌平打線につかまり、6失点。それでも主将の吉田瑞は「1点ずつ返していこう」と仲間に呼び掛け、六回に追い付いた。ところが、七回に3点を勝ち越され、終盤で再び追い掛ける展開に。普通のチームであれば、敗色濃厚だ。だが、ここから百戦錬磨の浦和学院が本領を発揮した。
3点差のまま迎えた九回、1死から安打と連続四死球で満塁とし、代打高山が2点中前打を放って1点差。続く松嶋の二塁打で再び同点にしてみせた。
そして、十回1死から3者連続四球で満塁とし、吉田匠が「流れは来ているから肩の力を抜いて打席に臨んだ」と、しぶとく右前打を放って試合を決めた。
昨年秋の県王者を相手に、準決勝で大逆転勝ち。価値ある白星に、吉田瑞は「昨年の秋は2回戦で負けたから、接戦を制したことは成長の証し」とほほ笑んだ。そして、勢いに乗って花咲徳栄との決勝に臨む。殊勲打の吉田匠は「一つ一つのプレーを大事にしていきたい」と意気込んだ。
先手奪うも守れず 昌平
初回に奪った6点のリードを守り切れなかった昌平が、1997年以来(校名変更後は初)の決勝を逃した。黒坂監督は「浦和学院の粘りの前に、無駄な塁を与え過ぎた」と敗因を語った。
終始主導権を握ったのは昌平だった。一回にプロ注目の強打者、吉野創がいきなり魅せる。走者二塁の場面で「体が勝手に反応した」と、三奈木のスライダーをレフトスタンドへ2ランを放ち先制。主砲の一発で波に乗った打線は、小林の適時打、川島の走者一掃の3点適時打で大量6点を挙げた。
仲間の大量援護をもらった先発の川島だったが、五回までに4点を失い、二番手の川久保も2失点で同点に。それでも七回に再び川田の3ランが飛び出し一気に優勢に立った。ベンチの雰囲気も最高潮に達したが、三番手の田村が九回に同点に追い付かれた。こうなると、相手の勢いが上。延長に入った十回は三つの四球を出し、サヨナラ打で万事休した。
「攻撃に関しては申し分ない」。指揮官は、打撃には太鼓判を押した。先手を奪う形が続いたが、守り切れなかった投手力が今後の課題だ。秋春連覇はかなわなかったが、夏に可能性を感じさせる戦いぶりだった。
強豪が火花 激戦は必至 決勝見どころ
春季県大会決勝では7度目となる一戦。強力打線を誇る花咲徳栄と好投手がそろう浦和学院。互いに総合力が高く、意地と意地がぶつかり合う激戦が予想される。
Cシード花咲徳栄は今大会計4試合で54得点と脅威の破壊力だ。1番川腰は長打に加えて打率も残せる好打者。4番冨田、5番味谷の勝負強い打撃で得点につなげたい。先発は松田か堀越か。どちらも本格派右腕だけに最少失点で抑えたい。
対して浦和学院は準決勝でサヨナラ勝ちし、勢いは十分だ。1番吉田匠、4番吉田瑞と強打者がそろいどこからでも得点が狙える。先発はエース左腕宮城が濃厚。準決勝では3失点したが、持ち味の制球力で試合をつくりたい。
(埼玉新聞)
初回6失点→延長10回サヨナラ決勝進出 森監督「監督生活30年でもなかなか…」
浦和学院は延長10回サヨナラ勝ちで4日の決勝に進出、3年ぶりの関東大会(15日~23日、山梨・山日YBS球場ほか)出場を決めた。
1回表に6点を先制されたが6回に追いつき、再び突き放されたものの9回に代打攻勢で3点差を追いつく乱戦。森士監督は「30年の監督生活でもなかなかないゲーム。最後は粘り勝ち」と選手をたたえた。
ことし2月に野球部で新型コロナウイルスのクラスターが発生、3月下旬まで自主練習だけだったが乗り越えた。コロナ&けがで投げ込み不足もあった三奈木亜星投手(3年)が立ち上がりにつかまったが、全員でカバーした。
ヒーローは“ダブル吉田”。10回に好救援した吉田匠吾内野手(3年)はその裏、1死満塁で右前に落ちる決勝打。「駄目なバッティングでしたが風がフォローしてくれました」と笑った。
