(8日・県営大宮)
第5日は準決勝を行い、浦和学院が浦和実を8-0と七回コールドで下し、関東大会(10月22~24、29、30日・栃木)の出場権を獲得した。浦和学院は関東大会、決勝進出ともに3年連続17度目。
浦和学院は一回、蛭間の左前適時打で先制すると、さらに2死一塁で山本が右越え2ランを放った。投げては左腕佐野が浦和実打線を7回を1安打無失点に封じた。
また、第2試合で予定されていた春日部共栄-花咲徳栄は降雨の影響により、9日(12時)に順延となった。これにより決勝は10日(10時)に変更された。
思い一つに快打連発
県営大宮の空は、あいにくの雨交じりの曇天。一方、フィールド上では浦和学院打線が快打連発。打ちも打ったり、10安打8得点の圧勝劇だ。
10安打のうち長打が6本と、数字だけ見ても文句なしなのだが、個々の打撃内容も見事だった。
浦和実の主力投手陣は右上の三本木、右下の白石、左上の英。浦和学院はオーソドックスな右腕三本木の先発はないと踏み、白石、英対策を多めに施した。
ふたを開けて見ると先発マウンドには三本木。それでも、決して速くない球を反対方向へ強くはじき返す意識で練習に取り組んだ分、右打者は左の壁が、左打者は右の壁がしっかりでき、肩を開かず打ち返せた。一回に豪快な右越え2ランを放った5番山本は「低い打球を投手の足元に打つ意識だった」と短打の延長が長打になったと強調した。
準々決勝からの中断期間中のある日の練習。現役時代、右下手投げ投手だった森監督自身が、シート打撃に白石対策として登板。そして「この球は打つな」「この球を打て」と熱血指導した。実際に2番手として出てきた白石からも四、五回で計4点を奪い、山本は「一球ごとに指導してくださって、その思いに応えたかった」と力を込めた。
ベンチ入りメンバー相手に3回り放ったという指揮官は「久しぶりに投げたら体が痛くて、1日で終わったよ」と苦笑いしながらも「慌てずに、狙ったボールを仕留められていた」と選手たちに感謝していた。
佐野、1年生離れ 盤石14K
7回、打者24人に対して被安打1。浦和学院の1年生左腕佐野が、抜群の投球を披露した。
圧巻はその三振数だ。
一回の3番打者から5者連続を含む、毎回の14奪三振。「2ストライクからの低めのスライダーが良かった」と自負するように、打者の視界から消えるように曲がり落ちるウイニングショットがさえ渡った。外野に飛んだ打球も、一回の先頭の中飛と七回に浴び唯一の安打となった二塁打の2度のみと、手が付けられない。
ただ反省も忘れない。目指す選手に2013年の選抜優勝投手で現在早大で活躍する同じ左腕の先輩小島の名前を挙げ、「内角にストレートを投げ切れるようにしたい」と誓った。
浦和実、精彩欠いた大一番
浦和実は浦和学院に七回コールドで敗れた。打線は1安打に封じられ、自慢の投手陣も10安打を浴びる完敗だった。田畑監督は「投球でも攻めないと。ストライクを入れにいって勝負にならなかった」と肩を落とした。
これまでの3試合は抑えで登板していたエース右腕三本木を先発に起用。持ち味の制球力で打たせて取る狙いだった。だが「コースを狙ったが、真ん中に入ってしまった」と三本木。立ち上がりに甘く入った球を痛打され、序盤から4点を失った。捕手本条は「緊張で球が走っていなかった」と大一番での失速を悔やむ。
それでも3回戦でAシード聖望学園、準々決勝は立教新座をともに延長で下すなど収穫も多かった。現状で浦和学院との距離を測れたのも、冬を乗り切る力になるはずだ。指揮官も「この負けがつながる半年間にしたい」と目線を上げる。
16年ぶりの決勝進出こそならなかったが、これまで接戦をものにしてきた集中力は見事だった。主将の倉山は「冬に追い込んで、浦学と戦えるチームにしたい」と春に向けて出直しを誓った。
(埼玉新聞)
浦学、佐野投手 1年生左腕 7回14奪三振
浦和学院の1年生左腕、佐野涼弥投手が7回を被安打1に抑えた。130キロ台の直球、「低めのスライダーが良かった」と振り返った落ちる変化球を使い分けて緩急をつけ、打者24人から14奪三振を奪ってみせた。
七回表、甘くなった球を中越えに運ばれて二塁打。初安打を許し、後続の内野ゴロの間に三塁まで進まれたが、動じなかった。次打者を2球で追い込むと、最後は自信のスライダーで三振を奪い、試合を終わらせた。森士監督も「四球は出したが、マウンドで修正出来ており、終始良かった」とその投球を褒めた。
(朝日新聞埼玉版)
打ち込み実った本塁打 浦和学院2年・山本晃大選手
「関東大会出場をかけた試合で、相手も緊張しているはずだ。もっとたたみかけよう」。1点を先制した後に迎えた初回の打席で奮い立った。内角高めの直球を打ち返した感触は、「つぶした」という手応えが残り、打球は右越えの2点本塁打となった。森士監督が「初回に3点取れたのが大きかった」と振り返る一振りで、チームを勢いづけた。
