(31日・上毛新聞敷島)
第4日は準決勝を行い、花咲徳栄と浦和学院がそろって快勝し、決勝に駒を進めた。埼玉県勢同士による決勝戦は史上初。決勝進出は花咲徳栄が3年ぶり、浦和学院が3年連続。
花咲徳栄は常総学院(茨城1位)を6-4で振り切った。一回に若月の犠飛で先制。その裏に同点とされたが、二回に楠本の2点適時打などで3点を勝ち越し。五回にも犠打野選と暴投で2点を追加した。先発の小暮は八、九回に3点を失ったが要所を締め完投した。
浦和学院は先発全員の14安打を放ち、宇都宮商(栃木2位)を7-3で下した。二回に3点を先制すると三回にも西川の中越え二塁打で2点。5-3とされた六回には山根、斎藤の適時打でダメ押し。八回には無死満塁を招いたものの4番涌本が無得点に抑えた。
最終日は1日、上毛新聞敷島で花咲徳栄-浦和学院の決勝を実施(10時)。花咲徳栄は初優勝、浦和学院は3連覇を懸けて戦う。
◇V3へエンジン全開
【写真】3回裏浦和学院1死二、三塁、西川が2者をかえす中越え二塁打を放つ。捕手佐藤(埼玉新聞)
さすがの底力だ。波に乗り切れていなかった1回戦、準々決勝から一転、浦和学院が先発全員となる14安打7得点で快勝。投げても4人の継投で乗り切り、前人未到の関東3連覇への挑戦権を獲得した。「いろいろな面で収穫の多い、意味のあるゲームだった」と森監督。試合を重ねるごとに手応えを深めているようだ。
この日は打線が1年生エース小島を援護。序盤からエンジン全開で相手投手に襲い掛かった。
二回、木暮の二塁打から1死一、三塁をつくり小島の左前打で先制。なおも2死二、三塁から竹村が右前に2点適時打を放ち計3点。三回には西川の中越え2点二塁打で早くも5-0とした。
3点を返された六回には山根、斎藤のタイムリーで効果的に加点。八回には無死満塁の大ピンチを招いたが、4番手涌本が「気持ちで抑えてやる」と、得意のスライダーで空振り三振。次打者も内角直球で詰まらせ、遊ゴロ併殺に打ち取った。
県大会から紙一重の戦いを制し、ここまでたどり着いた。投打においてまだまだ発展途上ながら一戦ごとに着実に力を付けていることは確かだ。
史上初となる3連覇を懸ける相手は、県大会決勝で2-8と完敗した花咲徳栄。森監督は「後悔しないようにチャレンジさせたい」。竹村も「借りを返すいい機会。何が何でも勝つ」と闘志をみなぎらせる。あの屈辱から24日。リベンジの時へ、最高の舞台が整った。
◇光る3犠打 好機を演出 斎藤
【写真】2回裏浦和学院無死二塁、斎藤が送りバントを決める。捕手佐藤(埼玉新聞)
準々決勝は先発ながら2打席で交代を告げられた浦和学院の7番斎藤が奮起。3犠打と適時打できっちりチームプレーを果たした。第1~3打席は無死の走者をしっかり送って2度得点につなげたが、「1球目で送れなかった。帰ってすぐ練習したい」と浮かれない。
六回2死二、三塁では初球の直球を左前に運びチーム7点目の適時打。「狙い球を張って振り抜けた」とうなずいた。花咲徳栄との決勝へ「県大会で負けたので勝つために必死にやる」と最後まで身を粉にして働き回る。
◇流れを渡さぬ価値ある一打 山根
【写真】6回裏浦和学院1死三塁、山根が左翼線に適時二塁打を放つ。捕手佐藤(埼玉新聞)
宇都宮商に3点を返された直後の六回、浦和学院の主砲山根が再びリードを広げる貴重な一打を放った。1死三塁で打席に立つと「狙っていた」という初球の直球をたたき三塁線を抜く適時二塁打。「ここで取らないと流れがいってしまう」としっかり結果を出した。
後輩の先発小島が降板した後だけに「この大会は守備で助けられていないので何とか助けたかった」と一息ついた。3連覇がかかる決勝の相手はライバル花咲徳栄。「絶対に勝ちたい」と自らのバットで必勝を期した。
◇攻守で貢献 西川
公式戦初マスクをかぶった浦和学院の捕手西川が攻守で勝利に貢献した。まずは打撃。三回1死二、三塁で初球のスライダーを捉えると、「センターフライだと思った」という打球は中越えの2点適時二塁打。「スライダーを狙っていて、来たら初球からいこうと思っていた」と納得した。
捕手では先発小島ら4投手をリード。四回には三盗を阻止し、七回2死一、三塁では思い切った送球で二盗を刺した。
今春の選抜大会では控え捕手としてメンバー入りしながら、その後はベンチ外。新チームになってから右手甲を骨折し、今大会でやっと戦列に戻ってきた。1回戦と準々決勝は一塁手での出場。小学5年から始めた捕手に愛着があるが、「与えられたポジションでやっていきたい」と必死で生き残る姿勢を見せた。
(埼玉新聞)
◇浦和学院快勝、初の3連覇へ王手
浦和学院(埼玉)が7-3で宇都宮商(栃木)に快勝し、秋の関東大会史上初の3連覇に王手をかけた。3回までに5点を奪い、中盤に2点差まで追い上げられたが、再び突き放した。
