【写真】夏の戦いを前に、快音を響かせる田畑。シュアな打撃が魅力だ
父は元プロ野球選手-。昨年のセンバツを制した浦和学院(埼玉)の田畑瑛仁捕手(3年)は5番を打つ中心選手として、最後の夏にかけている。父は、巨人の1軍投手コーチを務める田畑一也氏(45)。昨年までは控え捕手だったが、父親譲りの強肩と強い精神力で、昨年のセンバツで優勝投手となったエース左腕、小島(おじま)和哉投手(3年)らと甲子園を目指す。
西日が傾く練習グラウンド。選手たちの声が飛び交った。
「声出せ!」
「1球の大事さが分からないか!!」
激戦区の埼玉でも練習の厳しさで知られる浦和学院。ミスがあると、選手たちは互いを激しく叱責する。勝つために、妥協は許されない。守備の要、田畑も声を張り上げた。
「甲子園に行きたい」と浦和学院の門をたたいた。入学当初、高校側にダイエー、ヤクルト、巨人などで通算37勝を挙げた父・一也氏の次男ということを知らせていなかった。親の七光ではなく、練習で汗を流し、優勝した昨年のセンバツでは、第3捕手としてベンチ入りした。
1メートル75、74キロ。体格は標準だが、シュアな打撃と強肩が武器で、「5番・捕手」をまかされている。昨年のセンバツ優勝投手として注目されるエース左腕、小島の女房役として起用する森士監督(50)の期待も大きい。
「小島が一人で負担を感じないよう、田畑には肩の強さだけでなく、負担を軽くする精神的なリーダーシップをとってほしい。攻撃では線になるような打撃を心がけてもらいたい」
2年生だった昨夏はベンチ入りできず、選手として夏の戦いに挑むのは初めて。今年は春の埼玉県大会を制し、優勝候補と注目される中、春から打撃と走り込みを強化してきた。埼玉から全国へ-。田畑の熱い夏が始まる。
◇田畑 瑛仁(たばた・あきひと)
1996(平成8)年10月8日生まれ、17歳。埼玉県出身。新曽中時代は、硬式の戸田東シニアで全国大会出場。浦和学院では1年秋からベンチ入りし、優勝した昨春センバツも控え捕手としてベンチ入り。昨夏はベンチから外れたが、最上級生となり、中心選手に。1メートル75、74キロ。右投げ左打ち。家族は父・一也氏、母と兄、弟。
(サンスポ)