◇積み重ねた努力結果に |
秋季県大会の抽選会が行われた9月22日。出場39校の投票によるシード決めで、29票の聖望学園に次ぐ26票を獲得した浦和学院がAシードに推された。
抽選が始まり、浦和学院の山の対極に、同じく25票を得た花咲徳栄が収まった。準決勝まで順当に勝ち進めば、関東大会の切符を争う大一番で最大のライバルと対戦することが濃厚となった。森監督も「組み合わせを見て一番の目標になった」と闘志をたぎらせた。
◇関東切符懸け激突 |
百戦錬磨の指揮官をして「勝ち方を知っているチーム」と評する強敵。2004年から13年までの秋に限れば、10年間で浦和学院が6度、花咲徳栄が4度の優勝を分け合っている。両校は地力を発揮して勝ち上がり、10月4日、決戦の幕が切って落とされた。
試合は後攻の花咲徳栄が四回に1点を先制。浦和学院も直後の五回無死一、三塁から荒木の中前適時打で追いすがる。森監督が「大きな一戦だからこそ、後悔しないように思いっきりやろう」と選手を鼓舞すると、選手たちは指揮官の思いに呼応するように七回の攻防で真価を発揮する。
表の攻撃。高橋、荒木の連打などで2死一、三塁の好機を築くと、1番の1年生諏訪が「余計なことは考えず好球必打だけを考えていた」と、内角に甘く入った直球を右中間に運ぶ2点三塁打で勝ち越しに成功した。
裏の守備では1死三塁から二ゴロを臺が本塁で刺し、相手に流れを渡さなかった。2点リードで迎えた九回、1死満塁と長打が出れば逆転サヨナラのピンチでも鍛え上げた堅守が光る。一ゴロを捕球した山崎滉が一塁ベースを踏み、捕手西野へ冷静に送球。この日五つ目の併殺を完成させ、好敵手との決戦を制した。
◇夏大会の雰囲気 |
「徳栄戦はグラウンドの雰囲気が違った。夏の雰囲気に似ている状況で自分たちの力を出すことができた」と津田。山崎滉は「どんな相手でも全員で向かっていけば勝てる」とチームの力の大切さを実感していた。
昨秋の県大会は花咲徳栄に限らず、聖望学園や川越東など前評判の高いチームは他にもあった。森監督は「どうして勝てたか、戦っている俺自身もわからない。だから大変。だから高校野球は面白い」と目を輝かせる。
苦しみ、あえいだ夏場の努力は結果となって表れた。花咲徳栄戦を境に「一つの勝利に対する一体感が出てきた」と山崎滉。津田も「勝って得た自信は大きかった」。好敵手との激戦で手にしたものは、関東大会の切符だけではなかった。
(埼玉新聞)