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秋季関東大会チーム紹介 15校熱戦 茨城で30日開幕

 第74回秋季関東地区高校野球大会(関東地区高校野球連盟主催、毎日新聞社など後援)が30日、茨城県土浦市のJ:COMスタジアム土浦などで開幕する。栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、山梨の各県大会上位2校と開催県・茨城の県大会上位3校が出場。大会の成績は、第94回選抜高校野球大会(2022年3月18日開幕)の出場校選考の資料となる。熱戦を繰り広げる15校を紹介する。

浦和学院(埼玉1位)「打線に切れ目なく」

 チームを30年率いた森士前監督が今夏の甲子園を最後に引退。長男の森大監督による新体制の下、厚い投手層と切れ目のない打線で5年ぶりに秋の県大会優勝を果たした。

 投手陣は、キレのある直球と変化球を組み合わせる左腕・宮城誇南(2年)と、力強い直球が持ち味の右腕・金田優太(同)の二枚看板。地区予選、県大会で登板した他5投手も控える。

 金田は県大会で計8安打5打点と打線もけん引。長距離打者の伊丹一博(同)、鍋倉和弘(同)にも期待が集まる。

 森監督は「『自律』『凡事徹底』がチームのスローガン。原点に立ち戻り、関東の強豪校と戦っていきたい」と意気込む。

花咲徳栄(埼玉2位)「制球力高い投手陣」

 6連覇を目指した今夏の埼玉大会は、5回戦で敗退。先輩たちの悔しさを胸に、一からチーム作りに励んできた。秋の県大会準決勝では初回だけで9安打10得点を奪った。勢いに乗ると止まらない打線と安定した守備で頂点を目指す。

 エースの金子翔柾(2年)は140キロ超の直球を武器に、県大会3試合を投げて無四死球と安定感がある。決勝で先発した鈴木羚也(同)も同様に制球力が高い。

 打線は、先頭打者で主将の山田慎之介(同)が出塁し、県大会8打点の増田空(1年)や藤田大清(2年)ら中軸が得点につなげるのが特徴だ。山田は「自分たちで流れを作って、勝ちたい」と意気込みを語る。

木更津総合(千葉1位)「チーム打率4割超」

 県大会は全6試合で81得点の猛攻で連覇を果たした。チーム打率が4割を超える強力打線を引っ張るのはリードオフマン・山田隼(2年)。秋の県大会最多の5本塁打と、春、夏、秋を通じて県大会初となる4試合連続本塁打を記録した。

 投手陣は今夏の県大会でも好投したエース・越井颯一郎(同)と、力強い速球が持ち味の金綱伸悟(同)の右腕2人が両輪となって投げ抜いた。

 今夏は決勝で敗れ、惜しくも甲子園を逃した。主将の中西祐樹(同)は「夏から、秋に向けて一生懸命やろうと声を掛け合ってきた。県大会で多かったエラーを開幕までに改善したい」と意気込み、6年ぶり4回目のセンバツを目指す。

拓大紅陵(千葉2位)「粘り強さが持ち味」

 県大会全6試合のうち3回戦までは2桁得点でコールド勝ち、準々決勝以降は取られたら取り返す「粘り強い野球」で2年ぶり11回目の秋の関東大会出場を決めた。

 打線の中軸を担うのは瓦林奏良(そら)(2年)。打率は4割2分。広角に打ち分ける打法が持ち味だ。菰田朝陽(1年)や主将の中村瑠斗(るいと)(2年)の上位打線から安打をつなぎ、県大会6試合で40得点を挙げた。

 4試合で先発したエースの小堺心温(じおん)(同)は四死球2の高い制球力が武器だ。積極的にコースを攻めて36奪三振をマークした。中村は「目標は甲子園で勝つこと」と力強く宣言。18年ぶり5回目となるセンバツ出場を虎視眈々(たんたん)と狙っている。

東海大相模(神奈川1位)「積極的打撃に勢い」

 盤石の戦いぶりを見せ、秋の県大会3連覇を果たした。積極的な打撃と走塁で、県大会6試合中5試合でコールド勝ちした。

 84得点を挙げた打線は勢いがある。先頭打者の伊藤航大(2年)は決勝で4安打を放つなど打線をけん引。大会2本塁打を放った武井京太郎(同)や百崎蒼生(あおい)(1年)ら好打者がそろう。

