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浦和学院・林崎、執念のサヨナラ打 高校野球埼玉大会準決勝

 (27日・県営大宮)

 第11日は準決勝が行われ、浦和学院と聖望学園が28日の決勝に進んだ。浦和学院は4年ぶり15度目、聖望学園は3年ぶり5度目の決勝進出。両校の決勝での対戦は14年ぶり2度目。公立校で唯一4強入りした川口は浦和学院に敗れ、2代表制だった1965年の第47回大会Bブロックで準優勝して以来、47年ぶりの決勝進出はならなかった。

 選抜大会8強で春夏連続甲子園出場を目指すCシード浦和学院は、1-1で迎えた延長十回、1死二塁から林崎が中前タイムリーを放ち、今春県大会4強のBシード川口に2-1でサヨナラ勝ちした。先発の右腕山口は被安打3、1失点の完投。

 敗れた川口は大健闘。特に全6試合を一人で投げ抜いたエース右腕高窪は、相手の強力打線にも内角を突く強気の投球を挑む力投だった。

 昨秋4強の聖望学園は、昨夏準優勝のCシード春日部共栄に4-0で快勝した。一回に小島の二塁打で2点を先制すると、六回には加藤、九回には寺田和の適時打で突き放した。投げては小林佑、川畑のリレーで3安打無失点。春日部共栄は打線が沈黙。粘りの投球を見せた左腕西沢を援護できなかった。

 決勝は県営大宮で午前10時にプレーボール。

◇ここぞで光る底力 浦和学院

 “ジンクス”を打ち破った。3度目の春夏連続甲子園へ、そして4年ぶりの夏の甲子園へ、浦和学院がサヨナラ勝ちで王手をかけた。過去2大会連続で準決勝で敗れていた。いやが応でも意識する。立ち上がり、先発山口が先頭に四球を出し、犠打、二ゴロで三塁に進められると次打者の初球に暴投。思わぬ形で先制を許してしまった。今大会初めてリードを許す展開となった。

 だが焦らなかった。好右腕の川口・高窪に対して、三回1死から緑川がバント安打で出塁すると、盗塁と敵失で2死三塁。ここで林崎が右翼線へ二塁打を放ち、試合を振り出しに戻した。

 ここから山口、高窪の投げ合いとなった。四回の守りでは、2死一、三塁から松崎の三遊間を抜けようかという打球を遊撃手竹村が「絶対に点をあげたくなかった」と横っ跳び捕球。一塁へストライク送球し、勝ち越しを許さなかった。

 山口は五回から3回連続で先頭打者を出したが、後続をしっかり打ち取り、五回以降は1安打しかされなかった。あとは味方打線の援護を待つだけ。

 勝負は延長十回に決まった。1死から竹村が二塁打を放ち、続く林崎が2球目を中前にはじき返した。劇的なサヨナラ安打に林崎は「初回の失点を挽回したかった。チームが打たせてくれたヒット」と喜んだ。

 準々決勝の花咲徳栄戦に続き、2-1の接戦をものにし、3年間たどり着けなかった決勝の舞台に帰ってきた。だが森監督はあくまで冷静。「今日、勝ったことはもう過去の話。選手は意識するだろうが、目の前の試合に集中させたい」。まだ何も得ていない。笑顔を見せるのは、欲しかったものを手に入れた時だ。

◇林崎、執念のサヨナラ打 浦和学院

 十回裏1死二塁から林崎が快音とともにはじき返した打球は二塁手のグラブの横をすり抜け、中前に抜けるサヨナラ打。封じ込まれ続けた川口・高窪を沈めた一打に「たまたま打席に立っていたのが自分だっただけ。みんなが束になって取った1点」とチームの勝利を強調した。

 「合わせるくらいなら思い切り振ろう」と心に決めて入った打席でも、冷静だった。「勝負どころは直球でくると思ってた。狙ってた外をうまく打てた」と感触は十分。外野に抜けた瞬間、「自然とガッツポーズが出た」と謙虚にほほ笑んだ。

 一回2死三塁から暴投で先制点を献上し、「捕手としてもチームとしてもしてはいけないミス」と反省しきり。挽回への闘志は先発の2年生山口をリードしながらも燃やし続け、その思いは「内角をうまく払えた」と表現する三回の同点二塁打でも拭えなかった。

