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センバツのブラバン応援が3年ぶりに復活 「研究家」の推しは?

【写真】開幕試合に向けて練習に熱が入る浦和学院の吹奏楽部員ら=さいたま市緑区の同校で2022年3月13日

 18日に開幕する第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)で、吹奏楽を伴うスタンド応援が3年ぶりに戻ってくる。新型コロナウイルス感染拡大のため、2020年は大会中止、21年は吹奏楽を使った生演奏が禁止されており、復活を待ち望む高校野球ファン、そして吹奏楽ファンは少なくない。

 「高校野球ブラバン応援研究家」の編集者・ライター、梅津有希子さん(46)もその一人だ。札幌白石高(札幌市)時代は吹奏楽部に所属し、「吹奏楽の甲子園」と称される全日本吹奏楽コンクールで3年連続金賞を受賞している。

 吹奏楽部の女子生徒と高校球児の青春を描いた漫画「青空エール」の監修を担当したのが縁となり、13年夏に甲子園を初めて観戦した。出場校の吹奏楽部が出すレベルの高い音に感心したが、もっと驚いたことがある。試合に負けて野球部とともに吹奏楽部員たちが涙を流している姿だった。「高校野球強豪校が全日本吹奏楽コンクールの常連校でもあるというケースが多い理由はこれなのかと。吹奏楽部も野球部とともに戦っていて、自分の知らなかった夏があった」と振り返る。

 以来、「完全に吹奏楽目線」(梅津さん)で春夏の甲子園、さらには地方大会にも足を運び、さまざまな学校の野球応援を体感するようになった。プロ野球や東京六大学野球の曲を使う学校、「サウスポー」「狙いうち」など昭和の懐メロや「宇宙戦艦ヤマト」などのアニメソングを使う学校、オリジナル曲を展開する学校など、それぞれに個性があった。

 こうした高校野球の舞台で繰り広げられる吹奏楽の魅力をまとめた著書が「ブラバン甲子園大研究」(文芸春秋、16年刊)。刊行と前後する形で高校野球が100年を迎え、有名校のオリジナル応援歌を収録したCDがヒットするなど、高校野球応援が注目される機会が増えていった。

 だが、新型コロナで部活動を巡る状況は一変した。センバツは中止に追い込まれ、各地の吹奏楽コンクールも「飛沫(ひまつ)感染」への懸念から中止や無観客開催が相次いだ。

浦和が学院「開幕戦、プレッシャーも」

 今回のセンバツで、18日の開幕試合に登場する浦和学院(埼玉)の吹奏楽部も56人の全部員が球場で演奏したことがない。同校は13年センバツで優勝するなど甲子園常連校で、サンバのオリジナル曲を使った応援でも知られる。吹奏楽部顧問の林真琴教諭は「『吹奏楽で野球応援がしたいから』と入学してくる生徒も少なくない。それだけに大勢の人に聴いてもらえる機会を与えてもらい、感謝したい」と大舞台を待ち望む。指揮を執る部員の安井瑞希さん(2年)も甲子園での応援に憧れ、同校に入学した。「開幕戦でプレッシャーもあるが、責任感を持って演奏を届けたい」と声を弾ませる。

 梅津さんも開幕試合から観戦予定だ。「感染対策でやむを得ないとはいえ、今回のセンバツも人数や使用楽器など、いろんな制限がある。以前と同じような演奏はできないかもしれないが、リアルで一生懸命な熱演を聴きたい。日本独自の文化といえる高校野球応援にエールを送りたい」と期待している。

(毎日新聞電子版)

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