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浦学、決勝逃す 東海大四に逆転負け 春の宿題夏へ

◇浦学、決勝逃す 東海大四に逆転負け

 第87回選抜高校野球大会第10日は31日、兵庫県西宮市の甲子園球場で準決勝2試合が行われ、一昨年覇者の浦和学院は、初めて4強入りした東海大四(北海道)に1-3で敗れ、優勝した2年前以来の2度目の決勝進出を逃した。

2回裏東海大四2死三塁、同点適時中前打を打たれた浦和学院のエース江口(中央)。捕手西野=31日、甲子園球場

2回裏東海大四2死三塁、同点適時中前打を打たれた浦和学院のエース江口(中央)。捕手西野=31日、甲子園球場

 準々決勝まで、攻守に充実していた浦和学院は、この日も二回に3連打で1点を先制し、幸先良いスタートを切ったはずだった。しかし、その後の戦いぶりは、精彩を欠いた。

 二回、荒木、西野の連打に続き江口が右翼線へ先制のタイムリー二塁打を放った。なおも1死二、三塁の好機。ここまでの浦和学院ならここで一気に畳み掛けるのだが、後続が凡退してしまう。

 するとその裏、エース江口が死球をきっかけに2死三塁とされると、東海大四・大沢に外角スライダーをうまく右前に運ばれ同点。その後連続四死球で満塁のピンチを招き、二ゴロを「緊張で焦ってしまった」と名手の二塁手台がファンブルし逆転を許した。

 同点の好機はあったがものにできなかった。三回は津田が二塁打を放ったが、幸喜の痛烈なピッチャー返しは、投手のグラブをはじいた打球が遊撃手正面へ飛び併殺。五、六回は1死二塁の得点機で後続が続かなかった。

 すると六回の守備、1死二塁から空振り三振とした球が暴投振り逃げとなり一、三塁のピンチ。続く大沢への初球でスクイズを決められた。「警戒はしていたが、甘く入って一発でやられた」と捕手西野。痛い3点目を奪われた。

 焦った打線は七、八回は三者凡退。九回は連打で1死一、二塁としたが、あと一本が出なかった。相手を上回る9安打を放ちながら1点止まり。好投のエース江口を援護できなかった。津田は「相手バッテリーは狙いの逆を攻めてきて焦ってしまった」と拙攻を悔やんだ。

 昨秋の明治神宮大会準々決勝で対戦した際は浦和学院が10-0で大勝している。今回は雪辱に燃える相手の勢いをはね返せなかった。森監督は「勝利への執念が、相手の方が一枚上だった」と、東海大四の気迫に後手に回ったことを認めた上で、「この経験を今後どのように生かせるのか見守りたい」と選手たちの奮起に期待した。

 悔しさにあふれる主将の津田は、「次は必ず日本一を取るために準備したい」ときっぱり。2度目の全国制覇を逃したナインは、夏の戦いに視線を向けた。

◇浦学、東海大四に逆転負け 春の宿題夏へ
9回表浦和学院2死一、二塁、最後の打者となった諏訪(手前)が中飛に倒れる

9回表浦和学院2死一、二塁、最後の打者となった諏訪(手前)が中飛に倒れる

 2点を追う九回、意地を見せ反撃の好機をつくったものの、最後の打者・諏訪の打球は中堅手のグラブに収まった。2年ぶりの頂点を狙った浦和学院の戦いは、攻守に精彩を欠き、決勝を前に悔しさの残る幕引きとなった。

 勝敗の大きなポイントになったのは、1-2で迎えた六回の守備だった。1死二塁の場面で、変化球で空振り三振を奪ったが、投球はワンバウンド。「横にそらしてしまった」と捕手西野。暴投、振り逃げで一、三塁とピンチを広げた。

 マウンドに集まった選手に対し、ベンチからスクイズ警戒の指示も伝えられた。大沢への初球、西野は江口に左打者の大沢に対し、胸元をえぐる内角高めの直球を要求した。だが、投球は甘く入り、スクイズを決められた。終盤に向かう中で、この失点が持つ意味は大きかった。西野は「ここに放ってこいと大きくジェスチャーするべきだった」と悔やんだ。

 ただ、4試合で4失点の江口を責めるのは酷というものだ。失点場面以外は好投を続けていたエースに対し、本来は打線が援護しなければならない。

 だが、東海大四の右腕大沢の練り上げられた配球を前に、三回以降無得点に終わった。相手を上回る9安打を放ち、得点圏に6度も走者を進めながら1点止まり。終盤は焦りから淡泊な打撃が目に付いた。荒木は「取り返せると思っていたが、甘さがあった」と反省する。