 投手陣も準々決勝で13奪三振を記録するなど大会を通して快投した庄田聡史(2年)や、センバツ登板経験がある求航太郎(同)らを中心に層が厚い。

 9月の就任後、初の関東大会に臨む原俊介監督は「県大会では積極的な打撃ができた。相手のレベルは上がるが、代表として恥じない試合をしたい」と話す。

向上(神奈川2位)「頼れる長身エース」

 秋季関東大会初出場の原動力となったのは、今夏からメンバー入りしていた経験豊富な選手たちだ。

 佐藤諒音(2年)は夏もエースとして登板し、今秋は5試合に先発。187センチの長身から高い制球力で内外に投げ分ける。秋の県大会準決勝と決勝を2日連続で完投するなどスタミナも抜群だ。「関東大会でも自分のスタイルを貫きたい」と意気込む。

 佐藤とバッテリーを組む広田翔馬(同)は強肩を誇り、夏も正捕手を務めた。秋からは4番も任され、勝負強い打撃が光る。

 就任18年目でつかんだ秋季関東大会への切符に平田隆康監督は「勝負強さなど、課題をもう一度しっかり見直してから臨みたい」と語る。

白鷗大足利(栃木1位)「投打に安定した力」

 投打に安定した力を見せ、6年ぶりに県大会を制した。

 準々決勝では作新学院から11点を奪ってコールド勝ちするなど、打線は6試合で42得点と好調だ。5番・中島空大(1年)ら4人が打率4割を超えており、どこからでも得点できるのが強みだ。

 投手陣は斎藤祥汰(2年)と佐藤吏功(1年)の両右腕が軸となる。斎藤は鋭く落ちるスプリットを武器に32回を投げ34奪三振。防御率は1・13と抜群の安定感で勝利を引き寄せた。

 主将の谷沢勝斗(2年)は「厳しい戦いになると思うが、もう一度気持ちを引き締めていく。特に打撃面をもう一回り向上させて、チーム力で勝っていきたい」と力を込めた。

文星芸大付(栃木2位)「強打と多彩投手陣」

 秋の県大会は6試合中3試合で2桁得点を上げるなど持ち味の強打が力を発揮し、ノーシードから決勝まで勝ち上がった。

 打率4割を超える打線の中心は、5番・君島陽太(2年)。得点につながる安打を重ね、シュアな打撃で、打率6割4分7厘をマークした。投手陣はスライダーを得意とする左腕・大塚慎也(同)らタイプの異なる6人の継投で勝ち上がった。けがの影響で登板機会が限られたエース・入江奏(同)の復調が関東大会上位進出の鍵を握る。

 主将の吉田翔(同)は「県大会同様、低い打球を打つことを意識して、ファーストストライクをどんどん振って、つなぐ打撃を心がけたい」と意気込む。

桐生第一(群馬1位)「夏の主力並び安定」

 今夏の主力選手が多数残り、投打とも安定した戦いぶりで2年ぶりに県大会を制した。

 主戦の北村流音(りお)(2年)は最速146キロの速球を軸に多彩な変化球を織り交ぜ、県大会4試合の防御率は1点台。左の技巧派・寺門京佑(同)など、タイプが違う好投手もそろう。

 打線は県大会で打率6割超の提箸(さげはし)優雅(同)や、長打力が特徴の主将・三塚琉生(るい)(同)が引っ張る。

 2019年の関東大会で4強入りし、20年春のセンバツ出場校に選出されたが、新型コロナウイルスの感染拡大で大会が中止される憂き目にあった。三塚は「県大会の勢いそのままに、群馬代表として結果を残したい」と意気込んでいる。

健大高崎(群馬2位)「1点を泥臭く取る」

 県大会では堅い守備で接戦をものにし、3連覇がかかる関東大会への切符を手にした。

 圧倒的な打力で今春のセンバツにも出場した夏までのチームとは打って変わり、小技を絡めて「1点を泥臭く取る」(青柳博文監督)スタイルが持ち味。

 投手陣は、大きく縦に曲がるカーブが武器の左腕・加藤達哉(1年)と本格派右腕・森柊太(しゅうた)(同)の二枚看板が引っ張る。打線は県大会で2本塁打を放った清水叶人(かなと)(2年)や、俊足巧打の佐々木琉生(るい)(同)らが中心。

