フレッシュな指導者が束ねる2校が、はつらつとしたプレーを見せている。浦和学院(埼玉)の森大監督、国学院久我山(東京)の尾崎直輝監督はともに1990年生まれの31歳で今大会最年少。百戦錬磨の先達が率いるチームを破って4強に進出し、令和の高校球界に新風を吹き込んでいる。
森監督の父は、昨夏まで浦和学院の監督を務めた士さん。バトンを渡された長男は、昨秋の埼玉県大会を制するなど伝統を受け継いでいる。
練習では自らが打撃投手を務め、相手投手を想定して全力投球。準々決勝までに4本塁打を放つなど、今大会でひときわ目立つ強打を磨いた。八谷主将は「監督が積極的に意見を求めてくるので、考えを言える」と話し、エース宮城は「自分たちに近い存在」と、距離感の効果を強調する。
尾崎監督は23歳だった13年夏に就任。背番号1を背負う成田は、「投打で悩んだ時に気軽に相談できる。信頼感がある」と言う。
両監督に共通するのは、球児との高いコミュニケーション力。若さを武器に、選手個々の能力やチームの総合力を高めているのが強さの秘密だ。尾崎監督が「絶対、先に負けないと思っていた」と明かすように、同世代の存在はお互いの刺激になっている。
東洋大姫路(兵庫)の藤田明彦監督、星稜(石川)の林和成監督が今大会限りで退任するなど、指導者も「世代交代」が進んでいる。一方、元PL学園(大阪)監督の中村順司さんを抜いて歴代単独2位の甲子園通算59勝を挙げた大阪桐蔭(大阪)の西谷浩一監督、開幕直前に繰り上げ出場が決まった近江(滋賀)の多賀章仁監督の両ベテランもベスト4進出。新旧指導者が火花を散らすベンチワークも準決勝の見どころだ。
(時事通信)