【写真】先発し力投する浦和学院・西村虎龍
第108回全国高校野球選手権埼玉大会は26日、県営大宮球場で決勝を行い、Aシード花咲徳栄が春王者の浦和学院を7-3で下し、2年ぶり9度目の優勝を飾った。春夏連続での甲子園出場は2016年以来2度目となる。
花咲徳栄は1点を追う六回、1死三塁から佐伯の中前打で同点。1-1で迎えた八回に奥野の中越え2点二塁打と本田の中前適時打で3点を勝ち越した。投げては先発黒川が3失点で完投。9安打を許しながらも要所を締めた。
優勝した花咲徳栄は全国高校野球選手権(8月5~22日・甲子園)に出場する。
先発・右腕西村、攻守で魅了 誓う成長
浦和学院の先発・西村が攻守で観衆を魅了した。
投げては外角中心のツーシームと直球を効果的に使い、相手打線を五回まで2安打、無失点と寄せ付けなかった。六回、先頭に甘く抜けた球を拾われ三塁打とされ、1死三塁から適時打で1点を返され降板。「行けるところまで行くつもりでマウンドに立って、やることはやった。悔いはない」と胸を張った。
右翼の守備に回り、七回には1死一、二塁のピンチで読みがさえた。「相手の1番打者は逆方向に強い打球が来ると予測していた。1歩目も出て絶対に捕れると思った」。右翼線に鋭く飛んだ打球をダイビングキャッチ。素早く遊撃手に送球し、飛び出した二塁走者までアウトに。ベンチのムードは最高潮に達した。
七、九回には2打席連続で中前安打を放ち、”打”でも魅せた。それでも、チームは好機に一本が出ず甲子園には届かなかった。「接戦での強さ、粘りが相手の方が上手だった。悔しいけれど3年間の頑張りには胸を張って、大学でもこの経験を生かしたい」。敗戦を糧に、次のステージでさらなる飛躍を誓った。
<焦点>磨いた武器、封じられ

7回裏浦和学院2死一塁、一塁走者西村が二盗を試みるがタッチアウト。ベースカバーは遊撃手岩井
準決勝まで全6試合コールド勝ちと盤石の強さを誇っていた浦和学院は、投打にどこかちぐはぐで3年ぶりの聖地には届かなかった。積年のライバルの花咲徳栄に終盤競り負け、森監督は「中盤で追加点を取れなかったこと、終盤に投手陣が粘り切れなかったことがポイントだった」と敗因を探った。
1-1の八回にスコアは激しく動いたが、その前の七回が一つの鍵となった。
表の守り。1死一、二塁で2番手佐々木からエースナンバーを背負う日高にスイッチした。1点も与えたくない場面。花咲徳栄の1番岩井の快音を残した当たりはライナーで右翼線を襲う。右翼手西村が猛然と突っ込み、ダイビングキャッチ。二塁へ送球し、併殺を完成させた。
ベンチ、スタンドの盛り上がりは最高潮に達した。その裏。先頭の伊藤が中前打で出塁すると果敢に仕掛ける。続く法量の打席で二盗を試みたが失敗。2死後、中前打で出塁した西村が再び二盗を狙ったが、またしてもアウトになった。準決勝まで記録した盗塁は27。夏を勝ち抜くために磨いてきた「打てない時の攻撃」(主将の蜂巣)が機能せず、蜂巣は「隙を狙う走塁が防がれた」と肩を落とした。
続く八回、勢いに乗った花咲徳栄打線に日高がつかまり2点を失い、救援した伊藤も1点を失った。1点差とした九回にもナインからの信頼が厚い伊藤が3点を献上した。伊藤は「後悔のないボールを選択したが相手の集中力がすごかった」と涙をこらえた。
圧倒的な投手力と攻撃力で大会を席巻したが、最後に待っていたセンバツ8強の好敵手の壁は厚かった。八回の先頭で三塁打を放った2年生大宮は「泥くささ、一生懸命さを学んだ。これを生かし、甲子園に行く姿を見せたい」。先輩たちと共に味わった悔しさを胸に秘め、新たな挑戦が始まる。
玉榮、仕事果たし先制 仲間思い寂しさ