準決勝に向けて、練習に付き添う3年生の球を打ち込んだ。浦和実の右下手投げの投手を想定し、森監督が自ら打撃投手を務めたこともあった。「スイングの指導もしてくれた。何としても打ちたかった」と気合を入れ直した。四回にはそのアンダースローの投手から、左中間に適時二塁打を放った。森監督にしっかり恩返しできた。
準々決勝に続くコールド勝ちで決勝進出と関東大会出場を決めたが、慢心はない。「監督や先輩のために活躍できるように気を引き締めたい」。感謝を胸に決勝に臨む。
気合で14奪三振
浦和学院の佐野涼弥投手(1年)が、七回1死まで相手打線をノーヒットに抑える好投を見せた。「関東大会がかかった試合。気合を入れて投げた」。得意のスライダーを低めに集め、5者連続を含む14もの三振の山を築いた。森士監督は「自分のイメージ通りの球を投げていた。終始良かった」と満足げ。秋季県大会3連覇に向け、佐野投手は「目の前の相手に全力で向かう。決勝でも普段やっていることをやるだけ」と気を引き締めた。
(毎日新聞埼玉版)
試合結果 |
県大会準決勝 10月8日(県営大宮球場) | ||||||||||||
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E |
浦和実 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | ||
浦和学院 | 3 | 1 | 0 | 2 | 2 | 0 | x | 8 | 10 | 0 |
【学】 | 佐野-秋山 |
【実】 | 三本木、白石、英-本条 |
本 | 山本(学) |
三 | 蛭間(学) |
二 | 家盛、山本、佐野、矢野(学)倉山(実) |
浦和学院打撃成績 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
⑤ | 矢野 | 3 | 2 | 1 |
③ | 杉山 | 3 | 1 | 0 |
⑨ | 蛭間 | 3 | 2 | 2 |
④ | 家盛 | 3 | 1 | 1 |
⑧ | 山本 | 4 | 2 | 3 |
⑦ | 燈中 | 2 | 0 | 0 |
② | 秋山 | 2 | 1 | 0 |
① | 佐野 | 4 | 1 | 0 |
⑥ | 森川 | 1 | 0 | 0 |
計 | 25 | 10 | 7 | |
浦和実打撃成績 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
⑥ | 小原 | 3 | 0 | 0 |
⑧ | 小田 | 3 | 0 | 0 |
⑤ | 信太 | 3 | 0 | 0 |
⑦ | 倉山 | 3 | 1 | 0 |
② | 本条 | 3 | 0 | 0 |
①9 | 三本木 | 3 | 0 | 0 |
④ | 西村 | 2 | 0 | 0 |
⑨ | 横山 | 1 | 0 | 0 |
1 | 白石 | 0 | 0 | 0 |
1 | 英 | 1 | 0 | 0 |
③ | 荒井 | 0 | 0 | 0 |
計 | 22 | 1 | 0 |
投手成績 | |||||||
TEAM | 選手名 | 回 | 被安打 | 奪三振 | 四死球 | 失点 | 自責点 |
浦和学院 | 佐野 | 7 | 1 | 14 | 2 | 0 | 0 |
浦和実 | 三本木 | 2 | 5 | 1 | 3 | 4 | 4 |
白石 | 2 1/3 | 5 | 0 | 2 | 4 | 3 | |
英 | 1 2/3 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 |
TEAM | 三振 | 四死球 | 犠打 | 盗塁 | 失策 | 併殺 | 残塁 |
浦和学院 | 1 | 6 | 4 | 1 | 0 | 0 | 9 |
浦和実 | 14 | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 | 3 |
浦和学院が投打で圧倒。打っては長打6本を含む10安打8得点、投げても左腕佐野が7回被安打1、無失点と全く危なげなかった。一回に、1死三塁から蛭間の左前打で先制すると、山本の右越え2ランでこの回3点。二回にも蛭間の中越え三塁打で1点を追加し四、五回にもそれぞれ2点ずつを加えた。佐野は5者連続を含む、毎回の14奪三振。決め球のスライダーがさえ渡った。浦和実は先発の右腕三本木が2回4失点と試合をつくれず。打線も1安打となすすべもなかった。