浦和学院野球部の食堂には、選手の名と体重や体脂肪率、各選手がノルマとして食べるべきご飯のグラム数を示した紙が張られている。食べ終えた空の茶わん は1杯ごとに「確認、お願いします」と監督やコーチに見せる徹底ぶりだ。選手たちの食事量は1日6000キロカロリーを超えプロ野球選手以上という。
こうした栄養管理を支えているのが、総合健康管理治療施設「コーケンメディケアセンター」(さいたま市南区)だ。健康食品販売などを手がけていた理事長の 南雅之さん(57)が、1999年に設立した。長男の真人さんは、浦学野球部員として98年のセンバツに出場したが、けがで苦しんだ。雅之さんは「空腹で 集中力が落ちれば、けがが増える。体づくりのためにも食事が大切」と考えてセンターを作ったという。
今はセンターが選手の栄養状態を調べ、一人一人に目標とする体重や体脂肪量を設定。それをもとに食事量のノルマを決める。さらに野球部の食堂の献立を作り、トレーニングの指導も行っている。
1日の夕食は、牛肉のスタミナ焼き、ギョウザ、ハッシュポテト、山芋オクラ、クリームスープにプリンとバナナだ。木村尚雅選手(2年)のノルマはご飯 1000グラム。「最初は1杯(400グラム)食べるのも無理だったが、体重が1キロ違うと長打力やスピードが変わる」と話す。
森士監督は「けがが減り、体も大きくなった」と話す。栄養管理を始めてから、甲子園出場は春夏合わせて10回を超える。
南理事長は「けがは選手の野球人生を左右する。万全の状態で甲子園に送り出したい」と話している。
(毎日新聞埼玉版)