今大会1番打者でチームをけん引してきた玉榮が先制点を導いた。三回1死三塁で、後ろを守っていた遊撃手のところにきっちりゴロを打ち、三塁走者城間が生還。「自分のやるべきことをしっかりできた」と役目を果たし、納得の表情だった。
今夏、持ち味の積極性を打撃に生かした背番号5は「最高の仲間で浦和学院に来て良かった。もうこの仲間と野球ができないことが本当に悔しい」と思いをはせた。
日高、1球の失投痛感 バトンは後輩へ
一つ後輩の佐々木からバトンを受けたエース日高。「自分が失点を抑え、試合の流れをつくる」と七回は無失点に抑えた。だが八回1死一、三塁では中越え2点二塁打を浴びて降板。「ストレートが真ん中に入ってしまった。1球の失投が命取りになることを実感した」と、失投に悔しさをにじませた。
エースナンバーを背負い、チームをけん引してきた右腕は「やっとここまで来たのに打たれてしまい、みんなに申し訳ない」と涙をこらえた。「(投手)佐々木を筆頭に、悔しさをバネにして甲子園に行ってほしい」とエールを送った。
3番の鈴木、夢破れるも充実感
「3点差あっても勝てる。今まで終盤の粘りで勝ってきたから」。3番鈴木は、自らに言い聞かせて打席に入った。八回、仲間が1点を返し、2-4で回ってきた2死二塁の場面。狙っていた外角の直球を左越えに運び、一時1点差に詰め寄る適時二塁打を放った。
中学3年生の夏、浦和学院が甲子園に出場。入学後、1年秋からベンチ入りし、自分たちの代では経験できていない全国大会を目指して埼玉の決勝戦まで駆け上がった。目前で夢破れたが「ここまで練習でやれることはやってきた。負けてしまったけれど、最後までやり切った」。充実の表情で結果を受け止めた。
(埼玉新聞)
浦和学院、3年ぶり聖地届かず 終盤猛追も涙

1回表、満塁のピンチをしのぎ声を上げる浦和学院・西村虎龍
浦和学院は宿敵との激闘に敗れ、3年ぶり16度目の夏の甲子園出場を逃した。花咲徳栄に敗戦。秋、春に続く3季連続のライバル対決は、終盤まで白熱した接戦となった。
2回まで両者無得点のまま迎えた3回1死。9番・城間琥珀外野手(3年)が右中間への三塁打で好機を演出すると、1番・玉栄久豊捕手(3年)の内野ゴロの間に先制。
しかし6回、同点に追いつかれると、7回には6回途中から右翼へ回っていた先発・西村虎龍投手兼外野手(3年)が1死一、二塁の場面で右翼線への鋭い打球をダイビングキャッチ。勝ち越しのピンチを防ぐ好守を見せた。
それでも1-1で迎えた8回表に一挙3点を失い、勝ち越しを許した。その裏に打線が意地を見せ、2点を返して1点差まで迫る粘りを披露。
最後まで宿敵に迫ったものの、9回に突き放されあと一歩及ばなかった。森大監督(35)が掲げてきた「全ては夏のために」は涙とともに幕を閉じた。
浦和学院、悲願ならず 森大監督「高校野球はゴールではない」3年生へエール

9回に追加点を浴びがっくりとベンチに戻る伊藤漣
秋は敗れ、春は勝ち、最後の夏に再び宿敵と相まみえた。
浦和学院は3回に先制し、8回に逆転を許しても、その裏に2点を返して最後まで食らいついた。しかし、悲願の甲子園にはあと一歩届かなかった。森大監督(35)は「花咲徳栄を倒すことを目標にしてきた世代。勝ち切らせてあげられず私の力不足」と責任を背負い、「高校野球はゴールではない」と3年生の未来へエールを送った。
(日刊スポーツ)
浦和学院、悔し準V プロ注目捕手・内藤蒼はプロ一本を明言「プロに行って恩返ししたい」

決勝戦の先発のマウンドに上がった浦和学院・西村虎龍
両軍合わせて21安打の乱打戦となったが、打ち負けた。浦和学院ナインは敗戦が決まると、グラウンドにうずくまり泣きじゃくった。ベンチに戻ると、森大監督が選手を集めた。