 主将の佐々木は「昨年のチームと比べ、自分たちには力がない。3連覇よりも、一戦一戦を全力で戦うことで、チーム力の高さを見せつけたい」と気を引き締めている。

山梨学院(山梨1位)「打線は破壊力抜群」

 夏の県大会でもチームの中心を担った1、2年生が残る。吉田洸二監督は「夏を終えて練習試合ができない中、経験がある選手がいることが一番大きい」と話す。

 秋の県大会では、夏の甲子園に出場した日本航空を10-1で降すなど、準決勝まで4試合すべてでコールド勝ち。決勝でも14安打で9得点し、攻撃力を見せつけた。出塁率が7割近い1番・鈴木斗偉(2年)や、夏から4番に座る高橋海翔(1年)が1試合2本塁打を放つなど、打撃陣を引っ張る。

 投手陣は継投で県大会を勝ち抜いてきたが、中心となるのは榎谷礼央(2年)。全試合に登板して無失点の好投を見せ、エースとしての期待がかかる。

帝京第三(山梨2位)「長打に機動力絡め」

 県大会で準優勝し22年ぶりの関東大会出場を決めた。長打力があり、全5試合中4試合で打点をたたき出した中村将湖(2年)や、夏の県大会でも4番の星野聖稀(いぶき)(同)が中軸を担う。エース・三上大貴(同)は打率4割を超え、打撃面でもチームをけん引する。犠打や盗塁で好機を広げ、打線をつなげて大量得点し勝ち上がった。

 投手陣の軸は、県大会5試合で37奪三振、準決勝までの4試合を完投、自責点1に抑えた右腕・三上。大牧大輔監督は「山﨑楓也(同)との二枚看板で、継投も考えている」と、決勝で先発した山﨑にも期待している。打たせて取る投手陣を援護するため、ゴロの処理など守備の精度を高め、関東大会に臨む。

明秀日立(茨城1位)「打ち勝つ野球目標」

 県大会の準々決勝で今夏甲子園出場の鹿島学園に逆転勝ちして勢いに乗り、4年ぶりに秋を制した。

 打線は下位まで勝負強く、県大会のチーム打率は3割2分4厘をマーク。本塁打は8本を数え、3本を放った4番・武田一渓(2年)らに長打力がある。

 投手陣は、最速142キロのストレートと大きく落ちるフォークが持ち味のエース右腕・猪俣駿太(同)がけん引。金沢成奉監督は「粘り強さ、勤勉さがあり、ポテンシャルは高い」と関東大会での飛躍を期待する。

 石川ケニー主将(同)は、「打ち勝つ野球が目標。全員で1点を取り、全員で1点を守る。まずは最初の1試合を勝ちきり、流れに乗りたい」と力を込める。

藤代(茨城2位)「守りから流れ作る」

 機動力とつなぐ打撃で、3年ぶりに関東大会出場を決めた。

 県大会では15盗塁を記録し、足を絡めた攻撃で34得点を挙げた。打線を引っ張るのは、打率5割4分5厘のリードオフマン・川原翔(2年)。菊地一郎監督は「スイングの軌道が良く、捉え損じが少ない」と期待を寄せる。主将・園田嵩聡(たかと)(同)も打率5割7分9厘と好調だ。

 エースの左腕・新関颯太(同)は低めに集める丁寧な投球で、相手打線を封じ込める。右腕・渡辺峻太朗(同)も県大会を通じて磨いた制球力が持ち味で、緩急を使って打たせて取る。菊地監督は「守りからリズムを作って攻撃につなげ、少ないチャンスをものにしたい」と意気込みを語る。

土浦日大(茨城3位)「投手陣と堅守売り」

 県大会の準決勝で明秀日立に惜敗したものの、「粘り強いチーム」(小菅勲監督)が3位決定戦で16年ぶりの関東大会出場をつかみ取った。

 右の本格派・山田奏太(2年)と右のサイドハンド・河野智輝(同)がリズム良く投げ、守備から流れを作る。県大会5試合は2人で計4失点にとどめ、小菅監督は「山田は打たせて取る投球を覚えた。河野は(ピンチでも)気持ちの起伏が表に出ず、冷静さを保っている」と投手陣の成長に期待を掛ける。

 打線では主軸の吉次悠真(同)の調子が上向いている。主将の武田優輝(ゆあ)(同)は「自慢の投手陣と、守備の堅さが売り。チャレンジャーとして、『下克上』を果たしたい」と意気込む。

(毎日新聞埼玉版)

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