(25日・県営大宮ほか)
第11日は2球場で準々決勝4試合を行い、浦和学院、白岡、松山、花咲徳栄がそれぞれ勝って4強に進出。ベスト4入りはAシード浦和学院が2年ぶり、松山は24年ぶり、白岡は初、Cシード花咲徳栄は4年ぶり。
松山は1点を先行された直後の四回2死一、二塁、鈴木の中前適時打と敵失で2点を奪って逆転に成功。投げては5試合続けて先発のエース左腕北島が1失点完投。八回1死二、三塁の窮地も後続を空振り三振、左飛に仕留めた。
白岡は6-9の八回無死満塁から谷中の適時打などで2点を返して1点差とし、大木の遊ゴロが敵失を誘って2者が生還した。浦和学院は15安打14得点で熊谷に快勝。花咲徳栄は西武文理に6-1と上位シードの意地を見せた。
第12日は26日、県営大宮球場で浦和学院-白岡(10時)松山-花咲徳栄(12時30分)のカードで準決勝が実施される。
◇対策徹底 右腕を攻略 浦和学院 |
大観衆の重圧もなんのその。浦和学院の強力打線が15安打14得点と本領発揮し、勢いに乗る伝統校をのみ込んだ。内角球はファウルで粘り、外の変化球をしっかり踏み込んで中堅方向へ。徹底してきた対策通り、熊谷の右腕中村を攻略した。
一回に敵失で先制点を得ると、なおも無死一、三塁から高橋が中越えの2点三塁打。荒木の中前適時打、西野のスクイズと続いて5点をもぎ取った。高橋は「プレッシャーの中でも練習してきたことが発揮できた」と大粒の汗を拭った。
毎回得点で今大会初の五回コールドに仕上げ、投手陣の消耗も最小限に抑えた。森監督は「連戦となる準決勝に向けて、(投手陣を)浪費せずに済んだのは願ったりかなったり」と歓迎した。
2回戦から地力のある公立勢との戦いが続く。「相手スタンドから100年の歴史を感じた。エネルギーをもらって次に向けて頑張りたい」と森監督。先発した左腕小倉も「試合後には頑張れと声を掛けてもらった」。打ち破ってきたチームの思いまでも力に変え、頂点へと突き進む。
◇1番打者諏訪が4安打4打点 |
リードオフマンの諏訪が4安打4打点の固め打ち。軸を意識したシャープな打撃で、チームに勢いを呼び込んだ。「1打席目から流れをつくれたので、結果的に良かった」と振り返った。
1打席目に中前打で先制点のきっかけをつくると、2打席目も先頭で出塁。3、4打席目はそれぞれ、走者一掃の2点適時三塁打を放った。これで5試合計20打数12安打。打線にリズムをつくっている。「多くの人の支えで野球がやれている。結果を出すことが恩返し」と充実感に包まれていた。
◇応援背に闘志衰えず 熊谷 |
一回1死二塁の好機に3、4番が凡退。33年ぶり8強の躍進の陰に過去毎4試合遂行してきた一回の先制点が奪えず、歯車が狂い始めた。ファウルで粘るが二ゴロに倒れた4番三井は「食らい付いていくつもりだったのに。切れのある変化球を引っ掛けてしまった」。一度遠のいた流れは、最後まで引き戻せなかった。
「前の試合は外の球を打ち返した。相手が攻めてくる内角を狙え」。須藤監督の指示通り、3安打は全て右打者の左方向。粘りに加えた緻密さで随所に熊高らしさを発揮するが、センバツ4強の壁は厚かった。二回2死二塁、左前打で好機を広げた鈴木凌は「コースをしっかり投げ分けてくる。甘い球は絶対に見逃せなかった」と、必死に食らい付いた直球の手応えを思い返した。
点差が離れても勢いを増すスタンドを背に、ナインも闘志を貫いた。1番永田は初回の死球、三回の内野安打ともに三進し得点に迫るが、「冷静さを失い、変化球を振ってしまって」と泣き崩れ、最後の打者になった三振ばかりを何度も悔いた。
「一人一人の能力は高くないが、個々が集まると大きな力を発揮する」と選手が口にする熊高野球。飯野主将も「自分たちの力を出せたのは応援のおかげ」と創部100年目に示した存在感の一因を強調した。「この8強は101年目に絶対つながっていく」。須藤監督は真っ赤な目で堂々と言い切った。
◇躍進支えた右腕 達成感と悔しさ 熊谷 |
創部100年の勢いもここでついえた。躍進の原動力となったエース中村は一回、4安打を浴び3失点。1死も取れずマウンドを降りた。須藤監督は「中村のボールが甘く高めに入ってしまった」と悔しさをにじませる。中村は「打たれた瞬間、戦ってきた他のチームとは全く違った」と振り返る。
33年ぶりの快進撃は終わったが、伝統校の活躍は大会を盛り上げた。エースは「ここまできた達成感と悔しさ両方ある」と複雑な思いを吐露した。
◇きょう準決勝 |
<不用意な失策禁物 浦和学院-白岡>
3回戦から4試合連続逆転勝ちで勢いに乗る白岡と、投打で地力に勝る浦和学院の顔合わせ。
初4強の白岡は終盤の粘りを生かすためにも、谷中、永島の両右腕が接戦に持ち込んで勝機を見いだしたい。積極的な打撃で得点を重ね、とにかく相手を慌てさせたい。失点につながる不用意な失策も禁物だ。
浦和学院は5回戦で15安打14得点と爆発した打線が序盤から投手陣を援護したい。5回戦、準々決勝と同様、左腕小倉の先発から継投含みの投手起用が予想される。
<連投エースに託す 松山-花咲徳栄>
打線の状態が上向いてきた花咲徳栄に、松山のエース左腕北島が挑む。
