第83回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)が23日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕し、浦和学院ナインは約1万2000人の観客が見守る中、開会式に臨んだ。
東日本大震災の被災者や救援に携わる人たちなどを応援する気持ちを込め、「がんばろう!日本」をスローガンに掲げる今大会。選手らは、球場に響き渡るサイレンの音に合わせ、約30秒間の黙とうをささげた後、国旗と大会旗の半旗が掲げられるのを見守り、哀悼の意を表した。
その後ナインらは、「いつも通り大きな声を出した」という今栄尚人選手(3年)の掛け声に合わせ、バックスクリーンからマウンドまでの約60メートルを前進した。プラカードを持って仲間を誘導した小泉誠選手(同)は「この球場でやれるだけでも感謝です」と胸を張って前進した。また、小林賢剛主将(同)は「喜びと感謝の思いをプレーを通じて伝えられたら」と話した。
浦和学院は27日の大会第5日第2試合(午前11時半開始予定)で鹿児島実(鹿児島)と対戦する。
◇応援団派遣を自粛
浦和学院は、東日本大震災の発生を受けて、予定していたブラスバンドなどによる応援団の阪神甲子園球場への派遣を自粛することを決めた。出場しない野球部員や引率の教職員は同球場へ行くほか、自主的に父母らも応援に行くという。
同校によると、同校の生徒・教職員ら多数がバスで応援に駆けつける予定だったが、被災地の人たちの気持ちを考えると大規模な応援はふさわしくない▽生徒・教職員の安全を確保するため▽移動に必要な燃料や食材を消費しない--などの理由から自粛を決めたという。
一方、同校は「今、私たちにできること」として、終業式のあった19日から募金活動を始めたほか、大量のアルコール消毒液やマスク、ペーパータオル、水、健康保存食品などを被災地に送るなどの支援に取り組んでいる。
◇県高校野球連盟・松田敏男会長の話「被災者に一筋の光を」
6年ぶり7度目の出場となる今回の選抜高校野球大会に向け、浦和学院は「小さな大投手」と評されるエースの佐藤拓也選手を中心とする攻守のバランスがとれたチームを作り上げました。
折からの大震災で一時は開催も危ぶまれましたが、出場されるからには思う存分力を尽くして試合に臨んでほしいと思います。皆さんの真摯(しんし)で力いっぱいのプレーが被災された方々だけでなく、日本中の人たちにとって必ずや一筋の光となることと信じております。
「がんばろう!日本」をスローガンに揚げたこの大会を制覇し、優勝旗を埼玉の地へ持ち帰ってください。
(毎日新聞埼玉版)