【写真】関東大会史上初の3連覇が決まった瞬間、ベンチから笑顔で駆け出す選手たち=群馬県で昨年11月1日(毎日新聞埼玉版)
◇チーム一丸で3連覇
秋の県大会4連覇を逃し、意気消沈する選手たち。チーム内に漂う重い空気を取り払ったのが、夏に引退した3年生だった。
「気持ち一つで変わるよ」
明石飛真前主将(3年)は後輩に熱く語りかけた。チーム全員が同じ目標に向かって戦う姿勢の大切さを、この言葉に込めた。
夏の甲子園以降、3年生の大半は連日、グラウンドに駆け付け、打撃投手やノッカーを務めた。「負けてたまるか」。高田涼太選手(2年)の心は奮い立った。選手たちの動きも見違えるようによくなった。「このままじゃ勝てないという必死さを感じた」。明石前主将は後輩たちの「変容」に驚いた。
迎えた花咲徳栄との関東大会決勝戦。大会史上初の県勢対決は、息詰まる投手戦となった。
2-2で迎えた延長十回2死二、三塁。打席に立ったのは、けがから復帰したばかりの西川元気選手(2年)だった。「打ってやる」。思い切りバットを振り抜くと、打球は三遊間を抜けていった。ベンチから笑顔で飛び出す選手たち。「同じ相手に2度は負けられない」(高田選手)という勝利への執念が、今度は花咲徳栄を上回った。贄隼斗(にえはやと)選手(2年)はいう。「練習を手伝ってくれた3年生に感謝したい」。チームが一つになり、勝ち取った史上初の3連覇だった。
あれから4カ月。選手たちは練習前いつものように、グラウンドで輪になって手をつないだ。そして静かに目を閉じ、ゆっくりと大きな声で叫ぶ。
どんな出来事も偶然も運命も
意志の強い俺の強固な決意を
妨げることも阻止することも押さえつけることもできない
一冬を越え、心身共にたくましくなった選手たち。先輩たちを超える「日本一」を目指し、晴れの舞台に挑む。
(毎日新聞埼玉版)