5試合全てで先発している北島の疲労は不安材料だが、バックの堅守と打線の援護でエースを盛り立てたい。ワンチャンスをものにした準々決勝同様、時折制球が乱れる相手右腕鎌倉の隙を突きたい。点取り合戦では分が悪く、接戦に持ち込むことが必須条件だ。
昨秋は10-2と快勝している花咲徳栄は、右腕鎌倉から2年生左腕高橋につなぐタイミングが重要。機動力を絡めて序盤から攻め立てたい。
(埼玉新聞)
◇初回に猛攻の口火 4打点、浦学・諏訪選手 |
14-0。コールド勝ちで4強入りが決まった瞬間も、浦和学院の選手たちは「まだ喜ぶところではない」と、すみやかに本塁に向かい整列した。今春選抜で4強入りした強豪が目指すのは、昨年果たせなかった夏の栄冠のみだ。
猛攻は一回から始まった。先頭打者の諏訪賢吉選手(2年)が中前安打で出塁すると、熊谷の先発中村投手の不安定な立ち上がりを攻め一挙5得点。熊谷を相手に、計15安打と圧倒的な打力を見せつけた。投げては小倉匡祐投手(3年)、榊原翼投手(2年)、エース江口奨理投手(3年)の盤石のリレーで無失点に抑えた。
4打数4安打4打点と大当たりの諏訪選手は、「これまで支えてきてくれた人に恩返しするには優勝しかない。一戦必勝で次も勝ちます」と気を引き締めた。
(朝日新聞埼玉版)
試合結果 |
準々決勝 7月25日(県営大宮球場) | ||||||||||||
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E |
熊谷 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 2 | ||||
浦和学院 | 5 | 1 | 2 | 6 | x | 14 | 15 | 0 | ||||
【浦】小倉、榊原、江口-西野【熊】中村、稲毛田、平田、三井-飯野 ▽三塁打:高橋、諏訪2(浦)▽二塁打:津田、燈中、臺(浦) |
浦和学院打撃成績 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
⑤ | 諏訪 | 4 | 4 | 4 |
④ | 臺 | 3 | 2 | 1 |
⑥ | 津田 | 3 | 3 | 0 |
⑨ | 高橋 | 2 | 1 | 3 |
⑦ | 荒木 | 3 | 2 | 2 |
H7 | 鈴木 | 1 | 0 | 0 |
③ | 山崎 | 2 | 1 | 0 |
⑧ | 渡邊 | 2 | 1 | 1 |
② | 西野 | 0 | 0 | 1 |
① | 小倉 | 2 | 0 | 0 |
1 | 榊原 | 0 | 0 | 0 |
H | 燈中 | 1 | 1 | 1 |
R | 水岡 | 0 | 0 | 0 |
1 | 江口 | 0 | 0 | 0 |
計 | 23 | 15 | 13 | |
熊谷打撃成績 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
⑤ | 永田 | 2 | 1 | 0 |
⑥ | 鈴木悠 | 0 | 0 | 0 |
④ | 須合 | 2 | 0 | 0 |
⑧1 | 三井 | 2 | 0 | 0 |
② | 飯野 | 2 | 1 | 0 |
⑦ | 坂田 | 2 | 0 | 0 |
③ | 曾田 | 2 | 0 | 0 |
⑨ | 鈴木凌 | 1 | 1 | 0 |
H | 堀 | 1 | 0 | 0 |
① | 中村 | 0 | 0 | 0 |
1 | 稲毛田 | 1 | 0 | 0 |
1 | 平田 | 0 | 0 | 0 |
8 | 井田 | 0 | 0 | 0 |
H | 浅見 | 1 | 0 | 0 |
計 | 16 | 3 | 0 |
投手成績 | |||||||
TEAM | 選手名 | 回 | 球数 | 被安打 | 奪三振 | 四死球 | 失点/自責 |
浦和学院 | 小倉 | 3 | 60 | 3 | 4 | 1 | 0/0 |
榊原 | 1 | 14 | 0 | 1 | 0 | 0/0 | |
江口 | 1 | 13 | 0 | 3 | 0 | 0/0 | |
熊谷 | 中村 | 0/3 | 21 | 4 | 0 | 2 | 5/4 |
稲毛田 | 3 1/3 | 44 | 5 | 0 | 1 | 4/4 | |
平田 | 1/3 | 20 | 4 | 0 | 1 | 5/4 | |
三井 | 1/3 | 16 | 2 | 0 | 1 | 0/0 |
TEAM | 三振 | 四死球 | 犠打 | 盗塁 | 失策 | 併殺 | 残塁 |
浦和学院 | 0 | 5 | 4 | 1 | 0 | 0 | 6 |
熊谷 | 8 | 1 | 2 | 1 | 2 | 0 | 4 |
15安打14得点と打線が爆発した浦和学院が熊谷に快勝した。
浦和学院は一回に敵失で先制すると、なおも無死一、三塁から高橋の中越え2点三塁打、荒木の中前適時打など打者9人の猛攻で計5得点。四回にも燈中、諏訪、臺の3連続適時打などで6点を奪って突き放した。
熊谷は散発3安打と打線が振るわず、一回途中で降板した右腕中村も5回戦までの連投で疲労の色が濃かった。