 「粘ってなかなか三振しない。苦しかった」と認める川口打線と十回まで奪い合い、もぎ取った値千金の2点目。決勝の切符を手にしたひた向きな顔に汗が光った。

◇山口力投、1失点で完投 浦和学院

 2年生右腕山口の力投が4年ぶりの決勝へ導いた。延長十回までもつれた我慢比べの一戦で川口打線を3安打1失点に封じた。「インコースに投げられ、調子は悪くなかった」と汗を拭った。

 「緊張した」という立ち上がり、2四死球に暴投が加わり1点を献上した。「このままいってしまったらどうしよう」という思いがよぎったが、味方が三回に同点とし、不安を払拭。ギアを上げた背番号10は七回以降を無安打に抑え、勝利への道筋を描いた。

 延長突入の際には、「最後まで投げるつもりだった」と心を強く持った。春季大会で延長十五回を一人で投げ抜いた経験も支えとなった。108球を投じた山口は「次の試合に向け、気を引き締めていきたい」と頂上決戦に目を向けた。

◇竹村が攻守でチームけん引 浦和学院

 1-1の延長十回、竹村が1死から左中間への二塁打。次打者の林崎の中前打でサヨナラのホームを踏んだ。「低めのボールが二塁打になった。打ちにくいボールでもつぶしていこうと思った」と竹村。

 守備では四回2死一、三塁で松崎の三遊間に抜けそうな当たりを好捕し、一塁に転送してアウト。川口の勝ち越しを防いだ。「自分の中で捕れると思った。失策した前回の試合の反省が生きた。強い意志で捕りに行った」と振り返った。

◇高窪、全身全霊の738球 川口

 「もっと仲間と野球がやりたかった」―。十回裏1死二塁、真ん中へ甘く入ったスライダーを中前に運ばれ、本塁ベースカバーに回った川口のエース高窪は泣き崩れた。チームを春夏4強へ導いた躍動感あふれる好投が報われることはなかった。

 今大会屈指の好右腕が見せた気迫の738球。準決勝までの6試合を一人で投げ抜いた。内角をえぐる直球と2種類のスライダーを武器に、選抜8強の浦和学院打線を九回までわずか1点に抑えた。

 連投の疲労、限界はとうの昔に超えていた。マウンドで戦う姿がナインに勇気を与え、最強の相手と五分に渡り合った。試合後はしばらく地面に伏して号泣したが「公立の意地を見せたかった。持てる力を出せた結果」と充実感を漂わせた。

 昨年11月末に右肘を痛め、冬場は走り込みと筋力強化の毎日。3月半ばに投球を再開すると、「自然とスリークオーターになった」とフォームが変化。肘への負担は軽くなり、下半身を鍛えた成果も直球の伸びと制球の安定感に表れた。

 47年ぶりの4強入りを果たした春季大会の後、スランプに陥った。エースとしての自覚から「焦りもあった」と不安を残したまま夏を迎えた。試合を重ねるごとに調子を上げ「大宮東戦の完封が自信になった」と輝きを取り戻した。

 攻守でレベルアップしたナインに支えられ「一人一人が夏まで追い込んできた。仲間に感謝」と満面の笑みを浮かべた。「大学でも野球をやりたい」。次なる舞台へ力を込めるエースと中心に、快進撃を続けた川口の夏が終わった。

◇刻んだ新たな歴史 川口

 旋風を巻き起こした公立校が横綱・浦和学院を土俵際まで追い詰めた。鈴木監督は「振る舞いや行動を見てもエースとして成長してくれた」と、躍進の原動力に背番号1高窪の奮闘を挙げた。

 Bシードながら、初戦の武蔵越生戦を逆転でものにするなど厳しい試合を切り抜けてきた。準々決勝の昌平戦は2-1と薄氷の勝利だった。それも6試合をすべて一人で投げ抜いた高窪の存在が大きかった。

 「うちの大黒柱。信じ切っている」と話す鈴木監督も、勝ち上がっていく中で高窪の精神的な充実が目に見えたという。

 2代表制だった1966年以来、46年ぶりの4強進出と同校に新たな歴史を刻んだ。主将の山下は「負けはしたが、接戦に持ち込んで勝ちを狙うという川口の野球は最後までできた」とすがすがしかった。強豪私学が台頭する中での公立校の躍進。山下は「注目されて硬くなる必要はない。また新しい自分たちの勝ち方をつくり、甲子園を目指してほしい」と後輩にエールを送っていた。

