浦和学院は11日の第1試合で高崎商(群馬)との1回戦を争う。チームは試合前日の10日、兵庫県伊丹市の伊丹スポーツセンターなどで約3時間の最終調整した。ナインは時折笑顔を見せるなど和やかな雰囲気の中にも気合をみなぎらせた。
投内連係を組み込んだシートノックでは、カットの位置やバックアップを入念に確認していた。締めにレギュラー組は場面を想定したケース打撃を実施。一、三塁ではスクイズに主眼を置き、三塁走者もスタートのタイミングなどを最終チェックした。
2004年以来、まずは8年ぶりの1勝を目指す。森監督は「ここまで順調にこられたと思う。あとは、あの舞台でやってきたことが出せるか。気持ちの面が大事になる」と力を込めた。
◇夏は初マウンド エース佐藤万全
エース佐藤が、初戦に向けてきっちり仕上げてきた。ブルペンで31球。キレのある直球や武器のツーシームなどを低め、四隅に集めた。投げ終えた右腕は「調子はいいです」と笑顔。受けたブルペン捕手佐藤大も「コントロールも良く、文句なし」と太鼓判を押した。
春は4度、上がったことのある甲子園のマウンドも夏は初。「まだ先発かは分からない」と言いながらも「気負わず、落ち着いてやってきたことを出すだけ。思い切って投げます」。背番号1は気持ちの準備も万端だ。
◇「緊張も楽しみ」 快音響かす高田
「甲子園でプレーできることはすごくうれしい。緊張するけど楽しみ」。春はサポートメンバーだった三塁手の2年生高田。大舞台が翌日に迫り、胸が高鳴っている。
本職は捕手ながら三塁手として定位置を奪取。打線では6番を担い、好調な上位から下位への橋渡し役としての期待が懸かる。県大会では打率2割3分8厘と不本意だったが、大阪入りしてからはシート打撃で快音を響かせるなど好調。「森先生に教わったことを全力でやるだけ」。そう語る目は希望に満ちていた。
◇「全員一つの線に」 左腕攻略で秘策
待ちに待った、浦和学院出陣の時だ。
埼玉大会を制してから2週間。チームは同校グラウンドで5日間の強化練習、3日に大阪入りしてからは順調に調整を重ねた。森監督も「やり残したことはない」と、仕上がりに自信を見せる。
ただ高崎商は簡単に倒せる相手ではない。特に抽選会後から対策を練ってきた左腕関は、群馬大会6試合で46回1失点。やや変則的なフォームから140キロ前後の直球やスライダー、落差の大きいカーブなど変化球のキレもある。この絶対的エースを打ち崩せるか。
攻略のヒントは攻守の核・捕手林崎の言葉にある。「全員が1つの線になって、勝ちに貢献できる凡打も必要」。たとえ出塁できなくても相手に球数を投げさせたり、逆方向に打ったりと次打者へメッセージを残すことが最も重要。そうすれば2安打で競り勝った選抜大会の三重戦のように、必ずや培ってきた勝負強さを発揮できるはずだ。
2004年以来、8年ぶりの夏の白星が懸かる一戦にも監督、選手は自然体だ。「勝つことを求めて準備してきた。過去は振り返らず、目の前に集中して一戦必勝を貫く」と指揮官。主将の明石も「気持ちの部分で相手と差をつけたい」。己を信じて、突っ走るのみだ。
(埼玉新聞)