(30日・山梨県小瀬スポーツ公園野球場)
第2日は1回戦3試合が行われ、浦和学院は東海大相模(神奈川2位)に3-1で競り勝ち8強に進出。11月1日の準々決勝で、甲府工(山梨3位)と対戦が決まった。
浦和学院は二回に木暮の犠飛で幸先良く先制。四回に失策で同点とされたが、五回に笹川の犠飛、六回には木暮の適時二塁打で突き放した。投げては山口が被安打7、1失点で完投した。
第3日は31日、1回戦の残り2試合が行われ、花咲徳栄は作新学院(栃木1位)と顔を合わせる(10時)。
◇選抜王者に度胸満点
連覇へ向け、重みのある1勝を手にした。浦和学院が昨年の決勝を争った前回の選抜大会覇者・東海大相模に一度のリードも許さず競り勝った。
「今日は山口の力投に尽きる」と森監督をうならせた背番号10が勝利の原動力だ。7安打を浴び、九回を除く毎回で走者を背負ったが、失ったのは失策による1点のみ。181センチから投げ下ろす変化球を軸に的を絞らせず、特に不利なカウントになっても、打者の打ち気をそらす縦のスライダーを巧みに操った。
強豪にも逃げずに立ち向かえる度胸も満点。2点リードの七、八回は無死から走者を許したが、「マウンドは譲らない」と後続を切って取り、試合後は「自信になりそう」とあどけない笑顔を見せた。
序盤は不安定だった1年生右腕を抜群のチームワークも援護した。四回に、守備妨害とも取れる悪質なプレー(記録は失策で失点)で遊撃手竹村が負傷。「こういう形で負けてたまるか」(主将明石)と、16分間の治療後に復帰した竹村ら、グラウンドに姿を現した選手の目つきが変わった。
続く1死二塁のピンチでは林崎が三盗を阻止すると、直後の五回に勝ち越し、六回には県大会で不振だった木暮の二塁打で突き放した。守備でも四回以降は速い打球に腰を落とし本塁を死守した。
「初戦の硬さの中、勝てたことが収穫」と指揮官。会心の試合運びといえなくとも、耐えてつかんだ一丸の勝利こそが、今後に生きてくる。
◇不屈の魂でチーム鼓舞
不屈の魂の持ち主だ。足の負傷にも負けず浦和学院の遊撃手竹村が背中でチームを勇気づけた。
四回だった。無死一塁から自身の失策で一、二塁となった直後。相手の投ゴロで二塁へベースカバーに入った際に、併殺を阻止しようとした一塁走者に右足を思い切り踏まれた。一塁への送球が大きくそれるタイムリーエラーで二塁走者に同点の生還を許した。大きく腫れ上がった右足は震え、とてもプレー続行は不可能かと思われた。
それでも16分間の治療の後、戻ってきた背番号6はここから真骨頂を発揮。「エラーは打って返すしかない」。五回の第3打席から中、左、中へ3安打。笹川の犠飛では右足を引きずりながらも決勝の生還を果たし、雄たけびを上げた。「次の試合も気持ちを出したい」。その男気あふれるプレーから目が離せない。
(埼玉新聞)
◇体で変化球止め走者生還許さず 林崎捕手
ピンチになるたび、浦和学院の捕手・林崎龍也君(2年)が、投手の山口瑠偉君(1年)に声を掛けた。「絶対に止めてやるから、低めを狙って思いっきりスライダーを投げろ」
2日の県大会決勝では、山口君のスライダーがワンバウンドして失点した。記録上は暴投だったが、林崎君は「もう絶対にそらさない」と、ワンバウンドになる球を体で止める練習を繰り返してきた。
その成果が現れたのは7回裏2死三塁の場面。好調な1番打者を迎えた。2ボール2ストライクとなり、直球狙いとみてスライダーを要求。ワンバウンドしたが体で止め、走者の生還を許さなかった。フルカウントになり、再びスライダーで勝負。見逃し三振に仕留め、ガッツポーズをした。試合後、「練習でやってきたことが出せた」と満足そうに振り返った。
(朝日新聞埼玉版)
◇仲間の雄姿に刺激--浦和学院・木暮騎士三塁手(1年)
六回表1死一塁、打席で自身に気合を入れた。「あいつはけがをしても頑張っている。自分も結果を出す」。“あいつ”とは、同じ1年生の竹村春樹遊撃手。四回の守備で相手選手と交錯して右足を負傷しながらも、五回に安打を放っていた。
仲間のプレーに励まされて臨んだ打席でのフルスイングは、左翼線の適時二塁打につながった。
今季は地区大会から15打数2安打にとどまり、「チームの足を引っ張っている」と悩んだ。関東大会初戦という大事な日に2打点の活躍を見せた。しかし、「まだまだこんなもんじゃ足りません。もっと頑張って、チームに貢献したい」と、厳しい表情を崩さなかった。
◇後半の攻撃に課題--浦和学院・森士監督
初戦の硬さの中で何とか勝てたのは大きな収穫。継投も考えていたが山口はよく投げた。走者を出しながらもバッテリーが耐えてくれた。打撃は中盤までよかったが後半が攻略できず課題を残した。
◇選手はよくやった--門馬敬治・東海大相模監督
(先制され)何とかしなければと空回りしてしまった。私がいい方向に持って行けなかった。選手たちはよくやってくれた。浦和学院はワンチャンスをきちんとものにしていた。
(毎日新聞埼玉版)
◇東海大相模の庄司「力がない」とうなだれ
東海大相模の庄司は、三者凡退は一、八回だけで、再三走者を背負う苦しい投球だった。9回3失点と数字的には仕事は果たしたが、「自分の力はまあ、いつもよりは発揮できた。それで打たれた。力が全然ないということ」とうなだれた。
1-1の五回。1死から1番打者に、初球のカーブをセンター前へ。2番打者には「曲がらなかった」という初球のスライダーを再び中前に運ばれて一、二塁とされた。その後は四球と左犠飛で勝ち越し点を献上。「とにかく粘り強さを出そう」と意気込んだマウンドだったが、さすがに試合後は厳しい表情だった。
◇好機の凡退悔やむ
東海大相模の主将の1番磯網は、チャンスでの凡退を悔やんだ。
第1打席から3打席連続安打。上位でただ一人気を吐いたが、2点を追う七回2死三塁では、フルカウントからの緩いカーブに見逃し三振。思わず天を仰いだ。
「追い込まれたので、来た球を打とうと思ったけど、打たなきゃいけないという気持ちが強すぎて手が出なかった」と磯網。「悔しいけど素直に負けを認める。もう一回練習ができると思うので、チームをつくり直す」と必死に前を向いた。
(神奈川新聞)
■1回戦(10月30日)
浦和学院
010011000=3
000100000=1
東海大相模
【浦】山口-林崎
【東】庄司-広戸
▽二塁打 笹川、木暮(浦)端山(東)
【投手成績】
山 口 9回、被安打7、3奪三振、与四死球3、失点1、自責点0
【打撃成績】
⑥ 竹 村4-3-0
② 林 崎3-1-0
⑧ 佐 藤2-0-0
⑨ 笹 川3-1-1
③ 明 石4-0-0
⑦ 石 橋3-1-0
⑤ 木 暮3-1-2
① 山 口4-1-0
④ 緑 川4-0-0
(打数-安打-打点)
安 打:浦8、東7
三 振:浦4、東3
四死球:浦4、東3
犠 打:浦4、東2
盗 塁:浦0、東0
失 策:浦2、東0
併 殺:浦0、東1
残 塁:浦8、東8