「次がある。この悔しい思いを次に生かすんだよ。勝てなかったことに後悔するな。次の野球人生に生かすんだよ。ここは通過点。みんな頑張ったよ。誇りに思うよ。立派だったよ」
選手の目から止めどなく流れる涙を見て、指揮官は気丈に振る舞った。
3回に先制しながらも、4、6回の得点機を生かせずじわじわと流れは相手に傾いた。「中盤で追加点を取りきれなかったところがポイント。後半、バッテリーを代えて、粘り切れなかった。そこが徳栄さんとの違い」と敗因を説明。それでも、3点を追う8回に2点を奪い、意地は示した。
プロ注目の内藤蒼捕手(3年)は4打数1安打。6回と8回の得点機で凡退し、「甲子園に行けなくて、個人的にも注目されているなかで結果を出せなかったのは悔しい」。責任感が言葉ににじんだ。今後の進路については「プロ一本」を明言した。憧れの捕手はタイプが「似ている」と強肩が売りの巨人・山瀬を挙げ、「プロに行けたら経験を積んで信頼を得られる選手になりたい」と決意を新たにした。
「負けてしまったことは仕方がない。勝たせられなかった仲間の分もプロに行ってみんなに恩返ししたい」と涙を拭った内藤。次なるステージでさらに成長した姿を見せる。
(スポーツ報知)
浦和学院・蜂巣主将が最後にみせた背中 九回に代打で意地の中前安打

九回裏浦和学院、一塁に出塁した蜂巣がベンチに笑顔を見せる
最後まで、主将らしくチームを引っ張った。
九回裏、浦和学院の攻撃。この回の先頭打者が三振に倒れると、主将蜂巣祥万(3年)が代打で打席に立った。追い込まれて振り抜いた4球目は、中前に落ちた。一塁上で、ベンチに向かって大きく拳を突き上げた。
背番号18で、レギュラーではない。昨秋、関東大会の準々決勝で敗れ、選抜大会の出場を逃したチームは技術のレベルアップを重視するなか、蜂巣は、私生活の行動を口酸っぱく指摘した。ただ自分の言葉がチームに伝わっていないと感じていた。
冬には一度、主将を降りたこともある。その間、チームを俯瞰(ふかん)してみることに努め、ミーティングの内容やチームの課題などを毎日、野球日誌に書き出した。「全てやりきって甲子園をつかみたい」。A4サイズのノートは毎日上から下まで真っ黒になった。
「(秋までは)ミーティングのなかでずっと自分だけが話していた」と気づき、主将に復帰してからは、「どう思うか」と声をかけてみんなが話せる環境づくりに努めた。ひたむきな姿勢に、周囲も変わり始めた。それぞれがミスや課題を指摘し合える雰囲気も生まれた。「蜂巣じゃなかったらチームはまとまっていない」。三塁手の玉栄久豊(3年)は言う。
この日、蜂巣は塁上で笑顔を貫いた。「涙ぐむチームメートを見て、まだ終わっていないよ、前を向いていこうよ」と思っていたからだ。
三塁まで進んだものの本塁へは戻れず、試合が終わった。優勝してわき上がる相手チーム、グラウンドでうずくまる自チームの選手を背に、誰よりも早く整列した。その背中は、最後まで堂々としていた。
(朝日新聞埼玉版)
試合結果
全国選手権埼玉大会・決勝(7/26・県営大宮)
| TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E |
| 花咲徳栄 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 | 3 | 7 | 12 | 1 |
| 浦和学院 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 3 | 9 | 1 |
| 【浦】 | 西村、佐々木、日高、伊藤-玉榮、内藤 |
| 【花】 | 黒川-佐伯 |
| 三 | 城間、大宮(浦)東村、笹崎(花) |
| 二 | 伊藤、鈴木(浦)佐伯、高原、笹崎、奥野(花) |
打撃成績