 初戦から続いた厳しい戦いの勝ちっぷりは全国制覇を十分予見させた。準決勝は不完全燃焼に終わったが、チームの最終目標は夏の頂点。骨身に染みた一球の重みを次への糧としたい。

◇江口、対左打者 新たな課題
5回裏東海大四1死三塁、投ゴロを好捕し一塁へ送球する浦和学院・江口

5回裏東海大四1死三塁、投ゴロを好捕し一塁へ送球する浦和学院・江口

 「今日の負けは自分のせいです」と責任を背負い込んだ江口。これまでの3試合で抜群の安定感を誇り、打たれる気配さえなかったエース左腕が新たな試練に直面した。

 江口と言えば、直球と変化球を巧みに織り交ぜて四隅を広く使えるのが持ち味。だが左が8人並ぶ東海大四打線に投球の幅を縮められ、的を絞られた。特に響いたのが、これまで右打者をきりきり舞いにさせてきたチェンジアップを効果的に使えなかったことだ。

 しかも相手はバッターボックスのホームベース寄りに立ってきたことで死球が2。「それでもそこ(内角)に投げなければいけない」というが、心理的に投げにくくなったのだろう。二回に大沢に同点打を浴びた場面は外角低めを狙ったスライダーが明らかに甘く入った。相手の初安打だっただけにこの1本は痛い。

 1-2の六回1死一、三塁では初球に、セーフティースクイズを決められ、絶対に阻止したかった3点目をあっさりと献上してしまった。

 「まだまだ足りないところばかりです」。全4試合に完投。決勝を前に計37回を自責点3で去ることは無念だろう。だが聖地で見つかった課題と身に染みた悔しさ―。それは夏への成長へ、揺るぎない糧となり背中を押し続けてくれるはずだ。

◇相手エース攻略できず 3番津田
5回裏東海大四無死一塁、東海大四・渡瀬(右)に二盗を許す。左は遊撃手・津田

5回裏東海大四無死一塁、東海大四・渡瀬(右)に二盗を許す。左は遊撃手・津田

 3番津田は逆転された直後の三回の第2打席。先頭で打席に立つと、内角低めのボール球とも見える直球をすくい上げて左中間を破る二塁打。技術の高さを示した。

 だが、その後はいずれも初球で凡退。第3打席の甘く入った高めの変化球を打ち損じると、第4打席はバランスを崩して完全に打たされた。

 東海大四の大沢を昨秋の神宮大会1回戦では3安打と攻略したが、「こちらの打線をよく分析している。早打ちになり、気持ちに焦りが出た。本当にいい投手」と敵エースの成長を認めた。

 主将として「(相手の)食らい付いて、勝とうとする執念を感じた」と唇をかむ。今後のテーマに“勝負根性”を掲げる攻守の要は「この反省をいい方向につなげられるように。次は必ず日本一」と出直しを誓った。

◇代打小沢が納得の一打

 新2年の小沢が九回1死一塁で、代打で甲子園初登場。「何も考えないで打席に立った」と、甘い変化球を引っ張り右前打で好機を拡大させた。

 昨秋は1打席のみ。明治神宮大会決勝の仙台育英戦に代打で出場も三振に倒れていたが、この日は「(甲子園)初打席でも緊張することなく、自分のスイングができた」と納得の一打を見せた。

 チームメートが一目置く打撃センスの持ち主は「このヒットは今後の成長につながる」と自信を深めた様子。底上げへ、レギュラー陣の尻をたたく存在になりそうだ。

◇好調な諏訪 快音響かず

 3試合連続の計6安打と売り出し中だった2年諏訪からは、快音が響かなかった。「待っていた球は来た。けれど最後まで捉えられなかった」。狙っていたのはチェンジアップ。分かっていても打てないほど、大沢のチェンジアップにはブレーキがかかっていた。

 「球が急に止まる感じ。待ち切れずに手打ちになった」と無安打。最後の打者になり、怖いもの知らずで臨んだ甲子園の厳しさを初めて体感した。大舞台で、酸いも甘いも知った。「この経験を生かしたい。どんなにキレのある球も打ち返せるようになってみせます」

◇荒木2安打 打線けん引

 今大会のラッキーボーイ・7番荒木は、この日も2安打と光った。二回1死から打った右前打は3連打での先制点の呼び水となり、2点を追う九回1死からの中前打はナインを奮い立たせた。しかしチームは敗れ、「まだまだ足りない部分が多い」と肩を落とした。