◇一人気を吐き小林が2安打 川口

 3安打の打線の中で2安打と気を吐いた5番小林。一回に好機を広げる左前打を放ち、四回にも自身の左前打から三塁まで進んだが、相手の好守で勝ち越しのホームを踏めず。「高窪がすごく頑張ってくれたので援護できなくて本当に悔しい」と涙した。

 準々決勝まで9打点と活躍。毎朝早く起きて捕手の松崎とティー打撃をやってきたことを思い返し、「『こんな練習に意味あるの』って言っていたけど、結果が出てうれしかった」と積み重ねた練習と友人に感謝した。

◇丸山「大きな財産」 川口

 二塁手の丸山は泣き崩れた。相手の決勝打は二遊間に飛び、伸ばしたグラブの先を抜けた。「あの打球は止められた。勝手に一、二塁間に詰めた自分のミスで抜けた」。3番打者としては七回2死一、三塁で凡退し、「自分の二つのミス。本当にみんなに申し訳ない」と責任を背負った。

 それでも守備位置変更は「間違った選択ではない」と鈴木監督。背番号4は気を取り直し、「浦和学院と接戦ができ、楽しかった。大きな財産。監督やみんなに感謝したい」と言葉をつないだ。

(埼玉新聞)

◇浦和学院 延長10回サヨナラ!2番・林崎が決めた

 浦和学院は県川口のエース・高窪に苦しめられたが、延長10回サヨナラ勝ち。

 2番・林崎(りんざき)は6回に同点打、10回には中前に運び試合を決め「みんなが打たせてくれました。苦しい試合を乗り越えられたのは大きい」と振り返った。08年以来4年ぶりに決勝に進出を決め、森士(おさむ)監督は「(決勝も)目の前の試合に集中していく。スタイルは変わらない」と口元を引き締めた。

(スポニチ)

◇浦和学院、延長制し春夏王手

 埼玉では、浦和学院が県川口を延長戦の末に振り切り、決勝に進んだ。

 最後は横綱の力を発揮した。今春センバツ8強の浦和学院が、公立勢の県川口に苦しめられながらも、サヨナラで決勝進出。春夏連続甲子園に王手をかけた。

 林崎(りんざき)龍也捕手(3年)が、名誉ばん回のひと振りで勝利に導いた。延長十回、1死二塁。気合のこもった打球が、中前に抜けた。

 「あの1点がなければ、延長戦までやることはなかった」。一回、2死三塁からバッテリーミスで先制を許した。記録は先発・山口の暴投となったが、女房役として止められなかったことを猛省。三回にも同点の適時二塁打を放ち、何とかバットで巻き返した。

 ここまで5試合で計36得点と危なげなく勝ち抜いてきた打線も、この日は県川口のエース高窪の前に不発。はからずも汚名返上に燃えた正妻の気迫が、勝利への原動力となった。「苦しい試合を越えられたのは大きい」と林崎。気を引き締め直して、夏切符を取りに行く。

(デイリースポーツ)

■準決勝(7月27日)

川口
1000000000 =1
0010000001x=2
浦和学院

(延長10回)

【川】高窪-松崎
【浦】佐藤-林崎

▽二塁打 林崎、山根、竹村(浦)

【浦和学院】
⑥竹 村4-1-0
②林 崎5-2-2
⑧佐 藤4-1-0
⑨笹 川4-0-0
⑦山 根4-2-0
⑤高 田4-0-0
③明 石3-1-0
①山 口2-0-0
④緑 川4-2-0

(打数-安打-打点)

安 打:浦9、川3
失 策:浦1、川2
三 振:浦4、川5
四死球:浦1、川4
盗 塁:浦1、川0
犠 打:浦3、川3
併 殺:浦0、川1
残 塁:浦8、川8

 浦和学院は延長十回、林崎の決勝打で川口にサヨナラ勝ちした。浦和学院は1-1の延長十回、1死から竹村が左中間越え二塁打を放つと、続く林崎の中前打で決着をつけた。川口・高窪を打ちあぐねたが、林崎はタイミングが合っていた。先発の山口は一回に1失点したものの、追加点を許さず被安打3で完投。川口は高窪が安定した制球力で好投したが、打線が好機で一本出ず援護できなかった。

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