1点リードの五回から救援していきなりの連続四球。しかし、自ら作ったピンチを3者連続三振で切り抜けると、九回までを被安打1、6奪三振の快投を見せ「未完の大器」(大会関係者)はその片りんをみせた。「立ち直れたのは仲間のお陰」と明かす。
米国生まれ東京育ち。197センチの長身から投げ下ろす角度のある最速145キロの速球が持ち味だ。
しかし、前日の前橋商戦では制球が定まらず5長短打を浴び5失点。1回3分の0で降板した。今朝の集合時間にも遅刻し、森監督は「仲間に迷惑をかけた気持ちがないのか。もう投げさせない」と断言。「投げさせてください」と直訴して登板を許された。
五回の連続四球の場面でも伝令で「もう代われ」と言われたが「絶対に代わりません」と答えた。「迷惑を掛けた分、絶対に抑えたい」。久保翔平捕手(3年)から「お前の球は真ん中に投げれば打たれない」と声を掛けられて吹っ切れた。2者連続三振の後、プロ注目の習志野の4番・山下斐紹選手もスライダーで空振り三振に打ち取った。
身長はまだ伸び続けているという。森監督は「まだ筋力は十分でないし、すねの成長痛も抱えているが潜在能力は抜群」と期待を寄せる。「夏」まであと50日余り。心身ともに成長を続けるエースの投球に注目したい。
(毎日新聞埼玉版)