 延長までもつれた1回戦では決勝打、3回戦では先制打を放つなど打線をけん引してしてきたのは間違いなく荒木だ。「逆方向にいい打球を飛ばせたのは収穫。さらに貢献できるように練習を積む」と夏を見据えた。

 選手ひと言
①江口奨理投手 まだ力不足で甘さがある。夏は必ずここで全国制覇。
②西野真也捕手 プレッシャーを越えられるだけの努力が足りない。
③山崎滉太一塁手 基本的なことが一番大事。鍛え直して帰ってくる。
④臺浩卓二塁手 次はチームが勝てるよう地道に練習していきたい。
⑤諏訪賢吉三塁手 こういう試合で1本も安打を打てず悔しい。
⑥津田翔希遊撃手 狙いの逆を攻められ、焦りから1本が出なかった。
⑦荒木裕也左翼手 この負けが夏につながるように練習し直したい。
⑧幸喜勇諮中堅手 ここぞで打てなかった。もう一度ここで打ちたい。
⑨高橋司右翼手 考え込んでしまい自分の打撃を出し切れなかった。
⑩小倉匡祐投手 貢献できずに悔しい。何倍にも成長して戻ってくる。
⑪今村一登投手 夏は必ず自分がチームを勝たせられるようにしたい。
⑫氏丸直岐捕手 負けを認め、一からやり直して夏は戻ってきて勝つ。
⑬梶山直暉捕手 守備面をもっと磨いて、次はグラウンドに立ちたい。
⑭小沢和也二塁手 今日の安打ををこれからの成長につなげていく。
⑮新谷剛樹右翼手 生活態度でも野球でも日本一になれるよう努力する。
⑯水岡拓巳遊撃手 試合に出てチームに貢献できる選手になりたい。
⑰榊原翼投手 何も貢献できなくて悔しい。最終目標は夏の全国制覇。
⑱渡辺亮太中堅手 相手の気持ちをはね返すエネルギーがなかった。
◇2年前の再現あと一歩 教訓生かし「夏こそ」
一塁側アルプススタンドから選手たちに懸命の声援を送る浦和学院の応援団=31日午後、甲子園球場

一塁側アルプススタンドから選手たちに懸命の声援を送る浦和学院の応援団=31日午後、甲子園球場

 第87回選抜高校野球大会は31日、兵庫県西宮市の甲子園球場で準決勝2試合が行われ、第2試合に登場した浦和学院は東海大四に1-3で敗退。赤く染まった一塁側のアルプススタンドは大声援で選手を後押ししたが、最後は涙とため息に包まれた。

 「頑張る仲間をみんなで応援」。それが浦和学院のモットー。この日は保護者やOBに加え、ほぼ全校生徒に当たる約千人の生徒らが駆け付け、大応援団を結成した。

 第1試合終了後、2年ぶりの決勝進出を目指す選手たちがグラウンドに登場。引き締まった表情で練習をする。「一段と格好よく見える。自分たちの力を信じて頑張ってほしい」。縁の下の力持ちのマネジャー森紗也夏さん(17)はエールを送る。

 試合は二回に浦和学院が江口奨理投手の適時二塁打で1点を先制した。「よしっ」。拳を握り締める応援団。「まだ序盤。ペースを乱さず投げてほしい」。父親の文彦さん(47)は祈りを込める。

 だが直後に四死球や失策が絡み2失点。六回にも1点を追加され、劣勢に立たされる。「まだまだこれから」。選手を鼓舞するアルプススタンド。その願いもむなしく、スコアボードに刻まれるゼロの数字。そして、チームの敗退を告げる試合終了のサイレンが鳴り響いた。まさかの敗戦に言葉を失う応援団。涙を流して悔しがる人の姿もあった。

 「ここまで来たら優勝してほしかったけど…。この教訓を生かして夏またここに戻ってきてほしい」。この春に学校を卒業したが、2月まで後輩たちの練習を手伝い、チームの活躍を陰で支えた高橋昴希さん(18)はそう話す。「選手たちは成長していると思う。プレッシャーを楽しむくらいの余裕を持てるようになってもらいたい」。津田翔希主将の父親健さん(44)はそう期待した。

 険しい頂点への道。「(神宮大会で敗れている)相手のリベンジしようという気持ちが上回っていたのかな」。2年前の優勝メンバーで、当時主将を務めた大学2年山根佑太さん(19)はスタンドで試合を振り返る。そしてこう続けた。「選手たちにはこの結果を受け止めてほしい。優勝できないのには原因がある。そこをもう一度考え、練習に励んでもらいたい」。あえて投げ掛けた厳しい言葉。それは「夏こそ頂点に立ち、真紅の優勝旗をつかんでほしい」。そう思うからこその言葉だ。