森士監督は「勝因は前半に点が取れたこと。打線も上向いてきた」と満足そう。決勝の相手は同じ埼玉の花咲徳栄。埼玉県勢の決勝対決は史上初となる。県大会決勝では2-8で完敗しているだけに「うちは第2代表なんで、ここまで来れてもう一度、徳栄さんに立ち向かっていけるチャンスがいただけた。チャレンジャー精神、当たって砕けろです」と話した。
(日刊スポーツ)
◇浦和学院、先発全員安打で圧倒
浦和学院は先発全員の14安打で圧倒した。2安打2打点の竹村は「試合ごとに、バットが振れてきている」と手応えを話した。
決勝では、埼玉大会で敗れた花咲徳栄と顔を合わせる。秋季関東大会3連覇が懸かる試合に、森監督は「後悔することがないよう、全力でチャレンジしたい」と力を込めた。
(サンスポ)
◇浦和学院 大会3連覇王手!「もう一度、花咲徳栄さんに」
浦和学院は粘る宇都宮商を振り切り、史上初の大会3連覇へ王手をかけた。4点リードの8回無死満塁から4番手で登板した背番号10の涌本が、空振り三振、遊ゴロ併殺の好救援。「これまでチームに貢献できていなかったので悔しかった。絶対に気持ちで抑えようと思った」と、2回無失点で試合を締めた。
森士(おさむ)監督は、今秋の埼玉大会決勝で敗れた相手との再戦に向け「もう一度、花咲徳栄さんに立ち向かう」とリベンジを誓った。
(スポニチ)
◇県勢頂上決戦、こう戦う
お互い戦略を知り尽くしたライバル相手にどう戦うか。準決勝の試合後、選手たちに聞いた。
下位まで切れ目ない花咲徳栄打線。9番に座り、2回に勝ち越しの中前適時打を放った森大希選手(2年)は「甘い球は全て打つつもりだった」と胸を張った。チーム内では「下位の3番」と目されている。「走者は必ずかえすのが自分の役目」と話し、決勝については「どこが相手でも勝つだけ。序盤から集中して戦う」と意気込んだ。
浦和学院は、8回無死満塁の危機で、涌本亮太投手(2年)が見事な救援を見せた。「1年生(小島和哉投手)が作った試合を上級生が壊すわけにはいかない」と心に決めてマウンドに登った。一番得意なスライダーだけで3球三振。次打者には直球で内角を思い切りよくつき、初球で併殺に仕留めた。
3連覇と花咲徳栄へのリベンジをかける決勝に向け、「2回負けたらもう二度と勝てない。絶対に負けられない」と力を込めた。
(朝日新聞埼玉版)
◇即興の応援ソング
準決勝が体育祭と重なり吹奏楽部が参加できなかった浦和学院。スタンドでは、約50人の野球部員がその場で作った応援ソングに乗せて「浦学レッツゴー」と声を張り上げた。日本ハムファンの「稲葉ジャンプ」にヒントを得た跳びはね続ける「新作」も披露。息を切らしながら攻撃の間中、跳び続けた。団長の池ノ上大貴さん(2年)は「人数は少ないけど応援の中身では負けません。いつも応援してくれる人たちに恩返しするためにも勝たなければ」と話していた。
◇ピンチで強気のリード 浦和学院・西川元気選手(2年)
公式戦初のスタメンマスク。エースの小島和哉投手(1年)ら4投手を巧みにリードし、見事に大役を務めた。「配球を考えるのが楽しい。やっぱりキャッチャーはいいですね」
小学時代からポジションは捕手。しかし新チームでは、高田涼太主将(2年)が正捕手に選ばれ、今大会は内野手としての出場ばかりが続いた。「本当はキャッチャーとして出たい」。悔しさと焦りが募った。
思いが通じたのは、準決勝前日の30日。森士監督から先発出場を告げられると、心が弾んだ。「やっと出られる」。森監督は「ずっと起用したかったが、けがをしていたので使えなかった」と明かす。
この日は、小島投手らが6安打を浴びるなどピンチの連続だった。しかし相手打者の内角を攻める強気のリードで、最後まで狙い球を絞らせなかった。「試合中に投手とコミュニケーションがうまく取れなかった。今度はもっと余裕を持ってリードしたい」。笑顔で汗をぬぐった。
(毎日新聞埼玉版)
■準決勝(10月31日)
宇都宮商
000003000=3
03200200x=7
浦和学院
【宇】小材、飯岡-佐藤
【浦】小島、伊藤、渡邊、涌本-西川
▽三塁打 竹村(浦)
▽二塁打 木暮2、西川、山根(浦)新井(宇)
【浦和学院】
⑥竹 村5-2-2
⑧服 部5-1-0
⑦山 根5-2-1
⑤高 田5-2-0
③木 暮4-3-0
⑨斎 藤2-1-1
②西 川3-1-2
①小 島2-1-1
1伊 藤1-0-0
1渡 邊0-0-0
1涌 本0-0-0
④ 贄 3-1-0
(打数-安打-打点)
安 打:浦14、宇6
失 策:浦0、宇2
三 振:浦1、宇5
四死球:浦2、宇7
犠 打:浦5、宇2
盗 塁:浦0、宇1
併 殺:浦2、宇0
残 塁:浦11、宇6
浦和学院が先発全員安打の14安打7得点で快勝。最後は継投で宇都宮商の反撃をかわした。
浦和学院は二回に小島の先制打と竹村の2点適時打で3点を先取。三回には西川の2点適時二塁打が飛び出し、5-0とリードした。2点差に追い上げられた後の六回には山根と斎藤の適時打でさらに2点を追加した。
投げては2試合連続で完投していた先発小島が六回に初安打を許して失点すると、3投手をつぎ込み逃げ切り。八回無死満塁のピンチでは4番手涌本が無失点に封じた。