| 浦和学院 | ||||
| 位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
| ②5 | 玉榮 | 3 | 0 | 1 |
| ③ | 藤澤 | 3 | 0 | 1 |
| ⑦ | 鈴木 | 4 | 1 | 1 |
| DH→2 | 内藤 | 4 | 1 | 0 |
| ⑥1 | 伊藤 | 4 | 2 | 0 |
| ④ | 法量 | 3 | 0 | 0 |
| H | 蜂巣 | 1 | 1 | 0 |
| ⑨ | 松井 | 2 | 0 | 0 |
| 9 | 西村 | 2 | 2 | 0 |
| ⑤ | 金谷 | 2 | 0 | 0 |
| 1 | 佐々木 | 0 | 0 | 0 |
| 1 | 日高 | 0 | 0 | 0 |
| 6 | 大宮 | 2 | 1 | 0 |
| ⑧ | 城間 | 3 | 1 | 0 |
| H | 伊佐 | 1 | 0 | 0 |
| 計 | 34 | 9 | 3 | |
| 花咲徳栄 | ||||
| 位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
| ⑥ | 岩井 | 5 | 1 | 0 |
| ⑨ | 東村 | 5 | 2 | 0 |
| ⑧ | 笹崎 | 4 | 2 | 2 |
| ② | 佐伯 | 4 | 3 | 2 |
| ④ | 奥野 | 3 | 2 | 2 |
| 4 | 上山 | 0 | 0 | 0 |
| ⑦ | 市村 | 5 | 0 | 0 |
| ③ | 本田 | 4 | 1 | 1 |
| DH | 高原 | 3 | 1 | 0 |
| R→DH | 更科 | 0 | 0 | 0 |
| H→DH | 鈴木 | 1 | 0 | 0 |
| ⑤ | 谷口 | 3 | 0 | 0 |
| 計 | 37 | 12 | 7 | |
投手成績
| 浦和学院 | |||||||
| 選手名 | 回 | 安打 | 三振 | 四球 | 死球 | 失点 | 自責 |
| 西村 | 5 1/3 | 4 | 3 | 2 | 0 | 1 | 1 |
| 佐々木 | 1 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
| 日高 | 1 | 2 | 0 | 1 | 0 | 3 | 3 |
| 伊藤 | 1 2/3 | 4 | 1 | 0 | 0 | 3 | 1 |
| 計 | 9 | 12 | 4 | 4 | 0 | 7 | 5 |
| 花咲徳栄 | |||||||
| 選手名 | 回 | 安打 | 三振 | 四球 | 死球 | 失点 | 自責 |
| 黒川 | 9 | 9 | 8 | 0 | 1 | 3 | 3 |
| 計 | 9 | 9 | 8 | 0 | 1 | 3 | 3 |
チーム成績
| TEAM | 攻撃 | 守備 | |||||
| 三振 | 四死球 | 犠打 | 盗塁 | 残塁 | 失策 | 併殺 | |
| 浦和学院 | 8 | 1 | 1 | 0 | 6 | 1 | 2 |
| 花咲徳栄 | 4 | 4 | 1 | 0 | 8 | 1 | 0 |
終盤に攻勢をかけた花咲徳栄が浦和学院を7-3で破った。0-1の六回1死三塁、佐伯の中前適時打で同点。八回1死一、三塁から奥野の中越え2点二塁打で勝ち越し、なお2死三塁で本田が中前適時打を放った。4-3の九回には笹崎の2点三塁打と佐伯の適時打でリードを広げた。先発黒川が3失点で完投。9安打を浴びるも要所を締めた。浦和学院は長打4本を放つも3得点止まり。七回の盗塁死二つが響いた。終盤に中継ぎの日高、伊藤がつかまった。

