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県高野連、8月開催へ準備 県高校野球代替大会

運営委員会後、記者会見する県高野連の坂上節会長(右)と神谷進専務理事=27日午後、春日部高校

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今夏の全国高校野球選手権と出場権を懸けた地方大会が中止となったことを受け、県高野連は27日、春日部高校で理事会と運営委員会を開き、代替となる県独自の大会の8月中開催へ向けて準備すると発表した。

 運営委員会では、独自大会の開催へ全会一致だった。県高野連の坂上節会長(春日部高校長)は「夏の甲子園が中止になり、日々努力をしてきた生徒たちに野球をやり切ったという思いを感じてもらえる場を用意したい」と思いを明かした。8月実施の理由について、坂上会長は「一定の準備期間を踏まえてから開催したい」と説明。実施する場合は公式戦として扱い、日本高野連のガイドラインに沿って原則無観客とする。

 大会実現のための課題となる開催日程や球場確保、大会形式、試合方式などは今後の運営委員会で詰めていく。神谷進専務理事(上尾高教)は「球場の確保が決まらないと大会形式などは決めることができない。選手の安全確保を第一に考え、準備を進めていきたい」と慎重な構え。次回の運営委員会は6月12日に開かれる予定で、神谷専務理事は「2週間でどこまで話を詰められるか。6月末までかからないように、早い段階で決めていきたい」と見通しを語った。

「やる決断に感謝」指導者、進路への配慮も

 第102回全国高校野球選手権大会ならびに地方大会の中止を受けて、県高野連は27日の運営委員会で独自の代替大会を8月に開催する意向を固めた。

 2017年の第99回大会で県勢初の全国制覇を果たし、夏の埼玉大会は5連覇中だった花咲徳栄の岩井隆監督は「やる理由もやらない理由もあったと思うが、やるという決断を下していただいたことに感謝。3年生には与えられた形の中で出し切ってもらえるように」と期待を込めた。

 それぞれの進路に向かって歩み始めている選手たちの表情に「もう一つの目標へかじを切り始めている。しっかり切り替えられる強い人間になってほしいが、簡単なことではない。そのフォローをしたい」と指導者側の責任を口にした。

 第75回大会(1993年)の準優勝を含め、夏の甲子園に5度出場している春日部共栄の本多利治監督は「甲子園という大目標がなくなった子どもたちの区切り。何もやらずに終わるより、次のステップに大きく踏み出せる」と歓迎する。

 「進路など個人の考えがあることだから、参加は強制できない。チーム内で子どもたちが納得する形でまとまることが大事。こういう大会があるけど、どうする?と問い掛け、うちは3年生を中心に考えさせたい」と話した。

 春夏合わせて21度、チームを甲子園に導いてきた浦和学院の森士監督は「これまでは大会まで全員が同じように動いてきたが、今回ばかりはそうもいかない。進路のことも加味して一人一人と相談したい。それを踏まえても、(大会開催は)一番望んでいたところ。実現のためにはこれ以上感染を拡大させないことが必要」と感染症対策の徹底を掲げた。

大きな一歩も課題は山積み

 全国高校野球選手権と地方大会の中止決定から1週間が経過。県高野連は8月の独自開催へ大きな一歩を踏み出した。だが、クリアすべき課題が多く、運営委員会では開催へ全会一致だったものの、決定ではなく、「準備を進める」という慎重な姿勢だった。

 25日に埼玉も緊急事態宣言が解除され、学校も6月1日から段階的に再開。ただ、県立高校の通常登校は同22日の見通しで部活動も早期の再開は見込めない。さらに、社会活動が本格的になったことで再び新型コロナウイルスの感染が拡大する恐れもあり、県高野連の神谷進専務理事は「9、10月は秋季大会があるので(第2波などで)8月にできなかったら先延ばしは難しい」と語った。

 原則無観客だが、控え選手は、保護者は、球場で応援できるのか。出場資格は。大会形式に関しても、従来の夏のように全チームでのトーナメントや春、秋のように地区大会で代表校を決め、県大会を実施するのか。神谷専務理事は球場の確保次第とし「今のところ、3年生のみの大会とは考えていない」と明かした。

 大会実現へ、課題を一つ一つ解決していくしかない。県高野連の坂上節会長は「8月開催に向けて大人が知恵を出し合っていきたい」と決意を込める。8月、背番号を着けて、白球を追う高校球児の姿があることを願いたい。

(埼玉新聞)

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