1回裏に反撃開始の2ランを放った4番の吉田瑞樹捕手(3年)は「明日は自分たちのつなぐ野球で優勝したい」と花咲徳栄を倒しての3年ぶりの春優勝を誓った。
(東京中日スポーツ)
浦和学院、サヨナラ勝ちで決勝へ
浦和学院が2度追いつく粘り強さを見せ、逆転でサヨナラ勝ちを飾った。3年ぶり20回目の関東大会出場を決めた。
森士監督は「まぐれですね。30年間の監督生活でも、なかなかないゲームだった。選手たちに感謝したいですね」と振り返った。
プロ注目の三奈木(みなぎ)亜星投手(3年)が県大会で初先発したが、初回は制球が乱れて打者一巡の猛攻を許し、6点を先制された。
しかし1回2死一塁で、吉田瑞樹捕手(3年)が左越え2ランを放ち反撃開始。「諦めずに、1球にくらいついていくことを徹底しようとベンチで話していた」と明かした。
徐々に追い上げ、6回に6-6の同点に追いついた。7回、再び3点をリードされたが、9回裏に追いつき9-9で延長に突入した。
10回1死満塁で、1番吉田匠吾内野手(3年)が右前へポトリと落ちるサヨナラ打を放ち、乱打戦を制した。高校では初のサヨナラ打で「リラックスして打とうと思って打席に立ちました。風のフォローで(右前に)落ちてくれた」と話した。
吉田匠は、5回から2番手として2回を投げ被安打0の4奪三振と流れを引き寄せた。一度は遊撃手に戻ったが、延長10回は再びマウンドに戻り、3者凡退に抑えてサヨナラ勝ちを呼び込んだ。「打撃は60点、投手としては70点です」と喜んだ。
決勝戦に向けて、主将の吉田瑞は「自分たちのつなぐ野球ができるようにしたい」と意気込んでいた。
(日刊スポーツ)
浦和学院、執念のサヨナラ勝ちで3年ぶり20度目の関東大会へ
苦しみ抜いた末の劇的なサヨナラ勝ちに、森士(おさむ)監督の顔がほころんだ。
「まぐれですね。30年監督をやっていていますが、なかなかできないゲームでした。選手に感謝します」
初回、先発したプロ注目の右腕・三奈木亜星(3年)が6点を失う予想外のスタート。小刻みに点を返して6回に追いついた直後の7回、この回から登板したエース左腕の宮城誇南(2年)が川田悠貴(3年)に左越え3ランを被弾した。再び追う展開となった9回、今大会初出場の代打・高山維月(2年)の2点適時打、松嶋晃希(3年)の適時二塁打で追いつくと、10回1死満塁で吉田匠吾(3年)が右前に落として激戦にケリをつけた。
「焦りはありませんでした。リラックスして打席に入れました」と吉田匠は喜びを口にした。守りでも遊撃からマウンドへ走り、5回からの2イニング、10回の1イニングを無失点に抑えて流れを引き寄せた。「テンポよく投げられました。落ち着いてプレーできたのがよかったです」と笑みを浮かべた。
ベンチ入り20人中17人を起用する総力戦を制しての決勝進出。森監督は「粘り勝ち」と選手をたたえた。今春はコロナ禍で部内にクラスターが発生。約6週間練習できない期間があったが、地力をみせて3年ぶりの関東大会出場を決めた。「関東に出させてもらうのは大きな収穫。このごほうびを夏につなげられるようにしたい」と表情を引き締めた。
(スポーツ報知)
試合結果
春季県大会・準決勝(5/3・県営大宮)
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 | H | E |
昌平 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 9 | 10 | 1 |
浦和学院 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 3 | 1x | 10 | 17 | 0 |
【浦】 | 三奈木、吉田匠、宮城、吉田匠-吉田瑞 |