(埼玉新聞)

◇浦和学院、心の隙 エラーで決勝点献上
2回裏東海大四2死満塁、二塁手の臺(左)が失策し勝ち越しを許す

2回裏東海大四2死満塁、二塁手の臺(左)が失策し勝ち越しを許す

 あと一本が出ない。ホームベースが遠い。浦和学院は東海大四を上回る9安打を放ったが、得点はわずか1。「途中から焦りがあった。難しい球を打たされてしまった」。2度の得点圏で凡退した主将の津田は声を絞り出した。

 昨秋の明治神宮大会で、東海大四に10-0の6回コールド勝ち。試合前から慢心せず、油断しないことをチーム内で徹底してきた。だが、終わってみれば、ここぞの場面で集中力を欠いた。

 守備では二回2死満塁、二塁手・台のエラーで決勝点を献上。六回1死一、三塁の場面では、スクイズを警戒していたものの、三塁前に転がったゴロを捕球するだけ。1点を許したうえ、一塁ベースカバーは誰もいない。ミスが相次いだ。

 森監督は「勝つという執念は相手が上だった」と振り返り、「こっちは裏付けのない勝てる自信があったのか、気の緩みが見られた」と漏らした。心にあったわずかな隙。雪辱に燃える東海大四に付け込まれた。

 2大会ぶりの優勝はならなかった。森監督は「あと1日(決勝を)残して帰ることをどう受け止めるか」と宿題を課した。選手たちもすぐに反応する。津田は「この負けを忘れず、あすから進みたい」と前を向けば、4番山崎は「夏に戻ってきて借りを返す。やり返さないと始まらない」と闘志をみなぎらせる。

 負けて学び、新たな目標ができた。今度は浦和学院がこの敗戦を糧に夏へと動きだす。

(東京新聞)

◇仲間や両親に「夏は必ず恩返し」病を克服 江口投手
準決勝までチームを引っ張った江口投手=甲子園球場で

準決勝までチームを引っ張った江口投手=甲子園球場で

 目の病気で「野球が二度とできない」と一時は絶望のふちに立たされたとき、支えてくれたのは仲間や両親だった。「みんなに恩返ししたかった」。試合後、エースの目に悔し涙が光った。

 中学時代、県の選抜チームに所属し全国制覇。甲子園優勝を夢見たエースに2013年9月、悪夢が襲った。朝起きると突然、右目の視界が白くかすんだ。視神経の炎症で、医師から「野球は一生できない」と言われた。父文彦さん(47)と大阪の専門の病院など8カ所を回ったが、「完治は無理」と言われた。

 くじけそうになった江口投手に周囲の仲間は「諦めるな」と声を掛け、寮生活を送る息子に文彦さんは毎月手紙で「気持ちで負けるな」と励まし続けた。

 「応援してくれる人たちのためにも野球を離れてはいけない」。チームの裏方を務めた。故障した部員がかぶる赤い帽子のつばに「あきらめない心」と書いた。当時、寮の部屋が一緒でバッテリーを組む西野真也捕手(3年)は「明るく振る舞っていたが、野球について口数が減った。悔しさが伝わってきた」と振り返る。幸い視力は次第に回復。昨年5月ごろから基礎練習を始め、昨秋から公式戦に復帰できた。

 この日二回には先制適時二塁打を放ったが、その裏に2失点と逆転を許した。中盤以降、球が甘く入り始めた。「腕が振れなくなった」と連投の疲れが忍び寄っていた。六回には1死一、三塁でスクイズを決められて1点を追加され、突き放された。

 今大会では4試合を完投し、失点はわずか4。チームを支えたが、「負けたのは自分の責任。体力をもっとつけないと」と反省する。「夏は必ず恩を返します」と歯を食いしばり、聖地へ戻ってくることを約束した。 

(東京新聞埼玉版)

◇「重要なところで甘さ出てしまった」荒木裕也左翼手

 二回1死、「チャンスが来たら絶対に生かす」と、しっかりと足を踏みしめ、低めのスライダーを右前に運んで出塁、先制の本塁を踏んだ。準々決勝までの3試合で12打数6安打3打点。チームの勝利を支えてきたバットが、この日も快音を響かせた。

