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浦学・小島、意地の完封 ピンチでこそ本領 きょう決勝 春季高校野球県大会

 (3日・県営大宮)

 第6日は準決勝2試合が行われ、連覇を狙う浦和学院と聖望学園がそれぞれ勝って、決勝進出とともに関東大会(17~21日・神奈川)出場を決めた。関東大会出場は浦和学院が2年連続15度目、聖望学園は6年ぶり5度目。決勝進出は浦和学院が2年連続13度目、聖望学園は6年ぶり5度目。

 浦和学院はエース小島が市川越打線を5安打完封し、1-0で競り勝った。浦和学院は一回に田畑の右飛で先制し小島がこの1点を守り切った。聖望学園は1-1の八回に4番玉谷の三塁打で大宮東を2-1で下した。

 決勝は4日、県営大宮で午前10時にプレーボール。

◇小島、意地の完封 ピンチでこそ本領

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【写真】市川越打線を5安打完封した浦和学院の小島

 1-0の九回。先頭からチェンジアップ、カットボール、そして最後は高めの直球と、全て違う決め球で3者連続三振締めだ。今大会初先発の浦和学院・エース小島が被安打5、12奪三振で昨夏の準決勝、聖望学園戦以来の公式戦完封勝利。その時も1-0だった。

 「出来は60、70点ぐらい」と本人評。確かにコースに寸分の狂いなく決まる絶好調時のような制球力ではなかった。それでも四回の1死三塁、七回の1死二、三塁をきっちりしのいだ。「何回かピンチがあるイメージはできていた」と、勝負どころでの落ち着きは“さすが小島”だった。

 ある思いがエースを突き動かしていた。

 昨秋の関東大会、今春の選抜大会とチームを代表して優勝旗を返還しに行った。どちらの大会時も「悔しいです」と歯がゆそうな顔をしていたのが印象的だ。それだけに「自分が関東にみんなを連れて行きたい。その意識しかなかった」。この一戦に懸けていた。森監督も「悔しかったんでしょう。そんな気迫を感じました」とうなずいた。

 昨年の選抜で優勝投手となってから、夏の甲子園、3回戦敗退した昨秋県大会と、徐々に本来の輝きを失ってしまった。「一回どん底に落ちて、今はスタート地点から少し進んだぐらいです」。完封にも浮かれる様子は一切ない。埼玉が誇る全国屈指の左腕の逆襲は、まだ始まったばかりだ。

◇市川越、上條好投も報われず

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【写真】2回途中から登板し、3安打無失点と好投した市川越の上條

 0-1の二回途中から登板したエース左腕の上條は初対戦の浦和学院打線に真っ向勝負を挑んだ。チームは敗れたものの、「相手はコンパクトに振る。速さよりキレを意識した」とこの日最速139キロの直球を軸に6回1/3を3安打無失点と好投した。

 「相手が強くなればなるほど力が入る。失うものはない」と負けん気の強い左腕。春日部共栄を完封した昨秋の準決勝で左肩を痛め、冬場は下半身を重点的に強化した。「片脚立ちのバランスが安定して重心の移動がスムーズになった。球に力が伝わっている」と成長を実感する。

 上條の調整遅れと勝ち気な性格を考慮し、2年生右腕の登坂航を先発マウンドに送った新井監督は「夏を前に上條を壊すわけにはいかなかった。登坂には期待していたが、荷が重かった。かわいそうなことをした。頭から上條だった」と、苦虫をかみつぶすような表情で試合を振り返った。

 秋の準優勝に続く4強入りで地力を示したが、「小島を打たなければ甲子園に行けない」と主将の丹羽。上條も「自分がしっかり抑えて打撃に専念してもらいたい」と力を込める。冬場の積み上げを証明しつつ、見えた課題が大きな収穫だ。

◇先取点と継投が鍵 決勝見どころ

 直近では昨夏の準決勝で対戦し浦和学院が聖望学園に1-0で勝利。春の決勝では初顔合わせ。

 先発は聖望学園・田島、浦和学院・岸の両左腕と予想。準決勝ではともに打線が左投手に苦戦しただけに、早い回に先制点を奪い、投手を楽にさせたい。

 聖望学園は走者をためて、準決勝で決勝三塁打を放った4番玉谷や同3安打の6番中村郁に回せるか。浦和学院は準々決勝のように、中堅や逆方向へ速い打球を打つイメージを取り戻したい。

 継投も鍵。聖望学園は最も安定感のある右サイドの松本にいい形で託したい。浦和学院は小島が長い回を投げるとは考えづらく宇野、酒井の両右腕の出番もありそうだ。

■春季県大会準決勝(5月3日)

市川越
000000000=0
10000000x=1
浦和学院

【市】登坂航、上條-丹羽
【浦】小島-田畑

▽二塁打 平田、松本(市)

【投手成績】

登坂航(市)1回2/3、被安打1、0奪三振、与四死球3、自責点1
上 條(市)6回1/3、被安打3、7奪三振、与四死球2、自責点0

小 島(浦)9回、被安打5、12奪三振、与四死球3、自責点0

【打撃成績】

▽浦和学院
⑤ 臺 3-0-0
④土 屋3-0-0
⑥津 田2-1-0
②田 畑3-1-1
③山 崎2-0-0
①小 島2-0-0
⑦酒 本3-1-0
⑨秋 山2-1-0
⑧石 森3-0-0

▽市立川越
⑤奈 良4-0-0
④平 田4-2-0
②丹 羽3-0-0
⑨冨 岡4-0-0
③佐 藤2-0-0
R岡 本0-0-0
3鈴 木0-0-0
H吉 沢1-0-0
⑦沢 田3-0-0
⑧松 本3-2-0
①登坂航0-0-0
1上 條3-0-0
⑥前 村2-1-0

(打数-安打-打点)

安 打:浦4、市5
失 策:浦0、市0
三 振:浦7、市12
四死球:浦5、市3
犠 打:浦3、市1
盗 塁:浦0、市0
併殺打:浦0、市0
残 塁:浦6、市6

 浦和学院は一回に犠飛で挙げた1点を左腕小島が守り切った。小島は要所での制球力が光った。四回は1死三塁、七回にも1死二、三塁を招いたが、いずれも後続を打ち取るなど、直球主体に変化球を交ぜ被安打5、12奪三振で市川越を完封した。市川越は二回2死からリリーフした左腕上條が無失点にしのいだが、好機で1本が出なかった。

(埼玉新聞)

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