【昌】 | 川島、川久保、田村-川田 |
本 | 吉野、川田(昌)吉田瑞(浦) |
二 | 福地、川島(昌)安達、吉田匠2、吉田瑞、松嶋(浦) |
※3年ぶり20度目の関東大会出場決定 |
打撃成績
浦和学院 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
⑥161 | 吉田匠 | 6 | 3 | 3 |
④ | 八谷 | 3 | 0 | 0 |
H9 | 高山 | 1 | 1 | 2 |
⑦ | 松嶋 | 6 | 4 | 3 |
② | 吉田瑞 | 4 | 2 | 2 |
①393 | 三奈木 | 5 | 2 | 0 |
⑧ | 藤井 | 5 | 2 | 0 |
⑤ | 高松 | 5 | 1 | 0 |
⑨ | 安達 | 2 | 1 | 0 |
H | 石田 | 0 | 0 | 0 |
R | 倉岡 | 0 | 0 | 0 |
1 | 宮城 | 0 | 0 | 0 |
H4 | 尾崎 | 1 | 1 | 0 |
③63 | 金田 | 3 | 0 | 0 |
H | 鍋倉 | 0 | 0 | 0 |
R6 | 大内 | 0 | 0 | 0 |
H | 観音 | 0 | 0 | 0 |
計 | 41 | 17 | 10 | |
昌平 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
④ | 寺山 | 5 | 0 | 0 |
⑥ | 福地 | 5 | 2 | 0 |
⑧ | 吉野 | 4 | 2 | 2 |
⑦ | 古賀 | 5 | 1 | 0 |
③ | 後藤 | 5 | 0 | 0 |
② | 川田 | 4 | 2 | 3 |
⑤ | 小林 | 5 | 1 | 1 |
⑨ | 山村 | 4 | 0 | 0 |
① | 川島 | 1 | 1 | 3 |
H | 冨田 | 1 | 0 | 0 |
1 | 川久保 | 0 | 0 | 0 |
1 | 田村 | 1 | 1 | 0 |
計 | 40 | 10 | 9 |
投手成績
浦和学院 | |||||||
選手名 | 回 | 安打 | 三振 | 四球 | 死球 | 失点 | 自責 |
三奈木 | 4 | 6 | 6 | 3 | 1 | 6 | 6 |
吉田匠 | 3 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 |
宮城 | 3 | 4 | 2 | 0 | 0 | 3 | 3 |
計 | 10 | 10 | 12 | 3 | 1 | 9 | 9 |
昌平 | |||||||
選手名 | 回 | 安打 | 三振 | 四球 | 死球 | 失点 | 自責 |
川島 | 5 | 7 | 1 | 3 | 0 | 4 | 3 |
川久保 | 2/3 | 2 | 0 | 1 | 0 | 2 | 2 |
田村 | 3 2/3 | 8 | 1 | 7 | 1 | 4 | 4 |
計 | 9 1/3 | 17 | 2 | 11 | 1 | 10 | 9 |
チーム成績
TEAM | 攻撃 | 守備 | |||||
三振 | 四死球 | 犠打 | 盗塁 | 残塁 | 失策 | 併殺 | |
浦和学院 | 2 | 12 | 2 | 1 | 17 | 0 | 0 |
昌平 | 12 | 4 | 0 | 0 | 5 | 1 | 2 |
両チーム計27安打の乱打戦は、浦和学院が昌平を延長十回サヨナラで下した。浦和学院は6-9で迎えた九回、高山と松嶋の連続適時打で同点に追い付いた。十回には1死から3連続四球で満塁の好機を築くと、1番吉田匠がしぶとく右前適時打を放ち、試合を決めた。昌平は一回に6点を先制するなど優位に進めたが、逃げ切れなかった。