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浦学新監督、エース休ませる堂々采配 夏につながる敗戦 高嶋仁の目

【写真】試合後、スタンドの応援団にあいさつへ向かう浦和学院の選手

 延長戦までもつれ込んだ準決勝の第1試合。浦和学院(埼玉)は敗れはしたものの、素晴らしい経験をしたのではないでしょうか。収穫の多い敗戦でした。

 新チームから指揮を執る森大(だい)監督はまだ31歳。62歳の大ベテランの近江(滋賀)・多賀章仁監督に気後れするようなことなく、堂々たる采配を見せました。

 まずエースの宮城誇南(こなん)投手を先発させませんでした。

 宮城投手は1回戦を完封し、2回戦、準々決勝にも先発してきました。試合途中にキャッチボールしている様子を見ると、疲れもあって万全な状態でないようでした。

 決勝まで勝ち進んだら、宮城投手にもまた投げるチャンスはある。「準決勝はほかの投手でがんばろう」と腹をくくったんだと思います。

 先発に送った背番号10の浅田康成(こうせい)投手は、変化球を使いながら丁寧に投げていました。一回と四回のピンチでは、レフトの三宅流架(るか)選手が安打性の当たりをダイビングキャッチするなど、バックも好守備でもり立てました。ヒットになっていたら点が入っていますから、大きいプレーでした。

 2番手投手が五回2死から3連続四死球を出しましたが、これは仕方ありません。たくさん投手を使えば、調子の悪い子もいます。

 そういうときは、スパッと交代させてあげればいいのです。森監督は、遊撃手で抑え役の金田優太選手を早めに投入し、この回を無失点で切り抜けました。

 ぼくも継投は早め早めを心がけていました。その方が悔いが残らないし、マウンドを降りる投手の痛手も少なく済みます。次のチャンスで、また頑張ってくれればいいのです。

 攻撃陣は、むしろお父さんの士(おさむ)さんが監督を務めていたときよりレベルが上がっているように感じました。

 甘い球は思い切ってバットを振っていきますが、相手の状態や試合状況に合わせた打撃もできます。得点した四回も、スイングをコンパクトにして、近江の山田陽翔(はると)投手から2点を先行しました。

 ただ、その後はチェンジアップをうまく使う山田投手をとらえ切れませんでした。

 その点はきっちり反省し、夏に生かせばいいんです。ぼくは選抜大会は、そんなふうに考えるようにしていました。(前・智弁和歌山監督)

(朝日新聞電子版)

惜敗の浦和学院、新監督が見た「足りなかったもの」

十一回裏近江1死一、二塁、大橋(奥)に3点本塁打を許し、打球の行方を追う浦和学院の金田

 第94回選抜高校野球大会は第10日の30日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で準決勝があり、浦和学院(埼玉)は近江(滋賀)に延長十一回、2-5でサヨナラ負けを喫し、初優勝した第85回大会(2013年)以来9年ぶり2回目の決勝進出を逃した。父・森士(おさむ)前監督からチームを引き継いで就任1年目で4強入りに導いた森大監督が得たのは手応えと教訓だった。

 伝統の堅守を見せた。巧みな打撃で先取点も奪った。では、足りなかったのは――。父でもある森士(おさむ)前監督から昨秋チームを引き継いだ浦和学院・森大監督は、その答えを「マウンド」に見た。

 一回2死二塁、近江の4番・山田の浅い飛球に甲子園初先発出場の左翼・三宅が飛びついて捕球した。打った山田が思わず拍手した好プレーで先取点を防ぐと、四回は1点を返されなお1死二塁から左中間へのライナーをまたも三宅が好捕。OBで元プロの三浦貴コーチらが雨のように降らせたノックで鍛えられ、三宅は「球際に強くなるための練習の成果が出た」。

 打っては四回、大会屈指の好投手・山田をとらえた。木製バットを振り込んで磨いた打撃で相手の武器である低めの変化球を捉え、最後は相手好守での併殺に阻まれたものの、2番・伊丹からの4連打で2点を先行した。

 投手陣も及第点だ。準々決勝まで3連投したエース左腕の宮城は状態が万全でなく、監督判断で登板を回避。大黒柱はマウンドに上がらなかったが、リリーフエースの金田ら3投手の継投で十回まで2失点に抑えた。ただ、それでも勝てなかった。森監督が敗戦理由を見た「マウンド」にいたのは、相手投手の山田だ。

 五回に死球を受け、足を引きずりながらも続投した山田の前に打線は六回以降2安打に抑えられ、三塁も踏めなかった。「デッドボールが当たってからの山田君は、ギアが上がった。いやもう、気迫が違った」。大学院で心理学を学んだ森監督は、すごみを増した相手右腕に脱帽した。

 前監督は30年にわたって指揮を執り、猛練習で浦和学院を全国屈指の強豪に育て上げた。そんな父とは一線を画し、睡眠や効率性も重視して朝練習を廃止するなど新たなチーム作りに取り組む森監督は「勝ち切るには最後はそこ(気迫)だと、甲子園は感じさせてくれた」という。何事にも積極的にという超攻撃野球を掲げ、1年目から躍進を見せた「新生浦学」。伝統と進化を模索していく。

(毎日新聞電子版)

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