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投打盤石いざ初陣 浦学あす登場 開幕戦は浦和学院のブラバンにも注目

 第94回選抜高校野球大会が18日に開幕し、7年ぶり11回目の出場となる浦和学院は21世紀枠で出場する大分舞鶴(大分)と開幕戦を戦う。森大監督(31)のもと、夏の甲子園を経験したメンバーを中心にさらなる強化を図った布陣で臨み、2013年春以来の全国制覇を狙う。

 投打の軸は最速140キロ超の直球を誇る左腕、宮城誇南投手と、巧打が光る金田優太選手。金田選手も140キロ超の直球を投げ、投打でチームを引っ張る存在だ。メンバーに決まった18人のうち、この2人と三塁手の八谷晟歩主将ら7人は昨夏の甲子園でもベンチ入りしている。

 昨秋の関東大会では、準決勝で山梨学院(山梨)に延長十回、一挙7点を奪われて9―2で敗れた。宮城・金田両選手は冬の間、それぞれに自分の課題を見つけて強化を図ってきた。

 この試合に七回から登板した宮城投手は、「延長戦に入ってからギアを上げられなかった。下半身の粘りが足りなかった」と反省。エースとして最後まで投げきれる力を身に付けようと、片方の足を前方に踏み込む「ランジ」のトレーニングを不安定な足場の上で行ったり、スクワットを繰り返したりして下半身の強化に取り組んできた。

 金田選手は「関東大会では好機で1本を出せなかった」と、決定力を自身のテーマに据えた。大会直後の12月からは、あえて金属バットよりも打球が飛びにくい木製バットを使って長打力を鍛えると、打ち方も「先端の重さを利用し、バットをしならせるように」(金田選手)意識。打球をより遠くに飛ばす感覚をつかんだという。

 初戦を前に、宮城投手は「まずは1勝。全国の左投手には負けない」と意気込む。金田選手も「持ち味のミート力に加え、長打力も鍛えられたと思う。打率と打点を稼ぎ出したい」と自信をのぞかせている。

「睡眠改革」で体大きく 朝練廃止でストレス軽減

 宮城選手は4キロ、八谷主将が5キロ、金田選手10キロ――。4月から3年生になる3人がこの冬の間に増やした体重だ。新指揮官・森大監督が掲げた「睡眠改革」の成果という。

 きっかけとなったのは、昨年の夏前頃に行った選手たちの血液検査の結果だ。成長ホルモンの量が少ないことが判明し、森監督は「食事とトレーニングはトップクラス。良質な睡眠が足りていないのでは」と考えた。

 浦和学院には毎朝6時半から、ランや綱登りといったトレーニングを1時間こなす朝練習の伝統があったが、森監督は秋の関東大会後に廃止。強化期間に週2回ほどに限って行うことにした。選手たちから「早起きしないといけない」というメンタル面のストレスを取り除き、質の良い睡眠を取らせるのが狙いだった。

 選手の成長ホルモンの量は増え、この冬だけで選手の身長は平均1.5センチ、体重は同4~5キロ増えた。「練習の序盤からみんなの顔がすっきりしていて活気がある」(八谷主将)といった効果もみられた。

 昨夏、初戦敗退で終わった甲子園の舞台でリベンジを果たすための準備は整いつつある。

(読売新聞埼玉版)

開幕戦は浦和学院のブラバンにも注目、ノリ良い曲で踊りまくる野球部員…演奏会のような心地良さ

 阪神甲子園球場で行われる高校野球の華と言えば、スタンドで試合を盛り上げるブラスバンド。ただ、ここ2年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、大会そのものが中止になったり、入場不可になったりと、甲子園の応援風景は大きく変わりました。

 18日に開幕する選抜高校野球では、上限50人を条件に、選抜としては3年ぶりにブラスバンドがアルプススタンドに戻ってくることになります。熱戦を盛り上げ、時に球場と試合を支配する空気を作る音楽。読売新聞では「高校野球ブラバン応援研究家」の梅津有希子さんに注目の応援について聞きました。第1回は開幕戦に登場する浦和学院(埼玉)。初戦の第一試合に「ふさわしい」というその理由は……?

甲子園で「浦学サンバ」

 浦和学院(ウラガク)の最大の魅力は、なんといっても「オリジナル曲」の多さです。特に「浦学サンバ」は文字通り、高校野球の応援でサンバを採用する珍しい構成になっています。日本高野連は最後の最後までブラバンの入場を認めるか、迷ったとは思いますが、「華やかな甲子園の舞台を取り戻したい」という思いから、条件付きで吹奏楽部の演奏が認められることになった今大会。その開幕戦が、ウラガクの楽しく華々しいサンバで始まるというのはピッタリだと思います。

 埼玉県には吹奏楽部の強豪、「御三家」が存在します。埼玉栄、春日部共栄、伊奈学園総合の3校です。全国でもトップクラスの強豪で、ウラガクの吹奏学楽部は三家を追う立場という見方ができるでしょう。

 ただ、春夏合わせて24回の甲子園出場を果たしているウラガクは「野球応援」という目で見ると、飛び抜けた実力を誇ります。一度、応援が始まると、全くよどみなく演奏が流れていきます。高校野球の応援に慣れていないと、選手応援歌→出塁のファンファーレ→次の選手の応援と、曲が変わるうちに、流れが止まってしまうことがあります。ですが、ウラガクの応援にはこれが一切無い。一つの演奏会を聴いているような心地よさがあります。

 今大会、日本高野連は大声での応援を自粛するように訴えています。そのため、現地でどういった応援が披露されるかは分かりませんが、個人的には、声を出す「コール」に代わる応援として、「踊り」に注目しています。アルプスからとにかくノリの良い曲が流れ、野球部員が踊りまくる。特に埼玉県の野球応援はウラガクも含め、「踊り」を応援に取り入れている学校が多いです。ウラガクが開幕カードに選ばれたのには、何か運命的なものまで感じてしまうのです。

(読売新聞)

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