◇浦和学院、3年ぶり決勝 きょう前橋育英戦
【写真】8回裏2死一、二塁、木暮の逆転二塁打で生還した二塁走者の贄が大喜びで本塁を踏む。捕手原田=21日、栃木県宇都宮清原球場(埼玉新聞)
第65回春季関東高校野球大会第4日は21日、宇都宮清原球場で準決勝を行い、選抜大会の覇者・浦和学院は東海大望洋(千葉1位)に3-2で逆転勝ちし、3年ぶりの決勝進出を果たした。
浦和学院は1-2の八回、贄(にえ)の四球と高田の内野安打で2死一、二塁のチャンスをつかむと、木暮が初球を左翼線に運ぶ2点適時二塁打を放ち試合をひっくり返した。先発の左腕小島は尻上がりに調子を上げ、4安打2失点で完投。
最終日は22日、宇都宮清原で決勝を実施。浦和学院は2連覇を達成した2010年以来、3年ぶり4度目の栄冠を目指し、群馬1位の前橋育英と対戦する(10時)。
◇浦学逆転でV王手 東海大望洋に3-2
(21日・宇都宮清原)
第4日は準決勝2試合を行い、選抜大会優勝の浦和学院は、東海大望洋(千葉1位)に3-2で逆転勝ちし、3年ぶりの決勝進出を果たした。22日の決勝では、昨秋に続く関東制覇を懸け、前橋育英(群馬1位)と対戦する(10時・宇都宮清原)。
一回に1点を先制された浦和学院は直後の攻撃で、高田の左前タイムリーで同点。四回に勝ち越されたが、八回2死一、二塁から、木暮の左翼線2点適時二塁打で試合をひっくり返した。先発の左腕小島は4安打2失点で完投した。
前橋育英は専大松戸(千葉2位)を4-0で下した。
◇木暮が千金二塁打 「つなぐ」意識、力み消す
【写真】8回裏2死一、二塁、木暮が逆転の左越え二塁打を放つ(埼玉新聞)
「入れ、抜けろ」。5番木暮は左翼線に上がった打球の行方を見つめながら必死に走る。願いは通じ、打球は適時二塁打となり2者を迎え入れ逆転。チームを決勝進出に導いた殊勲者はわずか1球、ひと振りで仕留めた。
第1~3打席はいずれも得点圏に走者を置いた場面で「決めようと気負ってしまった」と凡打。特に1死二、三塁で回ってきた六回の第3打席は内角直球で見逃し三振をしていた。そして八回、2死一、二塁で迎えた4打席目では「先頭打者のつもりでつなぐ」と意識を変えた。すると力みが消え、初球の内角直球にバットがスムーズに出て好結果をもたらした。
決勝へ背番号5はいいイメージで臨めそうだ。「夏に向けての最後の大会。いい形で夏を迎えられるように頑張りたい」と一層の活躍を誓った。
◇土壇場で地力発揮
浦和学院は選抜大会から六回以降にリードを許したことはない。四、六回の絶好機に一本が出ず、加えて2度の走塁妨害を取られ、一回にはどん詰まりの当たりが先制打になるなど運もなかった。今季公式戦13試合目にして初の黒星が頭をよぎった。
それでも負けなかった。八回に築いた最後のチャンスを逃さず、木暮の二塁打で起死回生の逆転勝ち。森監督も「今年の浦和学院にはまだ何かが宿ってるね」と笑顔で振り返った。
ナインが秘める土壇場での集中力には感服だ。
1-2の八回。1死から贄(にえ)が「四死球でも何でもいいから食らいついた」と際どいコースを見極め四球で歩く。続く山根の打席で贄が二盗を決めたが、山根が二塁へ送球した捕手を妨害したとしてアウト。2死一塁となり、チャンスはしぼんだかに思えた。
だが高田の内野安打で2死一、二塁とすると、前打席の絶好機で内角の直球に手が出ず、見逃し三振を喫していた木暮が初球、その内角直球を今度は振り抜き、左翼線を襲う2点タイムリー二塁打で逆転に成功した。