 追い込まれた九回1死の場面でも「必ず逆転してやる」と決意し打席に立つと、力強く直球をはじき返した。最後まで塁上からチームに声をかけ続けたが、無念の準決勝敗退。「重要なところで普段からの甘さが出てしまった」と悔しさをにじませた。

 「生活面や練習でだらしないとよく監督に叱られる」と、自らの性格も反省点として挙げたが、マイペースな分、こつこつと努力を積んできた。

 中学まで内野手として活躍し、高校から左翼手に転向。毎朝4時半に起きて朝練に向かう生活も「試合で活躍できるなら」と苦にならなかった。

 母校に戻れば、すぐに夏に向けた練習が始まる。「練習の成果を感じられたし、大きな大会で打つことができてよかった」と敗戦から得られた手応えもある。

 「一からチームを作り直して、必ず夏にここに戻ってくる。そして全国制覇を必ず果たす」。試合後、夢の舞台への再来を誓った。

(産経新聞埼玉版)

◇2つの被災地 野球ができる喜び実感 水岡拓巳選手

 三塁コーチとして、ホームに向かう走者に全力で腕を回し、大舞台で自分の役目を精いっぱい果たした。

 出身は広島市安佐南区。昨年8月の土砂災害の現場は実家から2キロほどで、地区大会で球場に向かうバスの中、ニュースが伝える悲惨な光景を目にした。

 実家に電話すると、幸いなことに家族や親戚はみな無事で、母の浩子さん(46)から「こっちは無事だから心配しないで」と伝えられた。しかし、見慣れた故郷の裏山は岩肌がむき出しになり、家が浸水した中学時代の友人の話に胸が痛んだ。

 浦学野球部は、宮城県石巻市で震災ボランティアを行っている。1年生の頃から参加しているが、昨年12月に同市を訪ねた際は、仮設住宅で暮らす人々をより身近に感じた。2つの被災地を目の当たりにし、「今、野球ができているのは当たり前のことじゃない」。そう強くかみしめた。

 今大会、ベンチ入りこそ果たしたが、現状に満足はしていない。

 「試合に出てチームを勝たせたい。しっかりとレギュラー入りして、夏の甲子園で故郷の人に雄姿を見せたい」と活躍を誓った。

(産経新聞埼玉版)

 試合結果
 準決勝 3月31日(甲子園球場)
TEAM 1 2 3 4 5 6 7 8 9 H E
浦和学院 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 9 1
東海大四 0 2 0 0 0 1 0 0 x 3 6 0
【浦】江口-西野【東】大澤-小川
▽二塁打:臺、江口、津田(浦)
 浦和学院打撃成績
位置 選手名 打数 安打 打点 打率
諏訪 4 0 0 .353
4 1 0 .231
津田 4 1 0 .235
山崎滉 3 1 0 .273
幸喜 3 0 0 .167
高橋 3 0 0 .154
H 新谷 1 0 0 .000
荒木 3 2 0 .533
西野 3 1 0 .333
H 小沢 1 1 0 1.000
江口 4 2 1 .308
33 9 1 .292
 東海大四打撃成績
位置 選手名 打数 安打 打点 打率
冨田 4 1 0 .200
金村 2 0 0 .214
山本 4 1 0 .308
小川 3 1 0 .286
2 0 0 .154
塩田 3 0 0 .077
H 斎藤 1 0 0 .000
7 左近 0 0 0
大澤 4 3 2 .583
立花 2 0 0 .100
渡瀬 2 0 0 .364
27 6 2 .250
 投手成績
TEAM 選手名 球数 被安打 奪三振 四死球 失点/自責 防御率
浦和学院 江口 8 116 6 5 4 3 / 2 0.73
東海大四 大澤 9 112 9 3 2 1 / 1 0.84
TEAM 三振 四死球 犠打 盗塁 暴投 失策 併殺 残塁
浦和学院 3 2 2 0 1 1 0 9
東海大四 5 4 5 2 0 0 1 9

 浦和学院は強打がらしさを欠き、東海大四に逆転負けを喫した。

 打線は9安打放ちながら1点止まりだった。二回に荒木、西野の連打に続いて江口の二塁打で1点を先制、なおも1死二、三塁の好機を生かせなかった。その後三、五、六回も先頭を出したが、つながらず9残塁。相手がしぶとく走者を進める打撃をしてきたのに比べ、やや雑だった。

 左腕江口は好投したものの、二回の2失点は要らない失点だった。この回、適時打と失策で失点したが、3四死球と自らピンチを招き、守備のリズムも狂わせた。六回にスクイズで許した失点も、暴投振り逃げでピンチを広げてからのもの。

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