同点で迎えた6回裏1死二塁、勝ち越しの好機。浦和学院の明石飛真(ひゅうま)主将(2年)は左前打を放ち、二塁走者が生還したのを見るとガッツポーズで喜んだ。
今夏の大会ではベンチ入りメンバーに選ばれなかった。落ち込んでいると、森士監督に「新チームはお前に任せるからな」と声をかけられた。「俺がチームを引っ張るんだ」。奮起して練習に励み、3年生が引退すると言葉通り主将を任せられた。
しかし、1日の準決勝では結果が出せず、チャンスで代打を送られた。ベンチで仲間は「明日は打てる。切り替えろ」と声をかけてくれた。決勝は、その思いに応えたい一心だった。
試合後、明石主将は「新チームで結果を出せたことはうれしいです」と笑顔だった。「早くみんなが頼れる主将にならなければ」。関東大会に向けて気を引き締めた。
(朝日新聞埼玉版)
◇<ヒーロー>悔しさ晴らす決勝打 浦和学院2年 明石飛真主将
同点で迎えた六回裏1死二塁、4球目の甘く入ったスライダーを見逃さなかった。打球は内野を越えて左前に落ち、決勝点のホームを踏む走者が生還した。
「何とかしてチームに貢献したい」。それだけを考えて打席に入った。接戦となった準決勝の聖望学園戦では「タイミングが合ってない」と森士(おさむ)監督に判断され、好機に代打を送られた。「本当に悔しかったし、ふがいなかった」
しかし、この日は違った。「今日は打ってくれると思った」という森監督の期待に、見事に応えた。
決勝打だけではなく、塁上では「まだまだいけ」と声を張り上げ鼓舞し続けた。次の打席で死球を受けても「よっしゃあ!」とガッツポーズをして一塁に向かった。「どんな姿でもいいから、チームを勢いづけたかった」。大会を通じ、新チームの主将として、たどり着いた答えだった。
「目標は関東大会優勝。ただ、その前にある一試合一試合を大事にしたい」と、かれた声で来春の選抜大会出場を見据えた。
(東京新聞埼玉版)