四回は無死二、三塁、六回には1死二、三塁をつぶしていただけに、主将の高田は「もがきながらもみんなでつなげた」とうなずき、森監督も「リードされても慌てず、自分たちのパフォーマンスを発揮できる冷静さがあった」と褒めた。
この日も最後は地力の高さを見せつけるなど、苦しみながらも昨秋に続く関東制覇に王手。高田は「夏への新たな一歩になるように、必ず勝ちたい」と力強く決勝を見据えていた。
◇小島、尻上がり快投 5回以降わずか1安打
2年生左腕小島が尻上がりに調子を上げ、4安打2失点で完投した。
公式戦では初となる田畑との2年生バッテリーで臨んだが初回から不安定で、内角を狙った球が真ん中に入り四回までに3安打2失点。「自分が田畑を引っ張りたいと思っていたが、力のなさを痛感した」と反省した。
それでも五回以降はきっちりと立て直し、被安打1に抑え味方の逆転劇を呼び込んだ。クレバーな左腕は「変化球が決まりだしたらリズムに乗れました」と後半の内容には及第点を与えていた。
◇高田、4安打復調 「ミート心掛けた」
【写真】1回裏浦和学院1死一、三塁、高田が左前適時打を放ち同点とする(埼玉新聞)
前2試合で計6打数無安打だった4番高田が、4打数4安打。一回には同点タイムリー、八回には木暮の逆転打をお膳立てする内野安打とチームを決勝へと導く活躍だ。
結果が残せた要因はバットを指2、3本分短く持ったことだという。その上で「今日の朝の練習からミートすることを心掛けました」。全打席で追い込まれながらも、よりコンパクトに振ることで左、右、中へと単打を打ち分ける打撃センスが復活。今大会から主将に復帰した背番号5は前日までと打って変わり、表情も明るくなってきた。
■準決勝(5月21日)
東海大望洋
100100000=2
10000002x=3
浦和学院
【東】武内、山田-原田
【浦】小島-田畑、西川
▽二塁打 豊田(東)木暮(浦)
▽投手成績
小島(浦)9回、被安打4、8奪三振、与四死球2、失点2、自責点2
武内(東)4回、被安打5、3奪三振、与四死球0、失点1、自責点1
山田(東)4回、被安打4、3奪三振、与四死球1、失点2、自責点2
【浦和学院】
⑥ 竹 村4-0-0
④ 贄 3-2-0
⑧ 山 根4-2-0
⑤ 高 田4-4-1
③ 木 暮4-1-2
② 田 畑2-0-0
79斎 藤2-0-0
⑦ 酒 本1-0-0
7 前 田1-0-0
2 西 川1-0-0
① 小 島3-0-0
⑨ 石 森2-0-0
7 服 部1-0-0
【東海大望洋】
⑥ 志 田3-0-0
④ 梅 沢3-1-0
⑨ 早 川4-0-0
③ 豊 田4-2-1
⑧ 仲 沢4-1-0
⑦ 大 山1-0-0
H 円城寺0-0-1
7 鈴木健1-0-0
⑤ 細 矢3-0-0
② 原 田2-0-0
① 武 内2-0-0
1 山 田1-0-0
(打数-安打-打点)
安 打:浦9、東4
失 策:浦0、東0
三 振:浦6、東8
四死球:浦1、東2
犠 打:浦0、東2
盗 塁:浦2、東1
併 殺:浦1、東1
残 塁:浦6、東3
地力で勝る浦和学院が八回、木暮の逆転2点二塁打で、東海大望洋に競り勝った。
1点を追う浦和学院は八回、贄(にえ)の四球、高田の内野安打で2死一、二塁の好機をつくると、木暮が左翼線へ2点二塁打を放った。一回に高田の左前打で同点に追い付いた後、チャンスを生かせなかったが、勝負どころではきっちり一打が出た。
先発小島は4安打1失点で完投。一、四回に1失点ずつしたが五回以降は、変化球の制球がさえ1安打に抑えた。
(埼玉新聞)